進歩的な男と保守的な女

  依然として家庭内がごたごたとしている。以前にも書いたように、夫が会社を辞めるからだ。「転職」には賛成していたが、それは正社員から正社員になることだと認識していたからで、そもそも夫が最初に話を切り出したときは彼もそのつもりだった。しかし、彼の中で考えが整理されていき、明確な目標が見つかったようだ。そのためには「その業界でアルバイトをしながら、勉強をする」ことが、目標を叶えるための一番の近道だという結論に至った。

  家族は置いてきぼりじゃないの、とわたしは思った。わたしたちには守らねばならない大切な息子がいる。未来を豊かにするために、今を苦しくさせるという選択を、保守的なわたしとしてはどうしても受け入れられないのだ。社会はものすごいスピードで変化している、ということくらいはいくら疎いわたしでももちろん感じている。アメリカでは2020年までに労働人口の約半数がフリーランスになるなんて話もある。会社に雇われる生き方の危うさは理解できるのだけれど、それでも2019年の今現在、周りの友人を見渡してみても〝夫は会社員〟という人が大半だ。結局のところ、怖いのだ。進歩的な男と保守的な女、互いの落としどころはまだ見つかっていない。

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