CBC賞コース論

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CBC賞(中京・芝・1200m)

コースデータ

・左回り
・スタート→3コーナーまで 315m?
・最終直線 412.5m
・高低差 3.5m
・最終直線坂 2.0m
・3,4コーナーはスパイラルカーブ

特徴

・スタート地点は向こう正面にある中京の一番高いポイントより少し後ろ側
・120mほど緩い上り、その後は最終直線まで下りが続く
・コーナーは比較的角度の大きめなスパイラルカーブ
・4コーナーから直線を向いてすぐに下りが終わり、そこから一気に100mほどの間に約2mの上りを一気に上る
・急坂を上り切った後は200mほどわずかに上り

このコースを使用するOP以上の競争

G1
高松宮記念(4上)

G3
CBC賞(3上・ハンデ)

OP
中京2歳S(2歳)


コース考察

○超外枠不利

中京芝1200m・補正込み枠順別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
中京芝1200m・補正込み枠順別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)

 「補正込み」とは、当該コースが最大18頭立てで開催されること、即ち7・8枠の出走頭数が1~6枠に比べて多くなることを踏まえ、1~6枠の出走頭数とほぼ同じになるように一定の係数を掛けた後の数字であることを意味する。
 今回の場合、7枠に74%、8枠に71%の補正をかけている。

 中京競馬場はその性質から外枠が非常に泣きを見やすいコース。
 特に1200mはそれが露骨に働き、この距離だと多くの馬がテンを繰り出していける都合外枠の馬がインに寄せることが難しく、インに寄せられないと3,4コーナーのカーブで外に吹っ飛ばされ、外に吹っ飛ばされると距離ロスが激しくなり直線を向く前に勝負が終わってしまうという図式。
 特に多頭数の場合、6枠から外が露骨に成績が悪くなる。内側に馬がごった返しており内に寄せることが困難だからであろう。逆に言えば内枠を引いた馬はそれだけで大きなアドバンテージを得ているということになる。

 なおA・Bコースそれぞれの傾向は以下の通り。

Aコース

中京芝1200mAコース・補正込み枠順別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
中京芝1200mAコース・補正込み枠順別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)

 補正は7枠75%、8枠70%。

Bコース

中京芝1200mBコース・補正込み枠順別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
中京芝1200mBコース・補正込み枠順別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)

 補正は7枠74%、8枠72%。

 当然と言えば当然だが、A+Bのデータにそもそも大きな傾向が現れているため、分割しても大枠の傾向は全く変わらない。
 そのうえで敢えてさらに傾向を見出すのであれば、Bコースのほうがより外枠が苦しくなっている。これも当然と言えば当然で、Bコースのほうがコース全体として大回りになるため、外枠での距離ロスがさらに激しくなるためである。

○前に出せるに越したことはない

中京芝1200m・全頭脚質分布(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
中京芝1200m・馬券内脚質分布(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
内側の円が馬券内・外側の円が総数

 基本的には直線が長く急坂構えのコースらしい結果になっているが、勝ち馬だけ見た時と馬券内に入った馬とを切り離して考えた方がよさそう。
 勝ち馬に関しては、明確に前にいる方が有利といってよい。
 一方馬券内に入ってくる馬という観点になると、逃げ馬はほぼ残れず、差し馬がやや進出してくる。

 ただやはり本質的には前目のほうが有利と捉えてよさそう。
 タフなつくりになっている短距離コースのため、差し馬でも追走に脚を使ってしまい溜めきれなかった結果一番前まで差し切れないという形に落ち着いてしまいやすいといえる。
 或いは、中京競馬場そのものが抱える性質として外に振られた馬の距離ロスが酷くなりやすいことから、外を回す差し馬が本来の走り切れる距離限界以上のロスを作ってしまい、結果差し脚が甘くなるということもあるかもしれない。
 2022年高松宮記念を勝ったナランフレグ、2020年高松宮記念で4頭が競った時などもそうだったが、内目の馬場を通っての決着が目立つのもこういう事情があるのかもしれない。

 なおA・Bコースそれぞれの傾向は以下の通り。

Aコース

画像
中京芝1200mAコース・馬券内脚質分布(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
内側の円が馬券内・外側の円が総数

Bコース

画像
中京芝1200mBコース・馬券内脚質分布(2018年~・1勝クラス以上・16頭以上)
内側の円が馬券内・外側の円が総数


過去のCBC賞ラップ推移

 20年~22年は代替開催。中京で開催されていないため省略。

 基本的には短距離レース特有の前傾質な傾向がそのまま適用される形。2015年以外は最終1Fでペースが大きく落ちるのも傾向通りと言える。
 中京の場合は最終1Fの勾配自体はきつくないものの、その直前に中央10場で2位の急坂を上っているため、どうしたって終始前を張り続けている馬にとってはそこから再度ペースを上げて走るのは困難。これが必ずしも前一辺倒にならない理由である。

 また、これはペースとは直接関係ないのだが、コース性質上内ラチ沿いを頼っての騎乗が極めて有効になりやすく、またコーナリングで無理に勢い付けず後方になっても追い出しを我慢する騎乗が成立しやすい。
 道中10秒台連発の16年勝ち馬レッドファルクス、雨が降る中道中のペースが33秒台前半と速くなった結果大外一気が間に合った17年勝ち馬シャイニングレイ、やはり不良馬場開催の19年勝ち馬レッドアンシェルなどは外差しが決め手ではあるものの、彼らはすべてコーナリングで我慢した馬であり、またこれらの時も内目を頼った馬が2着或いは3着に好走している場合がほとんど。
 馬場状態によって左右される部分も大きいので一概には言えないかもしれないが、上記の枠傾向にもあったように内ラチ沿いを頼りやすい順で成績が良いような傾向になっているため、押さえておきたい。

 以下、少なくとも23年は(3歳馬がいないため)関係のない内容。
 CBC賞と言えば22年は今村聖奈騎手騎乗のテイエムスパーダが制していたり、21年には後のスプリンターズS覇者ピクシーナイトが2着好走するなど、近年では3歳馬の活躍が目立っているレースであるが、中京開催のCBC賞に限って言えば過去7年で11頭が出走し馬券内が一頭もいない。
 この中には14年ベルカント(1人気5着)・18年アサクサゲンキ(3人気4着)・19年アウィルアウェイ(3人気8着)など有力馬と目された馬もおり、このコースが斤量の軽さだけで簡単に上位に入らせてくれるわけではないということが伺える。
 そもそも短距離路線はダート路線と同じで比較的古馬強豪が君臨し続ける環境で、21世紀になってから3歳でG1スプリンターズSを制した馬が21年ピクシーナイトと07年アストンマーチャンしかいない。ハンデ戦なのでこの部分の差は多少埋まってはいるものの、中京という舞台に限ればハンデをつけてもなお埋まりきらない差があるのかもしれない。


主観

 コース的には中京競馬場らしく、内で立ち回れる馬が恩恵を受けやすいところ。
 単純に枠でそれを判断するのもよいが、騎手の傾向や脚質、馬の個性からも内で立ち回れるか否かは変わってくる。
 また、外を回さざるを得なくなった場合でもコーナリングで我慢できれば直線で弾ける場合もあり、他場の同距離コースと比べると差してもやれないことはない。こういう馬は中京競馬場の直線が長いことを有効活用できているといえるだろう。
 付け加えるならば、比較的アップダウンが大きく、最後の直線で大きな上りが待ち構えていることからタフなコースであるといえ、その結果純粋なスプリンターというよりは少し長めの距離がベストな馬にとって戦いやすい条件と言える。1400mでの好走歴が目立つ馬は面白いかもしれない。

 CBC賞というレースとしては中京で行われるのは久々。
 短距離のハンデ戦でもあるが、他の競馬場に比べて短距離でも然程前後の位置取りに固執する必要のないコースでもあるため、ハンデがどれほど影響を及ぼすかは何とも言えないところ。
 ただラジオNIKKEI賞のコース論でも少し述べたのだが、今年から斤量に関する諸々が変更になった影響がハンデ戦も出ており、ハンデ上位の馬にかなり酷と思われるハンデがつけられている傾向にある。出走回避したダノンスコーピオンに59kgが設定されるなどしており、この斤量改革は特に短距離レースに今後大きな変化をもたらす可能性が高いため、注意しておきたいところだ。


文責:もじゃ

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