ラジオNIKKEI賞コース論
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ラジオNIKKEI賞(福島・芝・1800m)
コースデータ
・スタートから1コーナーまで 約305m
・最終直線 292m(Aコース)
・直線坂 1.7m
・3,4コーナーはスパイラルカーブ
特徴
・スタートし1コーナーを迎えるまでに1.7mの坂を上り、そこから2コーナー途中まで下り
・2コーナー途中から向こう正面にかけて上り
・3,4コーナーは平坦
・最終直線でもう一度上る
このコースを使用するOP以上の競争
G3
福島牝馬ステークス(4上・牝)
ラジオNIKKEI賞(3歳・ハンデ)
OP
福島テレビOP(3上)
※20年以降は芝1200mで開催
コース考察
○中枠が不利
福島芝1800mはスタートしてから割とすぐに角度の急なコーナーに入る。
そういったコース全般の特徴として、ラチに沿って進めばいい内枠とその外から覆うように動ける外枠は比較的成績が上がりやすい一方、その両者に挟まれる形になる中枠の馬が不利に陥りやすいという点が挙げられる。
ただし、AコースとBコース、或いは馬場の傷み方の影響を受けて走りやすい枠が変動している。
下記がAコースとBコースで分けたもの。
Aコース
Bコース
当然ながらAコースを使用している時というのは比較的内目が使いやすく、逆にBコースを使用している時というのは内の傷みが進行し外からの差し追い込みが決まりやすくなっている状態。
それゆえにAコースの内目が使いやすい状態の時には内枠の馬が、Bコースの外からの競馬がしやすい状態の時には外枠の馬がより優勢となっている。
中枠の馬、とりわけ5,6枠の馬の成績が上がらないのは、このどちらの馬場状態であってもその恩恵を受けられないからというのも少なからずあるだろう。
○比較的先行でも戦える
ローカルコースにしては差しが通っているが、基本的には前目の馬に展開が向きやすいコースといえる。
中山芝1800mと構造が近いが、中山ほどアップダウンが激しいコースではない。逆に言えばコースによる干渉が小さい分展開の振れ幅が大きく、前が残りやすいペースになることもあれば差しに展開が向くタイトな展開になることもある。
それが脚質の多様性を生んでいる、独特なコースであると言えるだろう。
なお、Bコースの方はやや位置取りによる足切り傾向がある。
馬場が傷んでいるから差しが通りやすくなると思われがちだが、実際にはコースの幅が狭いことによる進路の制限や、外を回すことによる距離ロスが多くなりすぎること、そもそも直線が短いことなどが要因として挙げられる。
また、データの対象に下級条件(1勝クラス)が多めなのも影響していると思われる。
Aコース
Bコース
過去のラジオNIKKEI賞ラップ推移
序盤のペースアップだけがかなり強く出ているが、その後の推移はゴールするまでそこまで速いというわけでもない。
これに関しては同コース開催の福島牝馬Sでは見られなかった傾向。というより福島牝馬Sがかなり年毎の変化が激しかったというべきかもしれないが。
福島競馬場全体の特徴として、こじんまりとしておりコーナーが小回りで直線部分もさほど長くないことから、速度をつけて走れる区間が短い。
加えて1世代限定かつその中でも一線級からは落ちるメンバー構成になりやすいこのレースだからこそ、こういった中盤以降のペースが上がらないラップの刻まれ方をしている。
また、こういった構造上の特性及び出走馬のレベルから上がり33秒台は過去10年で1頭も出しておらず、また13年1着のケイアイチョウサンを除けば勝ち馬はすべて4コーナーを7番手以内、ケイアイチョウサン+18年2着のフィエールマンを除けば連対馬はすべて4コーナーを9番手以内に通過している。
ただし○番手以内の○に入る数字を過剰に気にする必要はあまりなく、単純にある程度4コーナーまでに勢いづいて前を捉えられるようなポジショニングを取れていないとこのコース(或いはこのレース)で勝ち負けすることは困難ということが理解できれば問題ない。
なお、このレースはハンデ戦であるが、今年はどうも例年と比べて上位ハンデ馬に斤量を盛られている節があり、過去のデータと単純比較が難しい。
ただハンデが重いと位置取り争いをするための出脚や、中盤以降進出するための初動が遅れるということを招きやすいため、気を払うに越したことはない。
主観
福島競馬場そのものがスケールの小さい中山競馬場のような構造をしているために、基本的には中山競馬場の特性を踏襲している。
この1800mは典型的なコースの一つであり、序盤の展開がまちまちになることを除けば、枠の有利不利や脚質傾向はかなり近い。
展開面に関しては中山競馬場と違い序盤にそこまで高く上らないために一気にスピードをつけることも可能で、中山1800mと比較するとその部分でペースが流れやすい。
逆に言えば、小回りコースで最終直線が短いにもかかわらず、ハイペースで逃げた馬が垂れて後続につかまりやすくなっているということでもあるので、先行できる馬に対してローカルだからと過大評価しないようにしたいところ。
レース的には出走できる条件がかなりピンポイント気味であることから、レースとしての格そのものはG3ではあるものの実情として一般のG3と同レベルに考えてはいけないということは留意するべき。
より直接的に言うなら、せいぜい古馬2勝クラス程度のレベルで収まることも珍しくなく、それゆえにペースは然程上がらず、またラップ推移が先行馬に厳しいものであっても差しも届かないという事態が起こりうる。
このあたりのギャップに要注意か。
なお過去データを参照する際、18年(1着メイショウテッコン・2着フィエールマン)だけはこのレースに似つかわしくないハイレベルなレースとなっているので、この年のデータを扱う際には注意が必要。
メイショウテッコンはこの後神戸新聞杯3着、日経賞も勝っている。フィエールマンに関しては語るまでもない。
さらに下位にも平地OPまで勝ち上がったロードアクシスやシセイヒテン、グレンガリーなどに加え、3勝クラスから勝ち上がれなかったものの格上挑戦の札幌記念で5着のイェッツト、障害競走強豪のケイティクレバーなども集まっており、ある意味このレースとは不釣り合いなメンバー構成だったといえるだろう。
文責:もじゃ
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