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Trebleと出会ってから


9月21日
今日は雨琉々まつりさんがTrebleに加入、すなわちアイドルとしてデビューしてちょうど2周年にあたる、らしい。
というのものの、僕は今日がそんな記念すべき日だったということを今日知ったわけだが。
の、9月21日から原稿を書き始め、早くも1ヶ月が経とうとしている。10月22日におこなわれる朔羽いるちゃんの生誕ライブを目前とした今、この原稿は仕上がるのだらうか。

僕がTrebleを知ったのがわずか数週間前のこと、新宿ANTIKNOCKでの対バンとして知ったのが2023年の8月31日のことだった。


2023夏
長引く猛暑に僕はうんざりし果てていたので、働きたくないでござる働きたくないでござるって、8月中に夏休みっぽい日を過ごさなきゃという焦燥感で仕事を休みにした。

4月23日のKAQRIYOTERRORのラスト以降、近頃はTOKYOてふてふちゃんすらもまともに観に行けてないなぁ…などと思いつつ、一方で元KAQRIYOTERRORのRЯちゃんことセイちゃんのカフェで青髪の女性と知り合い、彼女が絶世のインペリアルコレクションの"おたまボンバー"さんと知り、その絶ペリの対バンで百鬼乙女というグループも知り、これは是非また見に行こうと思ってたところだったので、ちょっと珍しく平日のANTIKNOCKでも行こうかなって思い立った。
というのも"平日のANTIKNOCK"というのは僕にとって「鬼門」のようなものでもあった。

KAQRIYOTERRORが心鞠游、ノア・ロンド、RЯ、のなめらの四人体制になって以降、土日を中心としたワンマンツアーなどよりも平日対バンばかりが増えたのだが、平日仕事の僕はそのライブに間に合うこともできないし、仕事帰りのやつれた姿でメンバーに会うのは気が引けると思い、それでも急遽織り込まれる"平日のANTIKNOCK"というものに「やれやれまたか…」という気持ちにさえなった。
たまには仕事休んで行ってみようかななどと思うと今度は平日に急遽配信が入ったりして、あーもう無理してまで追いかける必要もないかな、って糸が切れたように。
今だから言うけど。
それでもツアーが組まれれば土日のライブには行くようにしていた。

なので"平日のANTIKNOCK"というキーワード自体に苦手意識があった。

そしてその、今までKAQRIYOがそこにいたであろう「平日のANTIKNOCK枠」にてふてふが定着しつつある現実を見るにつけ、もうKAQRIYOはここにはいないんだな…という物寂しさも感じつつ。

8月31日。
その日は木曜日だったのだが、もうこの日は仕事休んじゃおう。お盆休みさえ無かったし。今日は遅すぎた夏休みを楽しもう。そう開き直ったらドブネズミみたいなサラリーマンのほとんど居ない時間帯の電車は快適だったし、薄汚い新宿の雑踏を歩いてもそれほど不快な感じはしなかった。
僕はこの日も渋谷へ寄ってまたしても"たぴちゃん"の居るたいやき屋さんへ寄ってちょっぴりの世間話もして、この日もまたハチ公口そばでフライヤー配ってるアイドルさんに声かけられてみたり。あのスクランブル交差点を信号待ちするよりも冷房の効いた"しぶちかを"潜って渡るほうが遥かに快適で合理的なの分かってるけど、フライヤー配りから思わぬ発見があったらいいなと期待も込めて。
そのフライヤーのQRコードからリンク飛んでサブスク音源を聴いてみたり、今日の対バンさんの中から検索で出てくるやつを何曲かつまみ食いしたり。
と言ってもほんとにつまみ食いレベルで、久々に観るてふてふの新曲の予習さえも壗ならぬ状態で、てふてふのセトリ書けるかな?って心配をしていたくらいだった。
Trebleで検索もしていたが"男装アイドル"の方が目に留まってしまったので「えっ?そうなん?」で止まってしまった。
もしもあの日までにTrebleをちゃんと予習していたならばまた違った「現在」があったかもしれない。
あくまでも結果論だが。

おなじみの立て看

一応お目当てはTOKYOてふてふってことで、百鬼乙女も観たかったし、その百鬼乙女だって対バンで突然知ったグループだったし、せっかくなのでまた何か一期一会があるかもしれない。今日も開場と共に最初から観よう。
そう思って待っていると眼の前にシルバーパープルの派手髪のお姉さんが早足でANTIKNOCKの階段を降りて地下へ消えていった。
今の人も演者さんだったのかな?

全く知らないグループのライブの始まりを待っていると、顔見知りが居ないどころか、前方に集まっているのがどのグループのファンなのか分からないものである。彼らがそのグループのツアーシャツと思われるものを着ていても「ロゴ読めねえよ」というのも少なくない。
そしてその日の僕の服装も、どこのグループのファンなのかも分からないようなそれだった。僕はてふてふも割と観てきたけれども実はツアーシャツは持っていないし。
神埼琉奈ちゃんに会うのだし、緑色のアロハシャツを着て出かけた。
だけど髪型・髪色がこんなものなのでw、"正統派アイドル"の人たちからは「(初めて見るこの人は別グループのお目当てさんなんだ…いかにもヘヴィメタルだし)」って思われてることも少なくないと思う。
それでも最前列の目の前にいる僕にも目配せをくれたり声出しやクラップなどを求められればそれには応えようと思っているし、最前地蔵にはなりたくない。
だからといって無理矢理にそれに付き合うのではなく、あくまでもその音楽が楽しくて心を揺らすものであるからこそなのでして、もちろん僕にだって好きな音楽もあればそうでない音楽もあるし、何グループも見続けていると普通に疲れてきて「しんどいな、ちょっと外で休憩したいな」って気持ちになることもある。
その演者さんが良いライブをしているかどうかとは話は別。

しかしライブハウスのフロアーを盛り上げることって難しい。ゆえに、クラップや拳のみならず、タイガーファイヤーなどのコールだったり、ヘドバン、ツーステなどをフロアーに要求する楽曲を伴うグループも少なくないし、そういう半ば強制エクササイズとも言える行為を率先して求めているお客さんも少なくない。
演者さん側からすれば可視化されやすい"盛り上がり"が欲しいのかもしれない。
その"目に見えて盛り上がってる様子"をライブハウスの支配人やブッキング担当も見てたりもするのだし、その顔色が気にならないわけでもないだろう。

たとえそういうのが可視化されなくとも純粋に音楽として観客にじわじわ込み上げるような感動を与えられることこそが、ミュージシャン冥利に尽きることだとは思う。がしかし、それが与えられた様子というものはミュージシャン自身にとっても可視化されにくいものだ。
さっきまでフロアで棒立ちでステージを観ていた観客が終演後に「とてもいい演奏でした!」などと直接に感想を伝えに来てくれない限り、その意思疎通というものは案外むずかしい。
ライブ後にSNSなどでその感想を書く観客もいるだろう。演者はそれが気になってエゴサをしてみたりもする。それに遭遇できる確率は低いかもしれないが。

音楽というものは各々が好きなように楽しめばいいのでもあるし、一方でフロアーの一体感を感じたくてそこへ集まる気持ちも理解できるし、サークルモッシュなどが起これば僕も割とそこに混じったりもする。
僕自身もまた、僕が推してるグループのライブを他のファンの人たちも巻き込んで、あわよくば「このグループのライブ楽しいな、また観に来たいな。」って思ってもらえればファン冥利にも尽きるし。
それは向こう側のファンの人もきっとそう思ってるはずだし、だから僕もそういうの求められてきたらそれに応えようと思っている。

───
あの感染症が全世界に広まっておよそ3年半の月日が過ぎた。

しかしあの"禍下"で解散したグループもあれば、一方であの"禍下"で結成されたグループもある。
僕がずっと愛してきたゆくえしれずつれづれは2021年の1月に解散をした。
TOKYOてふてふのデビューはそのわずか数週間前の2020年の12月であり、まさにその後者であったし、僕もその初期の観客が声出しもできずに"場ミリ"の上に並んでクラップのみで応援していた頃を思い出す。
たった今調べてみるとTrebleのデビューも2020年の12月とあり、てふてふと共通する歴史を辿って現在に至るのだなと思い知る。

2023年に入ってからようやくそれまで制約されていたことのほとんどが"元通り"になりつつある。
今まで僕がよく参加していた某コドモメンタルの現場では気心知れた顔見知りも多かったので、直接ぶつかり合うモッシュやお互いをリフトで持ち上げたり持ち上げてもらったりもしていたし、僕が合図を送ればそれに応えてくれる人が常に誰かしら居た。

8月31日のANTIKNOCKに話を戻そう。
しかしこの日の状況はそういうわけにもいかなかった僕にとっては完全アウェー状態だったし、開場の時点で蜃気楼ちゃん(←TOKYOてふてふのファンの呼称)は僕の他にまだ誰も来ていないようだった。それもそうだ、平日の夕方からの対バンイベントでてふてふの出番はトリだったのだし、会社勤めしてるファンはなかなか最初から来られないはず。

前半のお目当ては百鬼乙女で、その他Vilage in Mayerなども多少は予習してたのだけど、幻想サイケデリックと禅xenova刃の次はどんなグルーブかなってスマホに保存してたタイムテーブルの画像をフォルダから探そうにも、このイベントはバンドセットの各機材のセッティングに要する時間も無いので各グループの転換も早く、探してる間に暗転してオープニングSEが始まった。

Trebleの出番がやってきた。
てっきり男装で登場してヴィジュアル系の曲調でもはじまるのかなって先入観は、いい意味で裏切られた。
黒を基調としたゴシックテイストも交えた、ガールズメタルアイドルの正統派をいくような華やかな衣装でTrebleは登場し、のちにオープニングSEだと知るその1曲目からフロアを煽りに煽りまくった。
せっかく今日はストレートアイロンで髪を整えてきたのだし、てふてふ始まるまでおとなしく観ていようという目論見は、このダークホース的なTrebleというグループによって覆されてしまった。
はっきり言ってノーマークだったけど、上手側の最前列で観ていた僕はそのHM/HR調の音楽に「もしかして当たりかも」って思った。
なかでも大暴走天使るりさんが初見の僕に対しても容赦なくかかってきたし、どの曲だったか覚えていないが隣りにいたTrebleのファンと思しき人がサークルモッシュなどに僕を巻き込もうとしてきた。
僕はそれにも応じた。
だって楽しかったもん。

───
僕はかつて、ゆくえしれずつれづれに通っていた頃を思い出した。当時のつれづれは対バンライブは殆ど無かったが、「我我」や「六落叫(九落叫)」などが始まると僕は隣で大人しく観ている"つれづれのライブに慣れていない人"にも同じような体験をしてもらいたくて上手下手移動やサークルモッシュなどに誘導していた。
あの頃の自分と逆の立場になってみて、僕をその世界に導いてくれようとするTrebleのファンの気持ちにも応えたいと思った。って難しく考える間も無いほど楽しくて無我夢中だったんですけどね。
Trebleの次の百鬼乙女が始まったら解放しようと思っていた"ペース配分"も、このTrebleによって掻き乱されてしまった。いい意味で。

その百鬼乙女も僕が観るのはこれが2回目だったのだけど、初めて観たあとに声をかけられてチェキを撮った神埼琉奈ちゃんは僕のことよく覚えてくれてたみたいでリアクションもよく、写真撮影可のステージも一瞬たりとも目が離せないものだったし、今回は曲も覚えてきたので初めて観た時よりも楽しめた。
百鬼乙女は終演前に"並行物販および特典会"をおこなっていたので、まだ他のグループのステージも始まっていたが僕はいったんフロアから出てロビーで百鬼乙女の特典会を待っていた。
そのすぐ隣ではTrebleの特典会も始まっていたがその日はスタッフさんが同行していなかったようで彼女たち自身でキャリーバッグを用意して販売もしていたようだった。
そんな中、黒髪のインナーを緑色に染めていた子が僕に声をかけてきた。さっきのTrebleのメンバーだ。僕も緑色のシャツを着てたので同属と思われたかな?などと思いつつ。彼女は僕のその中に着ていた"笑う猫ブルーガ"のシャツと同じ顔をしてきた。
その子は朔羽いるさんといって今年の四月からTrebleのメンバーに加わった子だ。と言っても僕にはそういった予備知識は何もなかったのだが。

しかしこういった"一期一会"も大切だし、そういえば事前にサブスクでTrebleと検索してみたものの、男装グループが出てきてしまったので聴かずのままだった音源を、今この目の前の物販でTrebleのCD売ってるから記念に買って帰ろうかな、数種類並んでる中で「どれがオススメ?」「そりゃあ全部」「それもそうだよね」「じゃあギターがかっこよさそうな方」「それだったらこっちかなー?」
と、差し出された『Heart of the blink』を購入する。すると、横にいた"さっきのシルバーパープルの派手髪の人"こと八葉谷苑じゅりあさんが「こっちは現体制の最新シングルだよ〜」と『Angelus aut Diabolus』も薦めてくる。
まだ僕はTrebleについてもよく知らないのだし、このまま口車に乗せられていいのだろうか、などど少々の葛藤をしていると、「このシングル盤には4人それぞれが歌ったver.も収録されてるよ〜」と。
「メンバーそれぞれの声の違いや個性だったりが分かってくると『Heart〜』も聴くのより楽しくなってくるかもね」って思って『Angelus aut Diabolus』も購入した。
この商売上手!
なんて話が弾んでいるうちに、せっかくだし今日の記念に最初に声をかけてくれた朔羽いるさんとチェキを撮って、またねと言って僕は再びフロアーへ戻った。

このあとこんなに好きになるとは想像もつかなかった

ちなみに大暴走天使るりさんと雨琉々まつりさんはファンとのチェキ撮影をしていたのでほとんど話すことは出来なかったが、「今CD買ったよ」「ありがとう」くらいの目配せだけはしていたかな、くらいの記憶だった。

その後のグループもいくつか観て、いよいよ本日のお目当てであったTOKYOてふてふの出番だ。
相変わらず僕は腕にセトリを書きながら観ていたのだが新曲のいくつかは分からなかったので、周りの蜃気楼ちゃんからタイトルを教えてもらったりした。
楪おうひさんとチェキを撮った時「らぼさん他のグループの子とも撮ってたでしょ?」と言われた。
「あっ!?見てたの!? ……でもライブ楽しかったから感想を伝えたいじゃん」
ちょっぴり拗ねてるおうひさんにゴメンネの気持ちもありつつ、
しかし僕の中でそれはずっと変わらない。
KAQRIYOTERRORと共演する機会も多かったてふてふだって、そのライブが楽しくなってきたからてふてふともチェキも撮るようになってきたのであって。

翌日仕事へ行く際、そういえば昨夜帰宅するの遅かったからCD開封してパソコンに取り込む作業できなかったや。
ってサブスクでTrebleを検索してみる。男装グループのも出てきたが、僕が聴きたかった方のTrebleの曲もちゃんと検索すれば見つけることができた。
昨夜のライブはなんか無我夢中で楽しむことで精一杯だったので、どの曲を披露したのかまでは分からない。
その中でFifteen boxって曲は「ああ確かに昨日観た曲だ」とわかった。
それが収録されていたのは『The absolutes of sin』の方で、それに続くBlack rainって曲の疾走感がX(-JAPAN)のSilent Jealousyに通づるところがあって気に入った。
しかしタイトルにある通り「黒い雨」について歌っている。歌詞を調べてみるとそれが原子爆弾投下をテーマにした曲であることが伝わってきた。
もしかしたらただのメタルコスプレのアイドルグループとは違うかも──これをテーマに歌詞にするには生半可なことは許されるはずもないのだから。

サブスクだけでなくYouTubeにあがっている楽曲のライブ映像なども観た。
それは、るり・じゅりあ・まつり・いるの現体制になる以前のものだったが、そこで歌う雨琉々まつりの高音パートの伸びやかさに改めて圧倒された。
今までシャウトやスクリームなどで心打たれることはあってもクリーンな高音パートに心打たれることはあまり無かった。
というか、90年代のカラオケブームや小室サウンドの隆盛で競い合うように歌われていた高音パートや、イングヴェイ・マルムスティーンなどの速弾きピロピロなどに当時の僕は辟易さえしていた。
雨琉々まつりの歌声を聴きながら、「そう言えば僕は浜田麻里もよく聴いていたなー」などと思い出していた。

ふと、あることに気づく。
もしかしたらTrebleのギターって激ムズではない?
近年のメタルアイドルにありがちな、7弦ギター5弦ベース当たり前の、しかも打ち込みによる人的には物理的に無理ゲーなドラミングフレーズの楽曲、というのも僕は実は苦手なのだ。

近年ではボーカロイドで人的に無理な音を奏でることもできるし、更に遡れば、Yellow Magic Orchestraなどによるテクノサウンドにしたって、人間的なそれを超えたところに新鮮味があった。
もっともYMOに関してはドラムの高橋幸宏氏が生身の人間のグルーブ感も大切にしてテクノ音楽を奏でていたというエピソードもあるのだが。

ちょっと話が逸れたのだが、Trebleの音楽にはその疾走感の中に生身の人間が奏でている感触も伝わってきたし、あの日以降くりかえし聴いていたAngelus aut Diabolusの各メンバーver.を聴き比べながら、それぞれ個性があって面白いグループだな、また会いたいな、などと考えながらBlack rain とFifteen boxのギターをコピーしてTwitterに上げたりしていたら、メンバーから「いいね」も届いたこともまた嬉しかった。

僕がTrebleにハマるのにさほどの時間は要らなかった。

つい数ヶ月前はKAQRIYOTERTORの終焉と共に、「もうしばらくライブハウスへ出かけることもないな」などと考えていたのだが。
弊ブログの過去記事をご覧になればお分かりいただけるが、その数年前の僕も、つれづれの終焉と共に「もうしばらくライブハウスへ出かけることもないな」などと考えていたのだが。

KAQRIYOが終焉したあと、セイちゃんが一日店長をつとめるカフェでセイちゃんとこんな話をした。
「らぼは最近はライブ行ってるの?てふてふとか?」
「いや、それが、もう推しとかそういうのはいいかな…」などと、ロンドちゃんへの追憶を辿りながらぼんやりとそう答えた。
「そっか…」
とセイちゃんは間を置いて、
「だけど何度でも生まれ変われるよ!」
と言ってくれた。
僕はそのセイちゃんの天真爛漫さに、「転生や移り身なんかしたくないよ!」と反発したい気持ちもあったけど、「こればかりは時間が経ってみなければ分からないね」と"大人の素振り"で返事した。

そんなセイちゃんは表立った歌手活動はしていないが(あまりにももったいない)、絶ペリの「玄病(くらやみ)」という曲でデスボパートでゲスト参加し、絶ペリのワンマンライブにもゲスト出演した。

───
9月10日
Trebleに話を戻そう。
そうやってTrebleの楽曲もいくつか覚え始めたし、この日はバンドセットでライブやると告知があったので、僕は9月10日の巣鴨獅子王でのTrebleを観に行くことにした。
巣鴨でライブを観ることも初めてだったのだが、箱前で会場を待つ人たちが全く知らない人ばかりだった。前回のANTIKNOCKよりもアウェーに来てしまったと思った。

入場時に「お目当ては?」と尋ねられ「Trebleです」と答えたのが僕にとっては初めての出来事だった。
あいにくこの日は体調不良のじゅりあさんはお休みでTrebleは3人の出演だったけど、後ろにはバンドセットという強い味方もいたし、この日は下手側最前列から観ていた僕を3人ともすぐに見つけてくれた。

この日のセトリの中では特に、YouTube映像で何度も復習してギターも練習したFifteen boxが印象的でラストのサビで転調するところのまつりさんのハイトーンがたまらない。
あらためて生ライブの持つ説得力というものを感じられたし、Trebleの楽曲をバンドセットで奏でる姿にも興味津々だった。音源では何本も録り重ねているギターはライブだとどう再現しているのだろう、などと。
物販ではそのギターを弾いていたゆっきーさんとも色々なお話もできたし、今回初めてちゃんとお話できたまつりさんも、ステージ上のクールなイメージから一転してとてもかわいらしい雰囲気の人だった。いるちゃんとるりちゃんとは、すっかり以前から知り合ってたような居心地の良さを感じられた。
前回はミニアルバムの『Heart on the brink』の方を購入したけど、Fifteen boxもBlack rainも収録されている方の『The absolutes of sin』もしっかり購入しました。

9月17日
たしかこの日は別の場所で大規模なアイドルフェスがあったような記憶があったはす。
前回の巣鴨のときもだったけど、Trebleをお目当てに来ているお客さんが少ないなと感じていた。
こんなにいい楽曲そしていいメンバーなのに、しかも他グループを観に来た人をもガッチリ掴もうとしてくるのに、どうしてこんなにお客さん少ないんだろうと。
そんなライブにこそ赴いて共に盛り上がっていかなきゃ、そんな謎の使命感みたいなのが僕の中で芽生え始めていた。

しかもこの日はお昼からで、出演グループが3組しか無いし、これも動員が大変なんだろうなーって思いながら僕は新宿へ向かった。
ANTIKNOCKに着いて儀式のように箱前の「本日の公演」の立て看板を撮っていたら、黒い看板に反射する人影を背後に感じた。振り返るとコンビニの買い出しから戻ってきたとおぼしき雨琉々まつりちゃんだった。
先週の巣鴨でようやく初めてお話できた彼女はニコッと微笑んで小さく手を降って階段を駆け降りていった。
「今日僕が来てたら驚いてくれるかなー?」などというサプライズ的な目算は盛大に崩れ落ちたのだが、それよりもはるかに嬉しかったし、この後始まるライブへのテンションが俄然高まった。
彼女もまたテンション上がってくれていたら嬉しいな。などと考えながら。

そしてこの日、ずっとずっと観たかったBlack rainを観ることが出来た。
と言っても大げさに話すことでもない。僕がTrebleのライブを観るのはこれが3回目なのだし。
そして前回はお休みしていた八葉谷苑じゅりあさんとも初めてのチェキを撮ってあらためてお話をすることも出来た。

時刻はまだお昼の1時すぎ。このあと夜のライブも観に行くって行動パターンの人も多いだろうが、僕は帰ってギターの練習もしたいし、日々をライブに明け暮れる、ライブ自体が目的と化したいわゆるオタクにはなりたくないんです。
ライブはあくまでも自身の生活を豊かにするためのもので、僕は自身の生活も大切にしたいし、インプットばかりだけでなく、音楽の素晴らしさを楽器や文章などを通じてアウトプットすることも必要だと僕は考えるんです。

というわけでお家へ帰ろうと山の手線に乗ってTwitterを観ていたら、新宿駅東口でTrebleが
チケット手売りやフライヤー配りをしているというツイートが飛び込んできたので、僕は途中下車して折り返して新宿へ戻った。


──
あれからもう既に6年半の月日が経とうとしていることに驚いている。

あの頃僕がゆくえしれずつれづれを応援しようと心を打たれたのは彼女たちのこういう姿に出会ったからと言ってもいい。
一人でも多くの人たちに自分たちの音楽を聴いてほしい。
そんなひたむきさが音楽にも表れたとき、その音楽は無限の光を放つものだと僕は思っている。
至極観念的な話だが。
しかしそういったものを感じられない音楽というものは、いかにテクニックがあったとしても味気ないものだと僕は思う。

そんなあの頃のつれづれの姿に現在のTrebleの姿を重ねた僕が居る。
まだTrebleを知ってほんの数週間なのに分かったようなこと言うな!と思われるかもしれないので控えていたがw、やはりあの時の僕の直感は間違っていなかった!と今だから言えるし、何年後かに「あの時Trebleを好きになってよかったな」、そう思える日がくるかもしれない。
新宿駅東口のライオンの近くって書いてあったからレストランのライオンを探してたわw
ライオンのオブジェの近くでうろうろしてると、じゅりあさんが僕を見つけて駆け寄ってきてくれた。
つい数十分前に会ってたばかりなのにね。
あんなに暑い日差しの中で頑張っでる彼女たちに励ましの言葉をどうしても伝えたかった。
あの新宿の雑踏の中、なにか冷たい飲み物でも差し入れしようかとも気の利いたこともできず、るりちゃんの生誕チケットは既に予約してあったし、友達に布教する用のCDをもう一枚ずつ買った。

───

季節はめぐり、そのCDも無事完売することが達成し、現体制での4人のアルバムの制作が公式発表された。
僕が知ってるTrebleはこの4人でしか無いのだし、どんなに待ちわびていたことだろう!

ところが雨琉々まつりの卒業を告げられる。

先日、「消えたアイリス」を聴いていたら、

そう言えば出会った季節は夏だったけど、すっかり秋を通り越して冬の装いになっちゃったな。
まっつんとも春を迎えたかったな…
などと思っていたら涙が止まらなくなってしまった。

るりちゃんの生誕も楽しかったし、いるちゃんの生誕も楽しかった。
来年はまっつんの生誕もじゅり姐の生誕も楽しみにしている!なのに…

そのことを特典会の時にるりちゃんに話したら、るりちゃんももらい泣きしてしまって、そんなるりちゃんを見ていたら僕までもらい泣きしてしまった。

そんなこと思いながら「消えたアイリス」を聴いていると、ラストのまっつんの「燃やして」がまた泣けてきて、どうすんだよ一体この感情は…

11月20日
そんなこんなを書き連ねていたらキリが無いし、雨琉々まつりちゃんの最後のステージにこの原稿を仕上げるのが間に合わない!
もちろんTrebleはこれからも続いてゆくし、まだまだ書き足りないことはこれからも書いてゆくけれど。

伝えたいことはまだまだあるけれど、僕は、大暴走天使るり・八葉谷苑じゅりあ・雨琉々まつり・朔羽いるの4人のTrebleが大好きです。
これからもずっと。

今日もオープニングSE「Erosion」でのまっつんの「私たちが、Trebleだ!!!」が地下2階のHEISTから新宿の夜空へと響き、新宿にいる漆黒のカラスたちをはためかせておくれ。

Crow Song /Girls Dead Monster


さあ、今日も楽しいTrebleがはじまるよ!

20231120
Лавочкин(らぼーちきん)

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