海のはじまり特別編 「恋のおしまい」がとても良かった

普段あまりドラマを観ないんですが。

silentから、生方さんの脚本のドラマだけは毎クールなんとか観ています。丁寧で繊細で誰かに必ず共感できて、好き。

けど、海のはじまりは8話まで観て、なんでか共感できなかったんです。その原因が、水季の心情や行動。一児の母の私からは、もう、ぜんっぜん理解も共感もできなくて!!!

今作はどこか没入しきれないな〜と思いながら見た、特別編「恋のおしまい」。

もう、めっちゃ、良かった…。

良かったポイント① 台詞では語らない物を介した表現

通常話も、こういう演出は随所に散りばめられてたと思うんだけど、今話ではそれがことさらに瑞々しくて素晴らしかった。

大学生の水季が食べるコンビニおにぎり、水季→夏に食べさせる、具を当てるくだり。
津野くんが食べるコンビニおにぎり。休憩室で、机数台を挟んだ水季との距離感。
母になった水季が握るおにぎり。津野くんと握るおにぎり。津野くん→水季に食べさせる、具のないしょっぱいおにぎり。

置いていかれないように、夏を追い越して靴紐を結ぶ水季。
津野くんと話すために、わざと靴紐をほどいて結ぶ水季。
「先に行ってて」と立ち止まって靴紐を結ぶ津野くん。

美容院に行けなかった水季と、美容院でカットだけ頼む見知らぬ母と、ついでにトリートメントもお願いする弥生。
100均でマニキュアを買う水季、恋のおしまいにペディキュアを落とす水季、ペディキュアを塗りながら夏の電話を受けるこれから恋が始まるであろう弥生。

ドラマでも映画でもアニメでも、ながら見じゃ理解できない演出を盛り込んでくれる作品、大好きです。自分が良い時間の使い方をできていると思わせてくれて、心がちょっとゆたかになる感覚を得られる。

良かったポイント② 水季のことをやっと理解できた

冒頭にも書いたけど、1話から8話まで、"おもしれー女"ムーブがすぎて、全然理解も共感もできなかったんです、水季のこと。それは、自分に2歳の子がいることが多分に影響していて。

いやなんで自己判断で父を奪う!?!?貧困に飛び込んでいく!?!?海ちゃんのことを一番に思うなら、さっさと夏くんに連絡したれよ!!!と。

でもそれは、アラサーの私だからそう感じたんだなと、特別編を観てやっと腹落ちしました。

大学生で子供を産んで、まだ幼稚で未熟な面がある水季は、先を見据えた合理的な選択ができるとは限らない。
恋はしない、子供が最優先、頭でそう思っていても、津野くんの存在に心は揺れるし、言動も一貫性を保てない。だって、彼女はまだ成熟の過程にあるから。

この話では(海ちゃん3歳くらい?)、彼女が一区切りをつけて恋をおしまいにしたんだろうけど、これまでに描かれたシーンを観るに、結局亡くなるまで津野くんに依存してたのかなと思う。これまではその言動に納得が行っていなかったし、なんならちょっとやべえ女だなと思っていたけど、違うんだな。と。水季の解像度が上がる、とても良い特別編でした。(これ目黒蓮の体調不良なかったらガッツリ削られてたのかな、絶対放送すべき一話だと思う)

津野くんのこれまでの言動もやっと腹落ちできましたね。でもやっぱり津野くんは不憫すぎるので、今世で絶対幸せになってほしい…

最終話まで、とても楽しみです。


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