サンタクロースと大人


あなたはサンタクロースを信じますか?

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恐らく「サンタなんて実在しないよ」
と冷めた目で見ている人の方が
この世の中には多いのだろう。

私がそっち側の人間に惑わされ始めたのは、
我が家にサンタクロースが来なくなった日よりも後だったと思う。

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ここで私が知っているサンタルールを紹介しておこう

その1:サンタが来るのは12歳まで
その2:信じている子の元にしかやって来ない
その3:生き物はくれない

と、こんなところだろうか。
とにかく、”大人”の元には来ないものなのだ。

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ここで本題に入る。
私は今でもサンタクロースを信じ続けている。
もちろん理由はある。

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毎年欲しいものは、口に出さずに念じるだけで必ず手元に届いたし、サンタさんに用意したケーキは、朝になると必ず消えていた。

サンタさんはロマンティックなもので、ケーキのチョコクリームで、お皿にMerry Xmas と書いてくれていたりもした。

そして何よりも、信じる心がなければ現れないサンタクロースにクリスマスを彩ってもらうには、信じ続けるしかなかった。

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そうしているうちに、私の中でサンタはいるに決まっている、信じてやまない存在になったのだ。

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元々無宗教ながらに神様、魂、死後の世界、運命、なんかを信じてしまうタチなので、サンタもその類だろう。

(死後の世界なんて死ななきゃ誰も見れないのに、逆に何で否定するのだろう、とか、今の私があるのは、巡り巡った運命だったんだ、とか、考えても仕方のない事を考えるのが大好き。そういう話はまた今度)


そんな私が、ある日サンタクロースを疑ってしまった。


年齢を重ねるごとに、これからの人生をより深く考え始める。結婚して、子供ができて、どんな家庭を築き、どんな風に育てていきたいか。

その時、ふと思ったのだ。


「子どもが出来たら、私はクリスマスプレゼントをどうすれば良いの?」

そんなこと考えてるの?って笑ってしまうでしょ。でも私は真剣だった。


もし仮に、周りの人の言うようにサンタが存在しないとする。
そうしたら、私が用意しなければ子どもが悲しむことになるのだ。

いやいや、サンタはいるのだから、用意しなくても大丈夫でしょ。今更何を…

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こんな葛藤を繰り返すうちに、私は気づいてしまった。

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「あぁ、私って大人になってしまったんだ」

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年齢とか見た目の話じゃない。

昔はただただ純粋な、サンタさんはいるんだ、という素直な気持ちで信じていた。

しかし、様々な経験や思考が入り混じるうちに、その真っ白い純粋な心は消えてしまったのだ。

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もちろん私は今でもサンタクロースを信じている。しかしそれは、10歳の私が持っていた信じる心、とは違う色をしているのだろう。

1ミリでも疑いの心を持ってしまった。
これが大人になる、という事なのかもしれない。


大人になるってなんだろう。
自立すること?
社会に出ること?
ハタチを過ぎればみんながそう?

就活しながら考える。


年を重ねているうちに気づけば”大人”と呼ばれるようになり、特に疑問も感じずそれを受け入れる。

私自身、未だに大人の定義も、自分が大人なのかもよく分からない。でもこれだけは言える。

気づけば大人になっているような、つまらない大人にはなりたくない。


大きな夢を見続けていたい。


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結局、サンタクロースはいるのだろうか?

その答えは
自分の子どもに教えてもらうことにする。

大きくなるまでの12年間
毎年クリスマスは、私もあの頃に戻ってみよう

いつか来るその日まで、
私のサンタは生き続ける