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#信号処理

サンプリング・レート・コンバーター~マルチステージ化・ポリフェーズ化で演算量を大幅削減!~マルチレート信号処理とは?

前の記事「折り返し雑音とは?~なぜ車のホイールは逆回転するのか~デジタルはアナログの近似ではない」で、「デジタル信号処理にとってサンプリングレートの変換は苦手な処理」であるが「マルチステージフィルターやポリフェーズフィルターを駆使すれば、比較的少ない演算量で原理通りの処理を行い、音質変化のほとんどない変換を行うことは可能」ということを述べました。 今回はその、「マルチステージフィルター」と「ポリフェーズフィルター」を用いた「サンプリングレートコンバーター」の説明をしたいと思

折り返し雑音とは?~なぜ車のホイールは逆回転するのか~デジタルはアナログの近似ではない

電子書籍発売しました!(2023/01/22) 動画・音声リンク付き紹介記事はこちら。 Amazon Kindle 電子書籍「MATLAB で簡単オーディオ プラグイン開発」 スクリプトはどなたでも無料でダウンロードできます。 折り返し雑音(aliasing noise/aliasing artifact/folding noise)信号処理の経験がない人には耳慣れない言葉かもしれませんが、ほぼ全ての人がその現象を見たことはあるはずです。 TVや映画などで、車などが走

ストロークを平均化 ~ MATLAB の figure に callback を設定してお絵かき

数式を平均化フーリエ級数展開 任意の曲線は、(一定の条件下で)フーリエ級数展開によって sin/cos の和で表せます。 それを応用した、「手書きひらがなの平均を求める」、というのがありました。 みんなの手書きの「あ」を集めて平均するとどうなる? ひらがなの平均手書き文字は綺麗 面白いな、と思ってMATLABでちょっと試してみたので解説を。 論文では、ストロークデータを折り返して閉曲線にしたり、元との差が十分小さくなる次数まで展開したりしています。 それならばD

スマホのセンサー情報をMATLABで使おう

今回は、MATLAB Mobile アプリでスマホのセンサー情報を扱う方法についてです。(要MATLABライセンス) 色々なことができるので、基本的な使い方だけ。 今回の例では、スマホを動かすと、リアルタイムにスマホからのセンサー情報を表示しながらMATLAB上のグラフが回転します。 早速やってみましょう。 準備PCとスマホをネットワークに接続 PCでMATLABを起動  環境 -> アドオン -> ハードウェアサポートの入手 で、使うスマホに合わせて "MATLA

無料で始めるMATLAB ~ スマホでMATLAB "MATLAB Mobile" ~ フィルターの周波数特性を見る

MATLAB Mobileアプリ MATLABには、無料のスマホアプリ、"MATLAB Mobile" があります。 通常のMATLABの計算ができるし、グラフも描けてたまに重宝します。 これ、私はずっと、「当然MATLABのライセンスがないと使えない」と思っていたのですが、最近、「無料アカウントでも使える」ということを知りました! 大判振る舞い!! 業務でMATLABを使っていたり、MATLAB包括ライセンスを受けてる学校であれば問題ないのですが、「MATLAB興

SimulinkでカスタムGUI

Simulinkには、"Dashboard" というブロック群があって、これを置けば簡単にGUIを付けられるのはよく知られていると思います。 Dashboard Dashboardを使ったGUIの例 SimulinkではDashboardを使う以外にも、ブロックをダブルクリックすると立ち上がるカスタムGUIコントロールパネルを作ることができます。 カスタムGUIの例 とても簡単にできるのですが、こちらはあまり見かけない気がするのでその解説をしたいと思います。 Si

MATLAB/Simulink で気軽に始める音響信号処理 ~ App Designer で GUIアプリも簡単開発!

MATLAB EXPO楽しかったですね~。( ̄ー ̄) 以前、ポスター発表して来場者人気投票で2位を頂いたこともあるのですが、今はちょっと他のことする余裕がないので、いずれまた・・。(-_☆) 今回、特にライトニングトークに触発され、MATLABでの音響信号処理を布教すべく、”初心者向け” MATLABを使ったオーディオ信号処理について書いてみました。信号処理自体ではなく、「信号処理アルゴリズム開発環境」的な説明です。結果的に、App Designer の説明がメインになり

オーディオ信号処理のプロトタイピングを M5Stack Core2 で~スマホの中の好きな曲を、オリジナル信号処理してイヤホンで聴こう!

オーディオ信号処理プロトタイピング なかなか手頃なのが見つからなかったのですが、M5Stack Core2 なら手軽にできそうだったので試してみました。 スマホの中の好きな曲やYouTube等 -- (ブルートゥース) --> M5Stack Core2 -- (I2S) --> 有線イヤホン、という流れです。信号処理は M5Stack Core2 に入れます。 スマホとの接続は一般的なBTイヤホンで使われるA2DPプロファイル(コーデックは多分SBC?)で、イヤホンアン

単眼立体視の話~脳は複数の情報から使えるものを使って認識する

平面立体視立体画像を平面ディスプレイで再現するには、脳が視差情報から奥行き感を再構築できることを利用し、視差の異なる2枚の画像をそれぞれ左右の目に提示する方法が一般的です。 平行法、あるいは交差法を用いて視差情報から立体像を再構築できる 「視差」が立体視の強い手掛かり 一方、写真を立体的に見るには、「片眼で見る」という方法が古くから知られています(ポジフィルムを単眼鏡で見る等) 実は、人間が奥行き感を感じる手掛かりとしては視差以外にも、オクルージョン(重なり)、相対サイ