【第9回】喫茶店と、灯台。の続き

2019.2.13
2月の東京もなかなかの寒さですね。
手足しびれる寒さに紛れて、
分館ではこっそり、
自家製レーズンバターのクッキーサンドが、
プレーンと、チョコと、
選べるようになりました。
おそらく次の分館コラムの更新時には、
また新しい商品のお知らせがあるかと思います。
よろしくお願いいたします。

さて、口下手の長話が、
日を改めてになってしまいましたが、
第9回、喫茶店と、灯台。の続きです。

========================================
まるで、海に挑むかのように、
美しく堅牢な、
この教会の鐘楼に見惚れながら、
いつの間にか、
ぼんやりと喫茶店のことを考えていました。

喫茶店は、待つことが仕事です。
晴れの日も、嵐の日も、
出来うる限り、佇まいを変えることなく、
温かな飲み物と、少しの食べ物を用意して、
看板を挙げ続けること。
この鐘楼ほど
立派に務められないかもしれないけど、
足踏ん張って、根をおろさないと、
出来ないことなんだよな、と
身がすくむような、問われているような、
そんな気持ちになったことを覚えています。

灯台は、時代がいくら変わっても、
闇夜を照らすシンボルです。

そして、
これも私が転勤族だったからかもしれませんが、
東京という巨大な街に住むこと自体が、
まるでずっと広大な海の上で
浮かんで揺れているように、
感じる時があります。

東京という街で、
生活をする何気ない日常の中にも、
それぞれの、小さな旅はあり、
それぞれの町にある、
お気に入りの小さな喫茶店の灯りに、
私自身、たくさんほっとさせられてきました。

故郷らしい故郷を持たない私が
話すのもなんですが、
喫茶店にある日常は、
どのお店もとてもささやかで、
でも変わらないで力強くて、
それは小さな故郷に帰ったような、
安らかな自信を、
私に与えてくれていたのかもしれません。
それが、喫茶店の灯りなのだとしたら、
足踏ん張りながら、
灯し続けていきたいなと思います。

…何だか長くなった割に、
随分と真面目な噺にまとまってしまいましたね。
落語家さんはすごいです。
私なりに頑張って、少しサゲを作るなら、
この鐘楼を見た旅、
次の街で、
ばたり倒れて救急車で運ばれまして
結局、バルセロナにはたどり着けませんでした。
喫茶の旅も、私自身の旅も、
未だやり残して道半ば、
先はまだまだ長いなあということで。。

という訳で、
分館ではそれぞれのテーブル席に、
灯台みたいかなと思って作った
手元灯りを用意しています。
できるだけ変わらぬ佇まいで
スタッフ一同お待ちしておりますので、
東京で暮らす小さな旅人のひと息に、
是非どうぞ。

ではでは、
次回はもう少し暖かくなってから、ですかね。
『煙が目にしみる。』、『老舗の年月。』、
もしくは、その他のお話の予定。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?