中国行き、その後

正月明けに夫が中国に渡航した。
そして3月末に家族で渡航する、はずだったけれど、結局それは延期になった。あっという間の出来事でちょっとまだ実感がないけれど。

あれよあれよという間に中国での感染が広がり、武漢が閉鎖され、危険レベルが上がり、家族の渡航は禁止になった。

渡航延期によって、子供の習い事をやめるのをやめる連絡、日本の小学校に入学する連絡、周りの人への説明、引っ越しの取りやめなどなど、いろいろあったけど、致命的なタイミングじゃなかったのでダメージは最小限で済んだ。これがもし現地に住み始めて入学式~みたいなタイミングだったら本当に悲惨だったと思う。

子どもはあっさりと方向転換を受け入れ、仲良しの子と通学できることを喜んでいる。いずれ落ち着いたら改めて渡航することになると思うけれど、それまで夫は単身赴任、家族は日本で暮らすことになる。

こんなタイミングで夫が中国に赴任したので、私はコロナウイルスの患者増加数や現地のお医者さんのコメント、中国の感染防止策などをずっと追い続けてきた。何より中国に居る夫が心配で。
いつ日本への帰国指示が出るのか、出ないのか、やきもきしていた。

中国に友人・家族が居たりする人はたぶん、今の中国の感染防止策の徹底ぶりを知っていると思う。
細かい違いはあるけれど、会社と学校は一斉に強制的に休みになり、基本的に駅でもショッピングモールでもマンション入り口でも検温、熱があれば既定の病院のみ受診、市外から来た人は強制的に2週間自宅隔離、感染者が出た建物など全て地図上に表示されている。
みんな感染をおそれてほとんど町に出ない。閑散としてるのは最善の策としてみんな家に閉じこもって宅配とかで暮らしているから。

結果、夫の暮らす街ではもう何日も新規患者は発生していない。
私は中国では本当にコロナウイルス肺炎は終息するんじゃないかと思っている(少なくとも武漢以外では)。これだけ本気で極端な対策をして、それを国民が”否応なしに”したがって、そしておさまっていく様を見ながら、中国の怖さとすごさを改めて実感してしまった。

そして2月に入ってしばらくした頃、私は「中国に居る夫は大丈夫だ」と思えるようになった。だって、熱がある人が町なかをウロウロしている可能性は限りなく低いのだから。在宅で勤務している限り、感染の確率はほぼ無いと思う。

でも、今度は日本。

日本はどうなるんだろう?ということが逆に気になってきた。
夫にも「気を付けて」と心配されるようになってきた。
それもそうだろう。日本では会社も学校も休みにならない。毎日の満員電車も変わらない。熱があっても仕事や旅行に行ける。熱があってもどの病院にも行ける。発症した人がどこにいたかも明らかにされない。
この対応のあまりの違いだけでも「大丈夫なのかな…」と思い始め、そして昨日今日とさらに愕然としてしまった。

クルーズ船で感染の可能性がある職員も検査しないで終わり。ミスで陰性と検査されてないクルーズ客も下船させてしまう。他国が下船後2週間隔離と言っているのに自国だけ下船後フリーにして案の定帰宅後に感染者が出る。

どういうことなんだろう。
私はちょっとよくわからなくなっている。

私は日本がとても好きだし、漠然と国を信頼していたように思うのだけど、ちょっと今の様子を見ているとこの国は大丈夫なのかな、と思えてきてしまう。

日本は何を大事にしているんだろう。
感染者を一人でも増やさないことを国として一番大事にしているんではないの…?そうであれば、万が一も考えて、下船後も隔離したほうがいいと判断するのが普通だと思う。そうできない理屈が何かあるんだろうか。そういう意見は厚労省の中に無かったんだろうか?いや、あったよね、さすがに??

今となっては中国に居るほうが安全だと思う。
まさか2週間前には予測できなかったけれど、今となってはそうだ。

そうはいっても私は子供としばらく日本で暮らすのだから、自分で守れる範囲で守っていくしかない。旅行もイベントも娯楽施設もしばらくはおあずけだ。

いつになったら前のように旅行できるのかわからない。
これから日本の中でどんな風になっていくのか予想できない。

なんとか、大事にならずに終息してほしい。心から。

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