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B-DASH「NEW HORIZON」パンクバンドが目指した新たな地平線

2005年リリース。B-DASHの4枚目のアルバムにして、今までのパンク路線からシフトチェンジした意欲作。
彼らのラインナップの中で異色ともいえる作品ですが、爽やかさと温かさが際立ったアルバムです。


B-DASHとしては珍しい全編日本語の作品

B-DASHといえば「適当アドリブめちゃくちゃ語」を発明、意味不明な歌詞が大きな特徴。前作『ビッグ ブラック ストア (連絡しろ)』の頃から、徐々にメロディを活かした歌モノ路線にシフトしてきていたが、本作はインスト曲を除いて全て日本語詞となっている。

また初期の頃は英語の教科書の例文を抜粋して英詞を書いていたというが本作は日本語。しかしNEW HORIZONといえば英語の教科書の大定番。
そこで英語を使わないのは狙ったのか、そうでないのか。。。

やわらかな光のような、不思議な感触

彼の他のアルバムとは全く違った肌触りの作品だが、個人的にはB-DASHのアルバムではこの作品が真っ先に浮かんでくる。
一言で言うと、このアルバムは圧倒的に「温かい」。
やわらかな光のような、希望に満ちた温かみを感じる。

基本は8ビートのロックサウンドで、シャウトもあり、決しておとなしい音楽ではない。しかし、全体を流れる雰囲気は優しく爽やかな印象を受ける。
パンクというよりもJ-POPに近い表現で、当時のロキノン系バンド達からの影響も感じられる。

冒頭の「サバイヴ」はトライバルなパンクを基調にしながらこれから何かが始まるワクワク感を高めてくれるし、2曲目の「GO GO B-DASH!」は当時のライブの入場テーマとなっていてライブに一体感を与えていた。

「花鳥風月」「心の詩」、ロンドンブーツ亮さんの結婚を祝した「LON」など優しく心が穏やかになる曲が多いのも特徴。

アルバムの核となる表題曲「NEW HORIZON」

中でも、SUPER CARのいしわたり淳治作詞の表題曲「NEW HORIZON」この一曲が全てを表しているし、アルバムの顔となる曲であることは間違いない。明らかに楽曲の纏っている空気が違う。

疾走感のあるロックソングだが、聴いていて感じるのは宇宙規模の優しさ。
無重力状態で、優しさの粒子に包まれているようにも感じる。

歌詞からもストーリーを感じ取れ、GONGONの優しい歌声と外部の作詞家によるコラボレーションが功を奏しています。

誰かが愛を叫んでも 愛が全てと歌っても 
言い出して以来 何年経ったか もう十倍のヴォリュームで叫べばいいのか あり得ない 耳を塞いでいたんだろう ずっと

NEW HORIZON

序盤は「愛なんて意味がない」と諦めながらも、道に迷いそれでも諦めずに進み続けた先に、最後には再び「愛が全てだ」という答えに帰着する。

場合と出会いの合致で 動き出すこの毎分を
精一杯のバタ足で いっそ笑って new goodフォーム
永遠を学んだパッション 愛がすべてだ
このパッション 

今までバンドが歩んできた道。そして目線の先に広がる地平の光。

全力で楽しく・思いっきりふざけながら、ファンの若者たちの気持ちのはけ口となってガムシャラに歩んできたからこそ、この曲は熱く強く響くのではないかと思う。


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