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再会、魔界、そしてシーシャ。

8月12日。
この日僕は美容院でブリーチとカットをしてもらったのだが、せっかく髪を綺麗にしてもらったのに誰にも会えずこのまま帰宅するのも寂しいので、僕は新宿での絶世のインペリアルコレクションのイベントへ急遽行ってみることにした。
それは9月8日に行われる絶ペリ初ワンマン「示神」のチケット購入者対象のものであり、僕は既にそのチケットを入手してあったのだが、このイベントをきっかけに購入してもいい、むしろ販売促進のPRイベントの一環なのだ。

新宿へ向かう電車に乗りながら、イベント開始時刻まで少し余裕があるしって思って、渋谷で途中下車してGIGOのたいやき屋さんに寄ることにした。
というのは、たぴちゃん(こてちゃん)居るかなーって。
以前てふてふファイナルの前にも立ち寄ったんだけど、その時はたぴちゃん居なかった。

GIGOの2階に上がってたぴちゃん居るかなーって探そうとうろうろしてたら、クレーンゲーム機とクレーンゲーム機の間に、厨房のガラス越しから金髪の女の子が手を振ってくれてるのが見えた。

あれはまぎれもなくこてちゃんだ。
しかし僕はこてちゃんを探していたのに、こてちゃんの方から先に気づいてくれるだなんて。
普通にたいやき焼いてたのに驚いたけど、「たぴ」って名札の付いた作務衣風の制服もかわいかった。
「らぼ久しぶり〜!今日は何かのライブ?」
「いやライブは無いけど、こて…ちゃん居るかなーって」
「普段だったらもう(バイト)上がる時間だったけど、今日たまたまこの時間まで働いてたのー」

何も公式発表も無いままいつの間にか歌うことやめてしまったこてちゃんに対し僕はモヤモヤしてた気持ちもあったけど、しかし実際に会ったら相変わらずのようで会ってよかったなあって思った。

そらジロー(クリーム味)

たぴちゃんの分のたいやきも奢って(←相変わらずw)僕は新宿へ向かった。

絶ペリのイベント会場は雑居ビルの10階のにありエレベーターを出るとマンションの一室みたいな薄暗い廊下が続いててなんとも魔界空間に来てしまったようだ。
たしかこの部屋で合ってるはずなのだが…ってうろうろしてたらエレベーターのところで(サポート)メンバーの美東澪さんと出くわして案内してもらった。
そこは配信するために借りてる会議室というか雑居ビルの一室の、安いビジホのシングルよりも狭い部屋で、配信用にケータイカメラをセットし、ポスター貼りに苦戦などしていた。
スタッフを携えず全て彼女たちがセルフプロデュースで頑張っている現場を目の当たりにした。

あらためておたまボンバーさん以外の絶ペリのメンバーみんなとも挨拶出来た。
というのも、先日アンチノックで絶ペリのライブを観に行っててステージ上からメンバーからも絡まれたんだけどw、その日の特典会は時間切れで参加できなかったんだよね。

写メもチェキも撮ってCDも買って色々お話して、今度のワンマンの物販では、セイちゃんがREC参加した曲も盤としてリリースしたいって、そんな話などもした。

きゃー!
その9月8日のワンマンにセイちゃんゲスト出演だって!!

絶ペリの会場をあとにして、まだもう少し時間あったし、ナビタイムで調べたら池袋から10分もかからないくらいだし、そうだ十条行こうって決めた。
でもまぁ横須賀から遠いし、おうちには猫ちゃんが留守番してるし終電には間に合わなきゃな…

20:17頃。
十条駅前の商店街を抜けて向かったのはAladdin Lamp。

僕はたばこが全くの苦手(禁煙ファシストと呼ばれてもおかしくないくらい)だから物怖じしながら階段をゆっくり上った。
喫茶店みたいにカランコロン鳴る扉もない薄暗くて空調の音が響くくらい物静かな部屋があり、誰か人がいるのかさえも分からない。
そういえば村上龍の「コインロッカーベイビーズ」でこんなシーンあったよな…なんて。
もしも居なかったらそのまま帰るしかないかな。

すみません誰かいますかー的に中を覗き込んだら、いきなりゆぅてゃんが立っていて驚いた。
いやゆぅてゃんに会うために来たのだから驚くのも変な話だけどw

※ゆぅてゃんとは、僕が応援してきたアイドルグループの"元メンバー"である。

お店の奥では先客の一組のカップルが映画を眺めながら過ごしていて、ゆぅてゃんはそのお客さんに振る舞うシーシャの下準備をしている最中だった。

天井からは色とりどりのモザイクのトルコランプが吊るされている。またしても魔界空間に訪れたような気分になった。意外だと思ったのは、僕が考えていたようなアンチノックや新宿LOFTなどみたいなたばこ臭さが無かったこと。
生まれてから1度もたばこを吸ったことない僕がましてやシーシャだなんて。

ゆぅてゃんがメニューを見せてくれて「飲み物はどうする?」って。
あれ?シーシャじゃなくてそっち勧めるの?
って思ったが、喉も乾いていたし僕はビールを注文した。

するとゆぅてゃんはどこかへ行ってしまった。
「あれ?ゆぅてゃんどこ?」

「お待たせしました、はい生ビール。」
同じ建物の下の階ではガールズバーがあるので、飲み物はそこから調達してくるらしい。
「冷えてておいしいなあ」
でもせっかくなので、シーシャの中からニコチンの無いものでゆぅてゃんに見繕ってもらうことにした。

僕はソファーに腰掛けて待ってるだけじゃ退屈なのでカウンターでそれを作ってるところを見学した。ジャム状のものを何種類か乗せている。
たくさんのタッパーに色んな種類のジャム状のが詰められてて「おばあちゃんの漬物みたいだねw」って話した。

ゆぅてゃんはその中からミルクティーベースに抹茶とココナッツをブレンドしてくれた。
「抹茶はロンドをイメージしたの」
って言葉が嬉しかった。
そのジャム状のをアルミホイルで蓋をしてそこへ小さな無数の穴を開け、更にその上に赤くなった小さな炭を3〜4個燻らせる。
言葉じゃ伝えにくいな。
その機構の何から何までもが初めて見るものばかりだった。
「私も何か飲みたいな」
「まさかシャンパンとかじゃないよね!?w」
「まさかw、普通の値段だよw」
「いいよ。」

そして僕も初めてシーシャというものを吸ってみた。

昔、耳鼻科でネブライザーを吸引したことはあるので吸うという行為はしたことはある。
思いっきり吸うと器材の下部に貯めた水がゴボゴボと音を立てるので僕は静かに吸った。
なんだろう、たしかに嫌な臭いはない、むしろアロマやお香を焚いているのに似た感覚だ。

するとゆぅてゃんが隣の席に座って"マイマウスピース"でお手本を見せてくれた。
腹式呼吸で思いっきり吸った方が香りも立つよと教えてもらった。
香りを楽しむものだろうしって思って僕は口から吸った煙を鼻から出したらゆぅてゃん笑ってた。
「吸ったのは口から吐くのがいいよ」
言う通りに吐いてみたら、不思議とそっちのほうが味と香りを感じられるものだ。
何十分経った頃だろうか、ゆぅてゃんは先客さんのシーシャの"炭替え"に回っていた。

他にお客さんも居なかったのでゆぅてゃんは再び下の階まで飲み物を取りに行った。
この2階のシーシャの部屋にはカウンターテーブルはあるがカウンター椅子は無い。カウンターの奥には流しと冷蔵庫もあるけれど、それは器材の洗浄用とシーシャのペースト専用冷蔵庫と化していた。

ゆぅてゃんの細長いグラスに泡立てたお酒が注がれていた。
「何飲むことにしたの?」
「シャンディガフ」
「えっと、シャンディガフってビールと…」
「それとジンジャーエールのやつね」
僕たちは久々の再会に乾杯をした。

奥の席にいたカップルは会計を済ませてお店をあとにしてコツコツと階段を降りていった。

ゆぅてゃんはカップルの座っていたテーブルの後片付けをしてカウンターで洗い物などをしていた。
「今いたお客さんが吸ってたのもニコチンフリー?」
「いや、あれは入ってたよ」
「そうなの?におい気にならなかったね」
「だって入ってても0,1とかだし」
「へぇー、"水たばこ"って呼び方だと誤解されるかもね、僕自身誤解してたようなものだし。」
「でも一応入ってるからね。」

時刻は21:00を過ぎた頃だっただろうか、
「もうこの時間からはお客さん来ないだろうな、終電を逃したってお客さんが来たりもするけどね。」
洗い物を済ませたゆぅてゃんは僕の隣の席に座って話しかけてきた。

他愛もない話、お互いの仕事の話、KAQRIYOの時大変だったことの話、楽しかった話───今までのライブでもほぼ毎回チェキ撮って話もしてきたしファンミでも話もしてきたけれど、こんなにたくさんゆぅてゃんと話したのはこれが初めてだった。

セイちゃんとものなちゃんともカフェでいろいろお話して、そうかもうKAQRIYOのRЯちゃん、のなめらちゃんじゃないんだなーというのを寂しさ混じりにも自然と受け入れられてた自分がいた。
…と考えてると、ますますロンドちゃんに会いたくなった。

「こないだ4人で集まっていたでしょ?あの日ちょうど僕の誕生日だったから、まるで自分のことのように嬉しかったよ。」

8月7日に集まった4人。

そしてゆぅてゃんとこうして今まで話せなかったような、今だからこそ話せるお話をたくさんして、「"思い出"にしたくない」と思いながらも、思い出話に花を咲かせていた。

このままこうして何時間でも過ごしていたかったけど、やはりおうちで猫ちゃんを留守番させてしまってるので、僕は会計を済ませて「またね」とお店をあとにした。

十条から埼京線に乗り、新宿から湘南新宿ライン、横浜から京急に乗り替え、横須賀の最寄り駅から歩いておうちまで帰ることにした。

渋谷、新宿、十条、それぞれの街で、今まで華やかだと思ってたステージ上の彼女たちとはまた違った姿を僕は見てきたのだけど、それぞれの場所で彼女たちが頑張っている姿はとても素敵だった。

最寄り駅で降りて、途中ローソンに寄ってアイスクリームでも食べながら歩こうかなって思ったら、店頭でメガカヘラテのカップが視界に飛び込んできた。
「これゆぅてゃんがファンミの時に飲んでいたやつだ…」
今まで僕はコンビニのカップコーヒーさえも注文したことがなく。いつもペットボトルか缶コーヒーばかりだったけれど、なんか今日はメガカヘラテ飲みたくなったし、初めてというものが欲しかった。

水族館のイラストのようなカップにあの日のことを思い出しつつ。
今日僕が着用していたマスクには、さっきのミルクティーベースの、ゆぅてゃんがブレンドしてくれた香りが残っていた。

また会おうね。

2023.08.14
Лавочкин(らぼーちきん)

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