総額4650円で運転免許証レベルの身分証を手に入れる
車の運転をするつもりがありません。私みたいな人間が運転したら人命(複数)が惜しい。
でも世の中でいちばん手軽かつ万能な身分証といえば運転免許であって、写真つきでない健康保険証や現住所の確認ができないパスポートではダメと言われることも。
しかしマトモに普通自動車免許を取ろうとするとけっこう高額になるんですね。運転をするかもしれないならともかく、まったくする気がないなら、身分証の代金としては高すぎです。
マイナンバーカードができる前は住民基本台帳カードという万能身分証があったのですが、こちらは制度として吸収されてしまい、新しく作ることや更新もできず、マイナンバーカードを作ると回収されてしまいます。
かといってマイナンバーカードを取ったところで、持ち歩くのは怖い。
そんな人がどうしたら気軽に使える身分証を確保できるのか?
今回はそんなお話です。
現状最強ルートは小型特殊→運転経歴証明書
結論から言えば、まず「小型特殊自動車運転免許」を取得し、その後「返納」という形で運転経歴証明書に変えるのが、現行制度では最強だと思います。
この方法の場合、最終段階までの総額は4650円で、普通自動車運転免許と同じ効力を得られます。
この先では、そもそもそれ何?という話から具体的な取り方、注意点まで解説します。
小型特殊自動車免許とは?取り方は?
小型特殊自動車免許、運転できるのは小型のトラクターなど。まあ普通に道路を運転したい方はほぼ取らない免許です。
自動車が今ほど普及する前にできた制度だそうで、いつまであるかは分かりません(笑)
この免許がおすすめなのは、「実技がない」からです。
原付と同程度の試験を受けさえすれば、実技については試験はおろか、講習もありません。手数料3550円で即日取得できます。
東京では取る人も多いのでスムーズに取れますが、地方の方で県警のホームページに案内がなければ、警察の関連部署に受けられる場所や必要書類などを聞いてみてください。
ちなみに受付で「フルビット?」と聞かれることがありますが、これは運転免許の全種類にチェックが入っている状態のことです。この状態を作るためにわざわざ小型特殊から取得する人がいるので、それを狙っているんですか?という意味。特に取得に影響はないので、てきとうに答えておきましょう。
これでともかく運転免許を取得。普通自動車の免許と同じように使えます。これを更新し続けても問題ありません。
ところがこの免許、制度のトリックに陥っています。
運転免許の取得手数料は種別ごとです。しかし初回更新は免許の種別にかかわらず3850円。つまり小型特殊自動車に限れば、初回更新が再取得よりも高いことになります。
こうなると、更新で高くなるのもなんだか理不尽だし、運転しないのに数年ごとに試験場や警察署に行くのも面倒だしなあ…ともなるわけです。
面倒は放置のもとで、せっかく取ったのに失効していざというとき使えないのでは意味がありません。
そこで登場するのが運転経歴証明書なのです。
免許返納と運転経歴証明書
更新するのは嫌だ、でも免許の効力は欲しい…というのであれば、返納してしまえばいいのです。
免許返納といえば高齢者のイメージ、実際そのために作られたものですが、現在のところ、別に年齢制限はありません。
返納と同時に作れる運転経歴証明書は、更新も必要なく、免許と同じように使えます。
なんと手数料は1100円。初回更新はおろか、運転しない免許を更新し続けるよりずっとお安く済みます。
こちらも東京では事例が多いのか、「もう運転しない?そんで身分証になるものがほしい?」の2つの確認だけで、あとはサクサク手続きしてもらえます。もちろん試験や講習はなく、お金を払って写真を撮り、あとはカード作成を待つだけで終了です。
地方では小型特殊の取得以上に珍しい事例だと思いますので、ちょっとやり取りが面倒かもしれません。でも(今のところ)制度上はいけますので自信を持ってくださいね。
以下、注意点を2つほど載せます。
注意点その1 似た名前の別の手続きがある
まず、ほぼ同名の別の手続きがあるので注意です。そんなことってある??制度作った人は何を考えていたんだろうか。
身分証の代わりになるのは警察が扱っているものなので、県警等のホームページを参考にし、情報がなければ警察の管轄部署に聞いてください。
「運転経歴に係る証明書」の名前で自動車運転安全センターなるところが出しているものがあり、こちらは身分証にはならないA4サイズの証明書(670円)。
まったく違う機関なので、間違ってしまうと、そのまま回してもらって…というわけにはいかず、お金も多少損しますし手間もかかります。
私?ええ、やらかしましたとも。行政書士なのに!
センターの方いわく、間違う人は多いし、警察ですら勘違いしていることがあるので、問い合わせで伝わらなければ「身分証になるもの」と伝えてください、とのことでした。ご親切に切手代を引いた代金を切手でお返しいただいて、ご迷惑をおかけしました…。
【間違えないように特徴まとめ】
正 警察署・免許試験場
誤 自動車運転安全センター
正 1100円 誤 670円
正 身分証になるカード
誤 身分証にならないA4
正 出頭(自分または代理人が行く)
誤 郵送可
注意点その2 失効前がベター
取得した免許(小型特殊に限らない)が失効しても5年以内なら返納手続きが可能です。
今すでに失効した免許を前に「運転しないのになあ…」と思っている方は、ぜひ今からでも。
しかし、失効前と失効後では、手続きできる場所の選択肢が変わります。
失効してからだと一部例外を除き試験場に行く羽目になる可能性が高いので、できれば失効前に手続きしましょう。
お金の面で行けば取得した免許を使えるだけ使ってから返納したくなるのですが、これがあるのであまりギリギリまで引き伸ばすのはおすすめしません。
なお、返納後にもし運転したくなったら…?ですが、返納時に「もしまた取りたくなったら最初からになりますけど大丈夫ですか?」と聞かれたので、取り直せば問題ないのだと思われます。
また期限がないと写真が古くなっていきますが、写真を変更するための再交付手続きも存在しています。激しくイメチェンしても大丈夫です。
まとめ
・小型特殊自動車運転免許なら、試験のみで即日取得 3550円
・免許の返納は失効前がおすすめ(失効しても5年以内は可能)
・警察署または試験場で、返納時に運転経歴証明書を作成できる 期限なし1100円
・不明なことがあれば「警察」の関連部署に聞く(安全センターではない)。通じなかったら「身分証になるもの」と伝える。
運転しないのになあ…と思っている方、この方法ご検討ください。