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まうるちやんへ

──拙い言葉だけど 今君に届けようと
込み上げて来る想い──

いつからだっただろう。
とわさんが此処を去っていった時、まうるちやんは自身を無力だったと申し訳なかった気持ちをみんなに打ち明けた。それからも、こもちゃんと二人で乗り越えてくれるものだと思ってた。
しかし突如として最も頼りにしていた彼女との別れに、心の中にぽっかりと穴が開いてしまったのかもしれない。

僕は昔、大学の仲間とバンドを組んでいてその中で僕はベースを担当していた。当初は四人だったがやがてVo.が抜けた。しかし僕らは3ピースバンドとして続けることにした。Vo.は主にギタリストが兼任し、ドラムボーカルの曲もいくつかあった。
四人の時よりも長い年月を3人で続けてきたのだが、ある日ドラムが抜けることになった。
よくあるバンドの"音楽性の違いによる対立"というのは僕らには無かったし、むしろ自分の持ってないメンバーの一面をお互いの刺激としてバンドのために必要としていた。その他の理由で喧嘩したわけでもない。
しかしバンドというのは様々な事情からある日そうなってしまうものだ。大手事務所に所属してメジャーシーンで活躍するバンドでさえも。
ギタリストの彼とベースの僕とで続ける道も模索したし新メンバーを探すことも考えていたが、今度は僕のバンド以外の様々な事情が絡み合って、僕はバンドを続けることが出来なくなってしまった。ギタリストに対しては申し訳ない気持ちでいる。
僕は楽器を触る気力も音楽を聴くことすら無くなってしまった。そんな年月がどれくらい過ごしただろう。五年くらいだったかな。
その後もギタリストの相方は時々僕にメールを送ってきてた。僕はすっかり楽器を触れなくなっていたし音楽の話題にも乗れなかった。
しばらくはそれを読むのもつらくて返事も返せなかった。そんな話を途切れ途切れ読んでるうちに、彼はもう都内には住んでいないことを知る。
仕事の関係で今は三重県の四日市で、結婚していて子供もうすぐ子供が生まれるという。
僕は人間として置いてかれた気持ちになった。

そんな頃を過ぎてやがて少しずつ音楽を聴き始めるようになった。
昔を懐かしむよりも全く聴いたこと無かった音楽に触れてみて昔の"勘"を取り戻すようになり、楽器にも触れるようになった。
YouTubeでぜんぶ君のせいだ。を知って、タワレコでリリイベを観に行った。その時一十三四さんのシャウトに衝撃を受けて「あの一曲目かっこよかったよ。」と伝えたら、よっさんは「World End Crisisっていうんだ」って教えてくれた。帰ってさっそくWorld End CrisisのMV観たら、◎屋しだれって誰?となり、そこからゆくえしれずつれづれに惹かれていった。
以降の話は割愛するけど、それまで引きこもっていた僕はつれづれで遠征をしたいと思うようになった。

そして「僕はこれが好き」というアイデンティティーみたいなのを確信できたことで、相方とまた向き合ってみたいという気持ちが芽生えてきた。
そしてつれづれで大阪へ車遠征した帰りに僕は四日市で相方に会うことにした。会ったのはおよそ15年ぶりになる。何年間も申し訳なかった気持ちを抱えつつ、でも実際会ってみたら彼はあの頃と同じ調子で、まるで先週三軒茶屋のスタジオで練習してたかのようなテンションで、僕たちは好きなミュージシャンの話などをしてお互いの近況も少しだけ話した。
今は住んでるところが離れていて現実的に練習などできないしお互い日々の忙しさに追われているけれど、僕たちは解散をしたわけではない。
はっきりけじめをつけて前へ進むことも大切かもしれないが、今も心のどこかであの時演奏したオリジナル曲が鳴っている。

星歴を初めて観たのは、2018年のコドメン祭りの社長生誕だったかな、新宿LOFTだった。
つれづれの前物販に並んでいたら、行列のすぐ隣でデビュー間もない星歴が物販ブースに立っていて、僕はスタッフの中村さんに声をかけられた。
僕は星歴についてまだ何も知らないし推しが誰とかも無い。その日はリーダーのほまれさんと挨拶のつもりでチェキを撮った。
星歴の曲にも光るところがあった。つれづれとは違う魅力があった。しかし僕はつれづれのことだけで精一杯だったし、そこに尽くすことが正義である、とさえ考えていた。

あれから月日が経って、他のメンバーや他のグループも観るようになり、チェキも撮るようになった。
もっと早くからまうるちやんと撮りたかったなという気持ちは今更ながらにある。

しかし実を言うと、当時の僕の心の中には、あえてそうすることを抑えていた自分がいた。
まうるちやんの笑顔に、第一印象で感じていたことがあった。それは、出会ったばかりのあどけなさも残っていて、当時後ろの襟足を伸ばし始めていた頃の金髪の彼女の面影を。
僕は今現在の彼女のことが好きなのだから、そういう面影を追うようなことはしたくなかった。もしもそれがパンドラの箱を開けることになってしまうのなら─というのが怖かった。

しかしまうるちやんには全く別の確固たる個性があると知るようになり、誰のものでもない"まうるちやんらしさ"を率直にいいなと思えるようになった。
相変わらず僕は甲斐性無しで、なかなかワンマンライブでお目にかかる程ゆとりは無かったけれども。それでもまうるちやんは僕のこと覚えていてくれたりして嬉しかった。

とわさんと二人での写真集「ティーンエイジメランコリー」の頃については弊ブログの別記事 (とわまうる「#ティーンエイジメランコリー」からの、#KAQRIYOTERROR Circus NAGOYA 20210227 @名古屋Circus)を参照いただきたい。

そんなわけで僕は3人になってしまった星歴13夜を、3人になってしまったからこそ3人個々の輝きが増してきている、しかしきっとそのうちメンバーが再び増えることになるだろうから、今の3人であるうちを見ておきたい。そんな一心だった。
僕はといえばすっかりYOMIの国に両足突っ込んでしまっているのだが。

つれづれの曲にPrimal Threeという曲がある。
つれづれといえば四人が最もしっくりくるシルエットだと僕は思っている。
しかし僕が知らなかった頃の結成当時のつれづれも、僕が知った後で子子子が抜けてしまった時も、その一年後に艶奴が抜けてしまった時も、つれづれには3人で乗り越えて来た歴史がある。
そして僕らもまた3人でバンドを続けてきたことに、こもち・とわ・まうるの3人での星歴を重ね合わせてきた一面もあり、今こそ星歴も見ておきたいと思った。それがぐるLolipopツアーの新宿ReNYだった。
あの日およそ半年ぶりに聴いたイントロ。ミニマルロンドを大切に歌う君はとても素敵だった。
僕はこのまま聴かずに一生を過ごしていくのかな、と思ってたのに不意討ちをありがとう。ああいった形で聴けたからこそ、素直にいい曲だなと思えた。
こんなふうにこれからも3人で地図を描いていってほしいと思った。

───しかし過ぎたことは過ぎたこととして、まうるちやんが自身で選んで再び歩き始めた勇気───僕なんか再び歩き始めるまで何年もかかっちゃったけれど───そんなまうるちやんの勇気を僕は素敵だと思うし、星歴13夜の天まうるとしてみんなから愛されてきたことだって紛れのない事実だろう。
しかし君のその先にある未来は、星歴で過ごしてきた3年間よりも、きっともっともっと長い道のりになるだろう。そしてもっと輝かしいものになるだろう。
君はakugiで、まるあうまとしても活躍しているけれど(あっ、別人か)、僕は今まで見たこと無かった君のその姿を見て、君の無限の可能性を感じ、もっともっといろんな君を見てみたいと思ってるよ。
だからたとえもし君がどんな道へ進もうとも、どんなに遠いところにいたとしても、君と過ごした記憶や君の歌声はいつまでも僕の中で鳴り続けているし、 これからの君にもっと期待している。

まうるちやん
君の先にある君の未来は、きっと僕が期待しているよりも君が描いている想像以上の素敵なもので溢れていると思う。

まるで別れの言葉になっちゃいそうだけど、君はこれからもコドモメンタルの中で歩いていくと決めてくれたのだから、またきっと君に会えるよね。
ありがとう。

またね。

2021.12.8
Лавочкин(らぼーちきん)

まうるちやん、ありがとう。
これからの君もずっと見守っているよ。

2021.12.11.
Лавочкин(らぼーちきん)

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