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#オーディオ

サンプリング・レート・コンバーター~マルチステージ化・ポリフェーズ化で演算量を大幅削減!~マルチレート信号処理とは?

前の記事「折り返し雑音とは?~なぜ車のホイールは逆回転するのか~デジタルはアナログの近似ではない」で、「デジタル信号処理にとってサンプリングレートの変換は苦手な処理」であるが「マルチステージフィルターやポリフェーズフィルターを駆使すれば、比較的少ない演算量で原理通りの処理を行い、音質変化のほとんどない変換を行うことは可能」ということを述べました。 今回はその、「マルチステージフィルター」と「ポリフェーズフィルター」を用いた「サンプリングレートコンバーター」の説明をしたいと思

デジタルディザ&ノイズシェーパー~ノイズを加えて音質アップ?

電子書籍発売しました!(2023/01/22) 動画・音声リンク付き紹介記事はこちら。 Amazon Kindle 電子書籍「MATLAB で簡単オーディオ プラグイン開発」 スクリプトはどなたでも無料でダウンロードできます。 量子化と量子化ノイズ前回は時間方向の離散化であるサンプリングの話でしたが、信号のデジタル化にはレベル方向の離散化も必要であり、今回はその「量子化」の話です。 量子化によって連続的な値が離散的値に丸められますから、ここで「量子化雑音」というノイズ

JUCE~既存プロジェクトをコピーして始める

前回は新規作成方法でしたが、ついでに既存プロジェクトを元に別プロジェクトを作成する方法を。 1.新規フォルダー作成 2.既存プロジェクトの .jucerファイルと Source フォルダーをコピー 3..jucer ファイルのファイル名を変更して起動 4.設定(歯車アイコン)で、Project Name、Plugin Name等を変更 Project Name を変えると、左上のプロジェクト名に即時反映されます。 CTRL+Zとかが効かないのがイマイチですが。 5.ID

JUCE でディレクトリ名、クラス名、VST/アプリ名、生成ファイル名を個別に設定する

JUCE でVST/アプリを新規作成する場合、まずは Projucer で "Project Name" にプロジェクト名を入れて "Create Project" するわけですが、デフォルトではこのプロジェクト名が、ディレクトリ名、クラス名、VST/アプリ名、生成ファイル名(VST/アプリのフィル名)として使われます。 しかし場合によっては、これに別々の名前を使いたいこともあるかと思います。 今回はその設定方法を、備忘録も兼ねて書いておきます。 ディレクトリ名、クラス

DnoteLR/LR+ 開発秘話

まえがき特許経過情報見てみたら、カシオさんに権利譲渡されていたようで・・。 私が最初に買った電卓はFX-602Pでした。(u_u) せっかくなので(?)開発秘話的なモノでも書いてみようかと。 権利的なこともあるので、技術的内容については、論文・特許等で公開済みのもののみになります。 経緯私と落合氏は2020年6月いっぱいで退社して DnoteLR/LR+ から離れることになり、2020年10月に AudiiSion Sound Lab.を共同創業しました。 藤本健の

JUCEがモーダルウインドウ禁止になったので仕方なくリファクタリングしてみた

SHOULD NEVER USE THIS METHOD! さて、少し前から、「プログラム的に危険である」「Androidが非対応」ということで非推奨(というか、"you SHOULD NEVER USE THIS METHOD!")になっていたモーダルウインドウ(入力待ちダイアログ)。 ついに6.1.0からデフォルトで使えなくなり、Async(非同期)系の、プロセスはすぐ次に移動してコールバックで処理を行う方法のみに変わりました。 具体的には、 AlertWindow

MATLAB/Simulink で気軽に始める音響信号処理 ~ App Designer で GUIアプリも簡単開発!

MATLAB EXPO楽しかったですね~。( ̄ー ̄) 以前、ポスター発表して来場者人気投票で2位を頂いたこともあるのですが、今はちょっと他のことする余裕がないので、いずれまた・・。(-_☆) 今回、特にライトニングトークに触発され、MATLABでの音響信号処理を布教すべく、”初心者向け” MATLABを使ったオーディオ信号処理について書いてみました。信号処理自体ではなく、「信号処理アルゴリズム開発環境」的な説明です。結果的に、App Designer の説明がメインになり

オーディオ信号処理のプロトタイピングを M5Stack Core2 で~スマホの中の好きな曲を、オリジナル信号処理してイヤホンで聴こう!

オーディオ信号処理プロトタイピング なかなか手頃なのが見つからなかったのですが、M5Stack Core2 なら手軽にできそうだったので試してみました。 スマホの中の好きな曲やYouTube等 -- (ブルートゥース) --> M5Stack Core2 -- (I2S) --> 有線イヤホン、という流れです。信号処理は M5Stack Core2 に入れます。 スマホとの接続は一般的なBTイヤホンで使われるA2DPプロファイル(コーデックは多分SBC?)で、イヤホンアン

She's a Woman(立体音響サンプル 処理前)

効果比較用の元ファイルです。

She's a Woman(立体音響サンプル 処理後)

普通の2chステレオMixから立体音響を生成する技術デモです。 Anker SoundCore 2とかMacbookPro15"で聴くと音が広がるよう設定してあります。 (スピーカー間隔15cm前後の一体型ステレオスピーカーなら効果が得られる可能性があります) あまり狭い場所だと広がりにくいかもしれません。 スピーカーの正面辺り、50cm~1mくらいがスイートエリアです。 スピーカー上向きもおすすめです。 「処理前」と比較してみてください。