東大前期教養の履修戦略【第4回】履修登録と試験とリベンジと。
※最終更新2022年度追記 昨年度までの情報を参考にしているため、変更の可能性がある。詳細および正確な情報に関しては公式の文書を参照されたい。というのも私が駒場を離れて長くなるので.......
時間割を組んだ後に待ち受けるイベント、それは履修登録と試験とリベンジ。
どうもこんにちは、ラワイル(@La_Wile_)です。第4回となる今回は、履修登録・試験・リベンジについて語ります。(とくに1Sについて語ります。)
※新型コロナの影響で大幅な変更が生じうることに留意してください。2020年度Sセメスターはオンラインで試験が行われました。対面に戻ってからはまた別の体制になるでしょう。この記事は2019年度、対面試験の経験をベースに書いています。
なお、第3回の前回は科類別に時間割の組み方を解説しました。まだの方はこちらをどうぞ。
文Ⅰ: https://note.com/lawile/n/n8271999334ca
文Ⅱ: https://note.com/lawile/n/n39470e6af64b
文Ⅲ: https://note.com/lawile/n/n2d3f3d636fbb
理Ⅰ: https://note.com/lawile/n/n7a32bd7c6dbe
理Ⅱ・Ⅲ: https://note.com/lawile/n/ne8da1ff342db
※この記事の使用で万が一不都合や損害が生じても、ラワイルは責任を負いかねます。学生は履修の手引きならびに教務課への相談等公式情報を使用するのが基本となります。
1 履修登録
履修登録期間及び修正期間に必要な登録をすべて行ってください。ただし、特殊な履修(文科生による基礎科目ー自然科学の履修、他クラス聴講など)は「履修登録カード」を使ってください。「履修登録カード」を使う場合の登録期間は、通常の登録期間とは異なる場合があります。
♪2 レポートと試験
対面・オンラインの状況によってミスリーディングになりうるので♪マークをつけました。
レポートは、科目によってまちまちですが、期末レポート1本の科目については、例年試験期間開始直前から試験期間終了直後にかけて期限が設定されることが多いようです。
なお、初年次ゼミナール文科(理科に比べ、点数がつく分重い傾向がある)のレポートの設定期限は、例年少なくない教官が試験期間が終了したあとの、8月に設定しています。遅いところだと8月のまんなかとか。
期末試験は、例年はざっくり3つの期間に分かれていました。2019Sを例に話すと、こんな感じです。ちなみに私は試験日程発表前に昨年度の試験日程をさかのぼってチェックしていました。
7月10-16日:第13回(最終)授業。総合科目L系列の授業(中国語初級演習・英語中級・中国語初級インテ)などの試験が行われる。
7月17-18日:補講期間
7月19-25日:総合科目・人文科学(文科生の準必修もといメインディッシュ)・社会科学(文科生の準必修もといメインディッシュ)の試験が、開講曜限と同曜限で行われる。ターム型科目の7週目(最終授業)はここで行われる。したがって、英語中級ターム型の試験もここで行われる。
7月26-31日:文理共通の基礎科目(主食=英語一列・情報・中国語二列等初習外国語の多く)、自然科学(微分積分学①・線型代数学①・力学・熱力学または化学熱力学)、一部の総合科目(基礎化学・現代生命科学Ⅰ・図形科学B)の試験が行われる。
なお、中国語二列など初習外国語の基礎科目の試験は教官によって本当にまちまちです。私のところは二列の試験が上記日程で一列・二列の両方の基本的な成績となるという方式でしたが、これ以外にもいろいろパターンがあるようです。
ちなみに、例年、数理科学基礎はS1ターム末に中間試験があります。
3 成績発表
標語(優上など)の発表は、2019年度は9/10でした。原評価(100点満点)の発表は、2019年度は9/26でした。
4 リベンジ
⑴ 前提知識の確認
そもそも、第3回で確認したように、基本平均点において、ベースの単位(要件を満たし成績上位 文科生:50単位 理Ⅰ生:56単位 理Ⅱ生:57単位)が重率1、その他の単位が重率0.1でのることをご確認ください。(『履修の手引き』55ページ)なお、工学部指定平均点(より多くの科目が重率1でのる)などはこの限りではないので注意してください。
さて、この重率1科目のみの平均点を「ベース基本平均点」と定義しましょう。例年1A末成績発表では、基本平均点が算出されるのですが、このとき、取得単位数は一律で50単位・56単位・57単位と表示され、理科生の全員や文科生の一部など、まだベース基本平均点の科目で取り切っていない科目がある人は、0点が重率1で載っていました。大学もお知らせを出してはいましたが、当然TwitterのTLは大混乱。最初からすんなり受け入れられた東大生は約3000人中300人もいなかったんじゃないんですかねぇ(ラワイル推計)。でも、「ベース基本平均点」と「科類ごとの要件」及び「重率」の関係がわかっている皆さんならもう大丈夫でしょう。
ここで『履修の手引き』をよく見ると、重率0.1でのるのは、重率1の科目以外の科目で、「単位取得した基礎科目(文科生)・単位取得した任意選択の基礎科目(理科生)」と「履修科目登録した総合科目・展開科目」となっています。そのこころは、ベース基本平均点の科目を超えて履修科目登録した基礎科目(文科生は人文・社学、理科生は任意選択の科目)で不可または欠席となった科目は基本平均点にのらないことを意味します。もっとも、ベース基本平均点に不可・欠席の科目を入れざるを得ないとき(2S末までの時点で、理科生が電磁気学Aを不可っている場合や文Ⅰ生が法Ⅰ法Ⅱ政治Ⅰのみ単位取得、政治Ⅱを不可っており他に社学を取っていない場合)は当然重率1でのりますし、ベース基本平均点の科目に未履修のものがあるとき(文Ⅰ生が法Ⅰ法Ⅱ政治Ⅰのみを履修登録し、単位取得したまま2S末まできてしまった場合)も、0点が重率1でのります。
⑵ リベンジ方法
では、リベンジの方法を列挙します。「」のつくものが公式用語。つかないもののうち俗に~とするものが通称でなにも付していないのはラワイルが定義した語です。
「再履修」・「他クラス聴講」・通常の追い出し・青天追い出し・「追試験」・「平均合格」・「補修」・「2Aセメスター特修クラス」
先に言っておくと、俗に再履修だの再履だの呼ばれている行為は正確には「再履修」と「他クラス聴講」に分かれます。また、俗に追い出しと呼ばれている行為も通常の追い出しと青天追い出しに分けた方がよいでしょう。
「平均合格」、「補修」、「2Aセメスター特修クラス」については割愛します。そのうえで説明の順番としては、まず「追試験」が行われる場合が前期教養では限られていることを確認したうえで、俗にいう再履修と俗にいう追い出しの相違点、「再履修」と「他クラス聴講」の相違点、通常の追い出しと青天追い出しの相違点について解説します。
ア 「追試験」は限られる
『履修の手引き』(2019年度版なら37-38ページ)にあるように、単純に不可または欠席の際に「追試験」が認められるのはごく一部の基礎科目に限られます。また、病気・事故その他特別な事情で「追試験」が認められる科目は、単純な不可・欠席のときよりは多いですが、やはり一部の基礎科目に限られます。またいずれの場合も、成績の上限が50点ないし75点に制限されます。東大前期において、「追試験」は限られていると考えてください。
イ 俗にいう再履修と俗にいう追い出しの相違点
俗にいう再履修:「再履修」と「他クラス聴講」。成績の上書きをともなう。
俗にいう追い出し:通常の追い出しと青天追い出し。新しい成績が成績表に追加されるだけで、成績の上書きをともなわない。
俗にいう再履修は、同じ名称の科目でリベンジします。
俗にいう追い出しは、違う名称の科目でリベンジします。
♪ただし、ここでいう同じ名称とは、「修得済み科目の履修制限」(『履修の手引き』11ページ)に引っかかる科目として定義します。したがって、総合科目L系列のうち「外国語初級・中級・上級(中国語初級演習など文科生の実質必修のアレを除く)(英語中級は当然含まれる)」やD系列のうち名称に「スポーツ・身体運動実習」が含まれるものは成績の上書きが行われません。展開科目も同様です。主題科目も成績の上書きが行われませんが、そもそも点数がつかないのであまり議論の実益がありませんね。
以下、どのような科目がそれぞれの行為の対象となるか見ていきましょう。
ウ 「再履修」と「他クラス聴講」の相違点
「再履修」:とれる時期が限定されていない科目(基礎科目ー社会科学、基礎科目ー人文科学、総合科目、なお基礎科目ー身体運動・健康科学実習Ⅰ・Ⅱについてはいろいろ制限があるので『履修の手引き』参照)において、不可・欠席のとき、来期以降リベンジを行う。成績上限はなく、100点満点である。
「他クラス聴講」:とれる時期が限定されている必修科目(基礎科目のうち「再履修」の対象でないもの。文理共通の基礎科目のほとんどや基礎科目ー自然科学のうちワンチャンス〈試験の科目なら追試験はあるが〉しかない科目〈=基礎実験・物性化学・理Ⅰ生の生命科学〉を除いたもの)において、不可・欠席のとき、来期以降例外的に二度目以降の履修が許可され、およそリベンジを行う。成績上限があり、75点または50点が上限となる。
例1:文Ⅰ生Aさんは1Sで政治Ⅰを不可ったので、2Sで政治Ⅰを「再履修」した。
例2:文Ⅱ生Bさんは1Sで基礎統計を欠席したので、2Sで基礎統計を「再履修」した。
例3:理Ⅰ生Cさんは1Sで熱力学を不可ったので、2Sで熱力学を「他クラス聴講」した。
できない例4:理Ⅰ生Dさんは1Sで基礎化学を不可ったが、1年生対象の科目であり、「再履修」できなかった。(少なくとも2019年度においては)
できない例5:理Ⅱ生Eさんは1Sで基礎統計50可をとった。不可または欠席ではないので、「再履修」できなかった。(→エ の通常の追い出しで対応)
エ 通常の追い出しと青天追い出しの相違点
青天追い出しは主に文科生用の概念ですね。以下、基本平均点について考えます。指定平均点については各自考えてください。
通常の追い出し:他の総合科目でよりよい点数をとることで、もとの悪い科目の点数の重率を0.1にする。
青天追い出し:文科生が他の人文・社学でよりよい点数をとることで、もとの、不可または欠席である悪い科目の重率を0にする。→他の科目をつかって再履修をしたのと同じ効果が得られる!
通常の追い出しは、単位取得したけど成績の悪い科目の点数を追い出すなどするのに有効です。つまり、ベース基本平均点から悪い科目を追い出すということです。もっとも、ベース基本平均点は、科類ごとの要件を満たさねばなりません。
青天追い出しは、そもそも基本平均点から悪い科目を完全に排除するということです。
例1(通常の追い出し):理Ⅰ生が1AまでにE現代物理学70良、E基礎方程式とその意味60可、F解析学基礎50可とする。2SでF基礎統計90優上をとったとき、EFから2系列以上にわたり6単位の要件を満たし成績上位は、「F基礎統計90優上、E現代物理学70良、E基礎方程式とその意味60可」である。この3つが重率1、F解析学基礎50可が重率0.1。
例2(通常の追い出し:科類要件):理Ⅰ生が1AまでにE現代物理学70良、E基礎方程式とその意味60可、F解析学基礎50可とする。2SでE振動・波動論90優上を取ったとき、「E振動・波動論90優上、E現代物理学70良、E基礎方程式とその意味60可」を重率1とするのでは科類要件を満たさない。そこで、「E振動・波動論90優上、E現代物理学70良」は重率1、「E基礎方程式とその意味60可」のうち1単位ぶんが重率1、「F解析学基礎50可」のうち1単位ぶんが重率1、「E基礎方程式とその意味60可」「F解析学基礎50可」それぞれ1単位ぶんずつが重率0.1となる。
例3(青天追い出し):文Ⅰ生が社会科学において、1Aまでに法Ⅰ90優上、政治Ⅰ80優、法Ⅱ70良、政治Ⅱ49不可とする。2Sで数学Ⅰ50可を取ったとき、「『法Ⅰ・法Ⅱ』または『政治Ⅰ・政治Ⅱ』をふくめ8単位」の要件を満たす成績上位は「法Ⅰ90優上、政治Ⅰ80優、法Ⅱ70良、数学Ⅰ50可」であり、これが重率1となる。政治Ⅱ49不可はベース基本平均点の外かつ「不可または欠席」なので、重率0となる。実質的に、数学Ⅰで政治Ⅱを追い出した格好となる。
例4(青天追い出しと科類要件):文Ⅰ生が社会科学において、1Aまでに社会Ⅰ90優上、政治Ⅰ80優、法Ⅱ70良、政治Ⅱ49不可とする。2Sで数学Ⅰ50可を取ったとき、「『法Ⅰ・法Ⅱ』4または『政治Ⅰ・政治Ⅱ』4をふくめ8単位」の要件を満たす成績上位は「社会Ⅰ90優上、政治Ⅰ80優、法Ⅱ70良、政治Ⅱ49不可」であり、これが重率1となる。数学Ⅰ50可は重率0.1でのる。(「4」という縛りがあるのでこのケースは例2のような単位分割はなされない。)なおこの場合、前期課程を修了するには2Aで政治Ⅱの「再履修」による単位取得が必須であり、できなかった場合内定取り消し・留年となる。そもそも、1Aで上記の状況であれば、2Sはまず法Ⅰを単位取得するべきであった。
以上、救済手段について解説しました。
それでは皆さん、良い履修戦略を!
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