独立弁護士のストレス対策

独立弁護士のストレス対策について、noteにまとめてみました。

独立している弁護士は自由な反面、ストレスが強い環境にあります。

弁護士の自殺率が平均よりも高いことからも弁護士がストレスの強い職種だということが分かります。

独立弁護士のストレスの発生源はおおまかに分けるとお金人間関係事件処理に分けることができると思います。家庭の問題もストレスの発生源ではありますが、弁護士業とは関係ないのでこのnoteでは割愛します。

1.お金にかかわるストレス対策

お金に関して強くストレスが発生するのは資金繰りの不安です。

私自身、一時期資金がショートするのではないか不安に襲われた時期があり、そのころは毎日通帳の残高と入金予定を確認して、休日も頭の中は資金繰りのことでいっぱいでした。

この頃が一番ストレスがかかっていたと思います。

お金にかかわるストレスを低減させる対策としては、以下のものが考えられます。

①現預金を確保する

お金にかかわるストレスは収入が低いといったことではあまり生じません。

実際にストレスが生じるのは、預金残高が底をつきそうになる不安に襲われたときです。仮に所得が3000万円あったとしても、預金残高が底をつきそうなときは恐ろしいほどのストレスがかかります。

このストレスを回避するにはとにかく現預金を確保することです。

これは借金でもかまいません。預金残高があれば、それが負債かどうかはあまり問題ではないのです。

少なくとも預金残高が500万円を切りそうなら、借入をすることを検討すべきでしょう。

②報酬サイクルが短い業務を一定程度確保する

毎日のようにお金が入ってくれば(売上が立たてば)、不安やストレスを感じにくくなります。

私がお金に関してストレスを最も感じていた頃は、顧問料で概ねの経費はまかなえていたけども、取り扱い案件が大き目で入金までが長期にわたるものが集中していたときでした。

顧問料以外の入金がない月もあり、このまま今やっている事件の報酬が入らなければまずいんじゃないかと不安に思うことが多々ありました。

今は、単価が3~15万円程度の案件が細目に入ってくる流れができてきましたが、請求書を頻繁に出せるので精神的に安定しています。

単価はそれほど高くなくとも、毎日お金が入ってくるような実感を得られると不安やストレスはなくなるようです。

比較的サイクルの早い案件としては以下のようなものがあると思います。賛否ありますが訴訟の出廷日当なども効果的かと思います。

・相続放棄の申述
・退職代行
・契約書のチェック・作成
・ネット記事の削除請求
・有料法律相談、タイムチャージの顧問

③定期的な依頼供給源を確保すること

一見さん相手の一般民事や家事事件ばかりを行っていると、いつ依頼がなくなるかという不安が常につきまといます。

一番の安定顧客は顧問先企業ですが、他には保険会社や不動産管理会社、整形外科・接骨院等、定期的に仕事を供給してくれる企業とお付き合いしておくと、仕事が来なくなるのではという不安が和らぎます。

私は交通事故はほとんどやっていないので保険会社の付き合いはありませんが、不動産管理会社の顧問先が定期的に依頼を供給してくれます。

他士業からの紹介もあるのはありますが、個人的な経験では他士業からの紹介案件は筋の良い案件は少なかったです。

ある程度筋の良いお客さんは既に弁護士の知り合いくらいはいるのが普通です。私自身、中堅・大企業のお客さんから他士業を紹介してくれと言われたことはほとんどありません。

仲の良い他士業から紹介を得ようというよりは、既に弁護士と付き合いがあるような企業からまずは単発案件を引っ張ってくることを考えた方がよっぽど簡単ですし、効果的かと思います。

2.人間関係にかかわるストレス対策

弁護士の仕事で人間関係が問題となるのは、共同経営者、従業員、依頼者・紹介者、相手方・相手方代理人です。

①共同経営者

人間関係で一番ストレスがかかりやすいのは、共同経営者との人間関係ではないかと思います。

よく言われていることですが、共同経営は基本的にうまくいきません。原則共同経営の選択肢は外すべきだと思っています。

少なくとも期が上、同期でも歳が上の弁護士との共同経営は避けるべきです。

共同経営でなんとか成り立つのは、規模が大きすぎて一人一人が見えにくい・解体がもはや困難な事務所、紹介中心でパートナーの取り扱い分野が異なり顧客がバッティングしない事務所、共同経営という名のワンマン事務所ぐらいではないかと思います。

②従業員

従業員との人間関係は、弁護士の方が圧倒的に力関係が強いのでよほど採用に失敗しない限りは大丈夫ではないかと思います。

逆に従業員の方が弁護士との人間関係に悩んでいることの方が多いので、従業員にストレスがかかっていないか常に気を配る必要があります。

③依頼者・紹介者

依頼者や紹介者との人間関係に苦労する弁護士は多いようです。

なかなか対策は難しいところですが、私は以下の点を心がけています。

・依頼者・紹介者に違和感を感じた案件は受けない
・勝ち目がない、採算の合わない案件は受けない
・特定の依頼者・紹介者に依存しない
・重要なやり取りはメールに残す
・無理なものははっきり無理という。それを理解できない顧客とは付き合わない。
・接待はしない

最近士業界隈では「できない理由よりできる方法を考えます!」といった売り文句が流行っていますが、これが行き過ぎて顧客との関係こじれている事案を弁護士のみならず他士業でもよく見かけます。

無理なことに無駄なコストをかけさせないのも専門家の価値だと思います。

④相手方・相手方代理人

紛争ごとを扱っているので、やたらと攻撃的な相手方、相手方代理人にはしばしば出くわします。

相手方・相手方代理人に対してストレスを感じてしてまうときは、自分が当事者化してないかを疑った方がよいです。

弁護士の仕事は良くも悪くも所詮他人事を扱うものですので、そういう気持ちでいればストレスは軽減すると思います。

裁判所や第三者のお役所などの対応も同じです。

3.事件処理にかかわるストレス対策

幸いにも私は事件処理でストレスを感じたことはほとんどありません。

ストレスを感じにくくさせるコツとしては、常にボールを相手方に渡してしまうことだと思います。

具体的には、事件処理でやるべきことをグーグルカレンダーのtodoリストに全部書き出して、しらみつぶし的につぶしていきます。

訴訟の書面も提出期日を待たずに作ってしまいます。相手方の書面が提出されてから期日までの間にこちらの書面を出してしまい、ずっと相手方のターンというのを理想としています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?