【第一回考察編】喫茶店のカレーはライスありきなのか?
こんにちわ、みなさま。
6月第一回無事、終了いたしました。
はじめにまず、お礼をば。
本当に驚いておりますが、
熱の籠もったアンケート、
多々いただきまして、ありがとうございます。
すべて、目を通させていただきました。
そして、目からウロコといいますか、
溢れ出す気づきの機会を多々頂きましたこと、
感謝しております。
ありがとうございました。
考察のお時間、
予定よりかかってしまいましたが、
早速、考察編、はじめさせて頂きます。
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はじめに、
この度のアンケートにて
質問したのは、以下です。
・喫茶店のカレーは好きですか?
・思い出に残っている喫茶店のカレーはありますか。もしくは好きなカレー屋さんはありますか?
・今日飲まれているものとの相性はどうですか?(飲み物の味、香りなど美味しく感じましたか?)
・喫茶店のカレー、家庭のカレー、専門店のカレー、洋食屋さんのカレー、どのようなカレーに感じましたか?
・懐かしく感じましたか?新しく感じましたか?
・喫茶店のカレーは好きですか?
については第二回の冒頭で触れましたが、
本当に予想外でびっくりしました。
「好き!」な皆さんの中では、
「落ち着いて食べられるので」〈rin-snowさん〉
「器も含めてすてきなので」〈kaiさん〉
「喫茶店のカレーはどのお店も同じものがなくてお店の個性が出て楽しい」〈ハナさん〉
「はい。なんとなく優しい感じがします。」〈ピンクのショートへアさん〉
など、
過ごす時間や雰囲気など、
場所も含めてお店唯一の味と
感じ取っていただいているようで、
皆さんの喫茶愛を感じました。
喫茶店とカレーがあまり結びついてない方でも、
カレー自体が嫌いな方はほとんどおらず、
好きなカレーについて書いて頂いた方が
多かったです。
そこで見えた特徴といたしましては、
【喫茶店のカレーが好きな方】
→欧風カレーやドライカレー
辛いのは苦手
【喫茶店とカレーがあまり結びついてない方】
→スパイスの複雑なカレー
辛いのが食べたい
を挙げる方が多かったです。
むむむ、と思った瞬間ですが、次に移ります。
・思い出に残っている喫茶店のカレーはありますか。もしくは好きなカレー屋さんはありますか?
前者、少しナイーブな質問でもありますが、
エピソードも書いていただいた方たち、
教えていただきありがとうございました。
「山里で食べためちゃめちゃ辛いシカ肉のカレー」〈モツ煮込みうどんさん〉
「閉店してしまいましたが、高田馬場のマラバール」〈鳩さん〉
「神保町のカレー」〈noiさん〉
「福島で喫茶店を営んでいる伯母の夏野菜カレー」〈やまださん〉
「通っていた大学の近くの喫茶店のポークカレーと週替り定食でたまに登場するドライカレー」〈myraさん〉
「地元帯広のチェーン店ですが、インデアンカレーが食べあきない美味しさ」〈ななめこさん〉
旅先や故郷、そして学生時代。
どれも小説の一節のようだなーと思いながら、
ここはしみじみ読んでしまいました。
思い出に残る味と、
もう一度食べたい味は似ている気がしていて、
日常使いする喫茶店のカレー作りへ
ヒントになるのではと、
今回、必ず伺いたかった質問の一つでした。
カレーには、
刺激的で脳裏に焼き付けるような側面と、
ほっこりくせになるような側面。
正反する悪魔的な二面性で
記憶にアプローチするのが、
多くの人を食べ飽きさせない魅力なのかなー
と思いました。
ここも、むむむ、きました。
後者の質問については、
それは本当にたくさんのお店を
皆さん、書いていただきました。
全てを挙げるともう、いつ書き終わるか、
わかりませんので、
特に気になったお店のいくつかを。
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この度、
3回もアンケートにびっしり書いて頂いた、
ペンネーム
〈アキコ・カウリスマキさん〉より。
「青梅『夏への扉』という喫茶店のチキンカレー。…中略…窓の下に見える中央線。窓を通り抜ける風。静かに流れるJAZZ。東京にいることを忘れます。」
夏への扉。
当店もですけど、小説の題名からですね。
小説同様、時空を超えるような時が
過ごせそうな喫茶店。
青梅にまだ訪れたことありませんが
行ってみたいです。
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続きまして…
ペンネーム
〈ハッピーブルーマンデーさん〉より。
あまり食べる機会はありませんが、
国立市のロージナ茶房のカレーが好きでした。
国立は仙川と同じように
近くに音楽大学があったり、
街として少し親近感を感じます。
何度か伺ったことがありますが
ロージナ茶房さんはとても
学生街の喫茶店という感じがしますね。
改めて少し調べてみると、
たくさんある洋食メニューの中に、
名物の真っ黒なザイカレーなど、
気になるものが多いです。
ふらり国立へ行きたくなりますね。
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あと、もう一店、
ペンネーム
〈clairさん〉より。
新宿五丁目、
カフェアルルのインドオムラ
※オムライスのライスがドライカレー、
ソースもカレーでした。
看板猫のいる老舗喫茶店ですが、
こちらのメニュー、私知りませんでした。
こういう専門店ではなかなかできないような
遊び心のあるメニューに
喫茶店らしさをとても感じます。
是非食べに行きたいです。
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その他、多数の方が挙げていたのが、
・池尻大橋『喜楽亭』さん
→つぼ焼きカレーが有名。
・新宿『カフェ・ハイチ』さん
→なんといってもドライカレーですね。
・神保町『ボンディ』さん
→欧風カレーはここから始まりました。
・下北沢『カレーの惑星』さん
・下北沢『ポニピリカ』さん
→さすが、カレー激戦区、下北沢。
他にも多々挙がってましたが、
こちらの2店を挙げる方が多かったです。
などなど…尽きませんが、
またどこかの機会で。
皆さん、それぞれ好みのカレー、
お気に入りのお店があることが
とてもわかりました。
同時に、
末永く愛されるお店のカレーを作る難しさも
痛感した気がします。
飲み飽きない珈琲のようなカレーが、
喫茶店のカレー…?
次の質問へ、いきます。
・今日飲まれているものとの相性はどうですか?(飲み物の味、香りなど美味しく感じましたか?)
これは、
レキュム・デ・ジュールが勝手に思う
喫茶店たる大事な基準のひとつですが、
喫茶店、
茶を喫する店の主役は、飲み物である。
というのが、あります。
美味しい飲み物、
特に、珈琲に寄り添うような、
食事や甘いものたち。
それ故に、
カレーは味も香りも
主張がはっきりしているので、
とても扱うのが難しく、
このような大仰な機会になってしまった
訳なのですが…
今回のインディアンも
(ようやく本題になってきました。)
レシピ化するにあたって、
まず意識していたのは、この質問でした。
今回6月のインディアンがこちら。
後でもう少し詳しくお話しますが、
トマト感のあるスパイスカレーを作って、
喫茶店のスパゲッティらしくまとまるよう、
和の隠し味を少し入れて、作りました。
「カレーが強すぎないので、中煎りの珈琲でちょうど良かったです。飲んだ後でも香りとスパイスの後味があって、これはこれでOK!」〈Sacraさん〉
「食後にアイスコーヒーをミルク入れていただきました。かすかに残るカレーの風味を感じながら、程よい珈琲の苦味を美味しく感じました。」〈uriuriさん〉
「穏やかなスパイスの香りが、コーヒーの香りと素敵なアンサンブルを奏でてくれました。」〈タムラさん〉
「インディアンを食べてからコーヒーを飲む、そしてまたインディアンを食べたとき、味の深みが増した気がしました。」〈たまたま区民さん〉
「とても良いです。正直最初に飲み物を頼んだのは失敗かも…と思ったのですが(カレーの香りとか味に消されるかと)飲み物のことをとても考えたカレーだな、と。コーヒーを邪魔しないカレー、初めて食べましたー!」〈アズマですさん〉
珈琲を美味しく感じて頂いた方、
相互に美味しく感じて頂いた方が
多かったようで
その点ではとてもほっとしました。
今回作ったインディアンは
《淡さ、軽さ》をかなり意識して作っています。
試作を重ねる中でわかったことですが、
お米に比べて、スバゲッティは
カレーの味が強すぎると、
麺の食感だけが目立ってしまって
調和せずとても難しかったです。
そしてカレーの味を弱くすると、
カレー自体がわからなくなってしまう。
どちらかというとスパゲッティに
カレーの味と香りを薄く纏わせるように
作った結果、
今回のようにまとまりました。
ご意見の中には、
カレーが弱い、甘い飲み物とあわない、
珈琲にカレーの味を持っていかれてしまう、
などの指摘あり、
やはりバランスが難しいなと感じました。
もう少し攻めて、
カレーと飲み物を
同じ目線で感じ取れるスパゲッティに
するには、どうすればよいか…
もう少し検討ですね。
次へ移ります。
・喫茶店のカレー、家庭のカレー、専門店のカレー、洋食屋さんのカレー、どのようなカレーに感じましたか?
えー、まずは
以下の図1を見ていただければと思います。
喫茶店のカレーを考察する当初、
頭の中に浮かんだイメージが、
こんな感じでした。
なんとなく、
喫茶店のカレーは、
この辺りなのは間違いない気がするのですが、
赤枠の白抜きが
【?】なように、
一言で言い表せる言葉が浮かびませんでした。
喫茶店のカレーとは【?】。
そして、
レキュム・デ・ジュール的に
カレーの考察で
試行錯誤したり目指した範囲が
緑のところ。
帽子と眼鏡の人は…誰、ですかね。
まだ名前はないですが、
解説などの時に、
時折登場してもらおうと思います。
喫茶店の枠から少し出た部分も含めて
新しくて懐かしい
喫茶店の味を考えようと模索しました。
今回のインディアンは、
星のあたり、
スパイスの要素も加えて
ちょっと背伸びした喫茶店をイメージして
私たちなりに着地した感じです。
いかがだったでしょうか?
アンケートを拝見したところ、
【喫茶店】と感じられた方が多数、
【洋食屋さん】【家庭】と
感じられた方が少しずつ、
【専門店】と感じられた方は、
数人のみ、という感じでした。
概ね、
喫茶店のカレーとして
受け入れて頂けたようで安堵しつつ、
なかなか【?】が見えず、
ぬぬぬ、となっていたときに、
はっとさせられたのが、
ペンネーム
〈ももこさん〉より。
「インドカレーでも家庭のカレーでも欧風カレーでも流行りのスパイスカレーでもない、喫茶店でしか食べられない味。」
「カレーとコーヒーの組み合わせは永遠のロマン。」
喫茶店でしか食べられないロマンを感じる味。
なんというか、
遊び心だったり、こだわりだったり、
その雰囲気、その喫茶店らしさが出るのが、
大事なのかなと思ったり。
ひとつ、一例を。
こちらは、三軒茶屋にある
『セブン』という喫茶店。
創業57年の由緒ある喫茶店。
ここにインディアンスパゲッティこと、
カレースパがあります。
カレースパのセット(珈琲付)、1100円。
ワンプレートの感じ、固ゆで卵の美しき断面、
名脇役ポテトサラダ、主張するウインナー…
もう100点です。
満点なのは、
この雰囲気の中で食べる、
濃いめで素朴なカレースパの説得力。
多少ジャンク感のある味わいですが、
私の場合、添えて提供される、
粉チーズとドレッシングをかけて、
さらに混ぜて混沌な感じにして、
食べます。
スヌーピーの布と組み合わせて作られた、
手作りランプシェード。
とても雰囲気にあってます。
至る所に手作り、手直しを感じる内装、
三軒茶屋の街の喧騒、
そしてカオスなカレースパ。
すべてあってこその、幸せな喫茶体験。
珈琲を飲み干して、外に出れば、
満ち足りたような、清々しいような、
そんな気持ちになれる。
これこそ、素晴らしき哉、喫茶店。
例えば、ですが、
『セブン』で当店の
インディアンがあったとしたら
どこか違和感があるでしょうし、
逆もしかり、です。
それくらい、
喫茶店のメニューは
街や集う人やお店の思い、雰囲気と、
強く結びついていて、
その掛け算が生み出す、
星の数ほどの【多様性】こそ、
喫茶店なのかな、と思いました。
とすると、
喫茶店のカレーはとても自由ですね。
それぞれに喫茶店のカレーの道はある。
少し肩の荷が下りたような…
次の質問へ移ります。
・懐かしく感じましたか?新しく感じましたか?
ここで、今回
アンケートで一番衝撃的だったこと。
「カレースパゲッティなので新しく感じましたが、味はなんとなく懐かしい気分になりました。」〈りんむーさん〉
「味はやさしくて、なつかしく感じましたが…形としては新しいかと思います!!」〈takuminさん〉
「懐かしく感じました。パスタと分かって驚いたのですが、安心するお味だったので、不思議でした。」〈Anseさん〉
「どちらかというと"新しく"感じました。カレー×パスタの組み合わせをあまり食べたことがないため。」〈きぃさん〉
「"レトロフューチャー"のように新しいけど、懐かしいテイストです。」〈clairさん〉
私、皆さんを
こんなに驚かせる気はなかったのですが、
インディアンスパゲッティとは
カレースパゲッティである。
大前提のように、
今回の考察を進めていましたが、
インディアンスパゲッティの
認知度の低さにとても驚きました。
私、名古屋に住んでいたこともあり、
前述の喫茶店『セブン』さんをはじめ、
吉祥寺の『カヤシマ』さんなど、
インディアンスパゲッティを提供している
お店に慣れすぎていたせいか、
さも当然のように話を進めてしまいました。
この点におきまして、
説明不足だったこと、
伏してお詫び申し上げます。
感想でとても多かったのが、
ディテールに新しさを感じつつ、
味わいに懐かしさを感じる方が、
本当に、とても多かったです。
そして、
新しさと懐かしさの間にある感じを、
様々な言葉で表現してくれた方々。
ペンネーム
〈H.Mさん〉
「新しくもなつかしい…優しい味。」
新しさと懐かしさの間にある、優しさ。
ちょっとうるっときました。
そうですね、
そういう味を作っていきたいです。
精進します。
ペンネーム
〈アキコ・カウリスマキさん〉
「時間、時代を飛び越えるような…古い化石からDNAを取り出して恐竜を復活させたような…」
「懐かしさ、新しさを超越する、時間を歪めてる!と思いました。」
「どこか異国のはずれの小さな小さな街の食堂で食べている気分になりました。」
まるで大作映画のコピーを頂いた様な、
身に余ることで光栄です。
時を忘れるような、
旅するような喫茶店、目指したいです。
ありがとうございます。
新しさと懐かしさの間にあるもの。
その不思議な空間に、
これからの喫茶店の魅力が
たくさん詰まっている気がしています。
ちょっとまだうっすらとしか
見えていないのですけれど、
お店で、この場で試行錯誤しながら、
皆さんと考えていければなとおもいます。
ではでは、
第一回考察編、長くなりましたが。
様々な視点のご意見いただき、
インディアン、
もう少し当店らしい形を
考えてみたいなと思いました。
うまくいけば、
秋以降、本館分館どちらかで、
改めてお披露目できればなと思います。
皆さん、
6月一緒に喫茶店のカレーについて
考えていただきまして
ありがとうございました。
それと、ここでは書きませんが、
秘密を打ち明けるように、
喫茶店への想いや、まつわる思い出を
教えていただいた方々、
ありがとうございます。
当店も
かけがえのない時間が過ごせる場であるよう、
日々努めていきます。
現在、7月第二回最中ですが、
考察編、間違いなく遅くなります。
※想像以上にまとめ、大変でした。。
どうか、気長にお待ちくださいませ。
8月の第三回、
こちらも迫ってきましたが、
7月末日までには更新します。
タイトルは
「考察の果てのカレーライス」
お待たせしました、米です。
では、晴れやかな7月の終わりを。
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