記憶と写真と想像力

私の写真は、何か特別なものや景色を撮ったものではないです。
その辺の日常の景色がほとんどで、それは
誰に見られるでもなく、ただある景色です。すぐに忘れてしまうような。
でもそういった特別でもないものが、
案外、人の一番深い場所に残る記憶になるんじゃないかと思っています。

例えば、よく歩いていた道、よく行った場所。読んだ本。
特定の季節の空気や、匂い、音、光。
記憶の中の一番深いところまで沈んでいった
こういったものに繋がろうとするきっかけは、突然現れます。

胸が締め付けられたり、目や喉の奥が熱くなるような反応があったとき、
甘やかな思い出に浸るのではなくて、
それが自分の何の記憶に繋がっているのか
糸をたどるように思い出そうとしているときに、
もしかしたら使っているのは、想像力なのかもしれないと思いました。

想像力は、誰かを思いやる優しさにつながるんじゃないかと思います。
日々を楽しむ工夫に繋がるんじゃないかと。
辛いことを少し和らげるための方法に繋がるんじゃないかと。
何かに立ち向かうための力にも
誰かに感謝する心にも繋がるんじゃないかと思って、信じています。

もしかして、想像力が世界を良くするものに繋がっているんじゃないか。
そう思って、
人の心の一番深いところに沈む
誰に見られるでもなく、ただある景色を引っ張り出せるような
写真を撮り、作品を作りたいと思っています。
見た人の想像力の養分に、少しでもなるように。

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