詩の試論

詩を書くとき、詩を書きたいと思う感じに触れている。それは種のように発芽して成長し、やがて詩や散文の形で表現されることを望んでいる。感じていることは書き表され、読まれることによって確かめられ、織りなす綾のように複雑に精緻化されていく。それは、読む人の内省を促し、内にも外にも広がっていく。詩を書くことは、体験のエッセンスを感じてそのミニチュアを作ることだ。体験の核となっているパターンは、比喩、意味、ニュアンスとして文中に埋め込まれ、その響きは通奏低音のように行間に潜在化する。不要なものをそぎ落としていく一方で、糸を重ね合わせて模様を作るように、細密に線を重ねて感じていることの特徴を描き、印象や雰囲気を醸し出し、リズムを整えていく。その間、表現しようとしている感じの背景に響いているものに耳を澄ませ、意味を感じ取っている。

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