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ドラマ版『25時、赤坂で』(追記あり)

はじめに。
以下は、ドラマ版の『25時、赤坂で』に対する、個人的な気持ちを書いたものです。
もし、お気を悪くするような部分があったら、心からお詫び致します。

🐤🐤🐤🐤🐤

Xで、原作はどうなってる?の意のポストに返信を書きながら、最近自分が感じているモヤモヤの正体がハッキリしてきたような気がする。

私自身は、ドラマ版の『25時、赤坂で』と、原作の『25時、赤坂で』は、完全に別物だと思っている。

登場人物が同じで、登場人物のビジュアルも原作に寄せていて、原作者もドラマに関わっていて、描いていることが同じだとしても、それでも。

それは、私が、“ドラマ好き“ を基本スタンスとして、ドラマ版の『25時、赤坂で』を見ているからかもしれない。

以下、Xにポストしたものを転載。







転載、ここまで。

先にも書いたけど、私はドラマが大好きで、長年、色々なドラマを見てきている。
最近は、ゴールデン枠等の長時間ドラマを見る機会が減ってきて、代わりに、30分ものの深夜枠のドラマを見る機会が増えたけど。

ドラマ好きとしては、例え、原作があっても、ドラマはドラマなりの面白さや良さを追求してほしいと思ってる。

で、勘違いして頂きたくないので、敢えて書くけれど、原作をドラマ化する場合、原作のイメージを損なってもらいたくない、とも常に思っている。

なので、ドラマ化されたものが、原作イメージを崩すようなもの、或いは、原作クラッシュになるくらいなら、原作を使わずに、オリジナル脚本で勝負してほしい、原作に頼りがちな現在のドラマ制作現場に批判感情すらあるほど。


以上のことを踏まえて、ドラマ版の『25時、赤坂で』について書くけれど、

まず、私は“ドラマを視聴して、ドラマにハマってから原作を読んだ“ことを先に書いておく。

原作ものドラマは、よく原作ファンがドラマ化されたものに満足出来ないか、原作とは違う、といったことでの批判が起こりやすいジャンル。
その気持ちは、私もよく分かる。
私自身、ドラマだけ楽しんでる訳ではないのだし、漫画も読めば、小説も読む。
原作ファンの気持ちというのは、私も、よぉ~~く分かる💦


でも、それとは別に、ドラマファンとしての気持ちもまた、同時にあって、好きなドラマの原作を読んだとき、読むんじゃなかった…みたいな、原作の記憶を頭から無くしてしまいたくなることも、やっぱり時々ある。
時々どころか、そっちの方が多いくらい。

その為、好きなドラマの原作は、私は殆ど読まないし、普段は、気になった作品の絵柄だけ確認する程度。
何故なら、読んで、がっかりするのが嫌だから。原作ファンがドラマ化されたものに期待しないのと、同じ理由。
ドラマファンとしても、普段からドラマの原作としてそれを読む場合、あまり期待しないことにしている。
ドラマとは、イメージが違うから。

特に、漫画の原作は、本当に全く期待しないで読む。
理由は、漫画は絵が絶対的にあるもので、字面だけを読んでイメージを膨らませる小説とは、がっかりのレベルの度合いがまるで違うから。
(小説でも、挿絵や表紙カバー絵があるものは、漫画同様、殆ど避ける)

ここまで書いて、ドラマ版25時赤坂でにハマったにも関わらず、何故、いつものように原作を避けなかったか、と言うと、ドラマの小道具である劇中劇の台本やキービジュアルに原作の挿絵が挿入されていたからに他ならない。
それがあったことで、とりあえず、原作漫画に対しての抵抗感は薄らいだ。
だから、原作を読んだ。

で、読んでみて、ビックリした。
ドラマとは全然違うじゃないか。
まず、主要キャラの性格や持ち味が違った。
ストーリー展開も違った。
エピソードの順番も違うし、ドラマに出てきた台詞があっても、その台詞が出てくる状況が違う。
(故に、時たま、意味が違ってたりする)

原作を読んでない方には原作ネタバレになってしまうかもしれないけど、原作では、主要2人、羽山と白崎は、話の序盤から“関係“を結んでいて、所謂、セフレ状態で話が進んでいく。
セフレ状態の2人が、いかにセフレを脱してお互いを恋人だときちんと認識出来る状態になっていくか、が、原作のストーリー展開。

ドラマの方は、“関係“を結ぶのは最終回で、役作りの為の恋人ごっこをいかに脱していくか、の話になっている。

どちらも、最終的には本当の恋人同士になるので、似たような流れ、と思う捉え方もあるかもしれないけど、“関係“があるのと無いのとでは、やっぱりかなり2人の関係性が違う。(これは、リアルに置き換えてみれば、誰もが想像つくだろうと思うけど)

なので、描いているストーリーの流れは同じでも、ドラマの方は、より精神的な部分を描写した比重?割合?が高くなっていて、そこを存分に尺を割いて丁寧に表現したドラマであるからこそ、ドラマ版を見てハマった人が数多くいるのだと、私は思っている。
(性描写が無いことで、描いているものが、誰にでも当てはまるような普遍性の高いものになる、という意味)

勿論、原作の方でも、精神的な部分は結構描かれてはいるのだけど、2人が色々悩む場面には、性描写が付き物で、“しながら悩む“2人という感じ。

セフレ状態、しながら悩む…のと、関係を結んでいない2人が関係を結ぶかどうかに葛藤するのとでは、やっぱり其々、違うんだよね。
描いてる関係性が。
(どちらが良い悪いの話じゃなくて、2人の気持ちや関係性が違う、の意)
だから、ドラマと原作漫画は、“別の物語“になっている。

つまり、羽山と白崎2人の物語は、ドラマと原作では、“違う物語“であり、違う2人の話。

登場人物は、羽山麻水と白崎由岐で同じでも、似たようなエピや台詞が挿入されていても、エピの順番は違うし、その台詞が出てくる状況も違う。

違う2人の話、違う物語だから、ドラマを既に見ていても、原作の2人の物語を、別の物語を楽しむように新鮮な気持ちで楽しめる。
(これは、多分、原作を既に知っていても、ドラマ版では、ドラマの2人の物語を楽しめる、ということかと?)

原作とは違う話になっている、別の物語が展開されている、というのは、割と結構重要で、既に知っている訳ではない話は、ドラマの興味をそそるし、視聴者を飽きさせない。
オリジナル脚本を楽しんでいるように楽しむことが出来る。
原作を知っているドラマで、一番問題になるのは、視聴者が先の展開を分かっている、ということだけど、その問題を、このドラマでは解決してしまっている。

しかも、原作が割と知られている作品の場合、ドラマオリジナル展開を作る為のよくあるパターンは、結末を変える、というパターンだけど、『25時、赤坂で』は、結末は変えておらず、原作に添った結末になっている。だから、原作を知っていても、最終的に“違う物語“というような違和感が(少)ないのでは。

また、次によくあるパターンは、オリジナルキャラを登場させて、物語に関わらせるというパターンだけど、それを不用意にしてしまうと、主要キャラの人間関係の枝葉が多くなってしまったりして、原作とは違う個性を持ったキャラになってしまったり、肝心の大筋のストーリーが薄まってしまったりして、原作とは違った印象の物語になってしまう危険があるのだけど、『25時、赤坂で』の場合は、オリジナルキャラは、2人の物語に直接関係のない、撮影現場の監督やプロデューサーに限られていて、2人の物語を全く邪魔してはいない。

原作とは違う物語、違うストーリー展開、別の2人の話。
でも、最終的に行き着く先は同じで、作品テーマも変わらない。
原作のエッセンス的に、原作エピや原作台詞を使い、全くの別物という感を薄め、原作ファンも楽しめる。
キャラのビジュアルを寄せていることで、ドラマと原作のキャラの違いが薄まり、絵柄の違いによる抵抗感を減らし、ドラマと原作の垣根を低くしており、ドラマ→原作、原作→ドラマ、に移行しやすくしている作り。

本当に、原作がよく咀嚼されたドラマだと思う。
加えて、羽山と白崎を演じた駒木根葵汰さんと新原泰佑さんの演技力。
映像美、演出、伏線の張り方とその回収、性的描写に関する数々の配慮…等々、ドラマならでは、連ドラならではの良さを生かし、完成度も高い。

どうしても私は、この作品のファンである前に、長年に渡ってドラマを数々見続けてきたドラマファンでもあるので、ドラマ版の『25時、赤坂で』を、原作の『25時、赤坂で』と一緒に語ることには抵抗がある。

ドラマにはドラマの良さがあり、ドラマでなければ表現出なかった部分も多い。
それは、BLというジャンルにとどまらず、昨今の連ドラ全体の中で、中々満足出来なかったもの。

それを満足させてくれた、ドラマ版の『25時、赤坂で』。
原作者の全面的な協力が無ければ出来なかった作品ということは勿論承知しており、原作者リスペクトもあるけれど、やっぱり原作とドラマは別物と感じてしまうし、ドラマから入った私には、ドラマで満足したものが原作で得られたか、というと、大変申し訳ないんだけど、ドラマで得られたようなものは、原作からは得られなかった。

もしかしたら、私は問題発言をしているのかもしれない。
でも、これが正直な気持ち。

原作漫画の良さは、一応、分かってはいるつもり。
ただ、子供の頃から沢山の漫画を愛読し続けてきた私には、『25時、赤坂で』でなければ得られない、というような、特筆すべき程のものは、見出だせなかった。
内容がイマイチというのではなくて、以前にも似たような作品が多々あった…という意味だけれど。

でも、ドラマ版の方は、以前にも似たようなドラマが…どころか、ここまで原作を咀嚼して再構成した完成度の高い、地上波の連ドラは滅多にない…という感を自分は持っている。

ドラマの効果で原作も広まることに、別に異存はないし、ドラマと原作のコラボを楽しんでいる人達の気持ちが理解出来ない訳でも決して無いんだけど、

ドラマの『25時、赤坂で』は、原作の良さを抜きにしても、本当に良かったのになぁ…
ドラマ版の評価が、原作のおかげであるかのように感じるような評価は違うと思うんだけどなぁ…

と、最近のコラボありきのような?ドラマと原作を一緒にしているような状況が、何となく気になっているこの頃。

原作とドラマ版を分けて考えてる私のような者は、もしかして、日本では少数派?


🐔🐔🐔🐔🐔

追記。

これから書くことは、私にとって、原作者リスペクトでしかありません。
それを前提にして読んで頂ければ幸いです。

🐰🐰🐰

原作漫画とドラマ版は、全くの別物と感じている、と先に書いた。

その上で、既に書いたように、ドラマ版は、原作ものドラマで、ここまで咀嚼再構成され、ドラマならでは、連ドラならではの良さを生かした完成度の高い地上波ドラマは滅多にない、と、私はドラマ版をかなり高く評価し、
原作の方は、以前にも似たような内容は読んだことがある気がして、特筆すべき程のものは感じられなかった、と書いた。

つまり、作品自体の評価として、私は、原作漫画よりもドラマ版の方を高く評価している訳なんだけど、
それだけのドラマが作りあげられたのは、やっぱり原作者・夏野寛子先生の功績も大きいと思っている。
ドラマ化するということは、原作をどう料理していくかの作業。
原作漫画は、1人の漫画家として、既に完成、完結させたもの。
一旦完成させた作品を、他の人と一緒に、新たに"料理し直す"なんて、どう考えても、精神的にキツイ作業。
だって、自分自身(恐らく普通は自分1人)が愛情かけて生み出した、愛着のある子どものような作品、それも一旦は完成している作品を、他の人の意見を取り入れながら、あらためて作り上げなければいけない作業なんだから。
時間的余裕がたっぷりあって、楽しみとして、"料理"出来る状況ならともかく、本業の仕事をしながら、あーでもない、こーでもない、なんて、どう考えても大変だし、自分が完成させたものをまた壊す作業に加わる訳でもある訳だし、どれだけ心を砕いてそれをやっていたかと思う。

そして、その夏野先生の協力が無ければ、このドラマ版は、これほどのクオリティにはならなかっただろうとも。

自分自身が一旦作り上げて完成させた作品を、別の良いものに料理して多くの人に届ける作業って、本来なら、陣頭指揮を取りたいものだろうと想像するんだけど、そういう立ち位置でもなく。

とっても失礼な言い方になるけれど、夏野先生は、ドラマ版の制作スタッフの1人として、物凄く…ある意味、理想的な仕事をしたんじゃないだろうか。
そして、その夏野先生という制作スタッフがいたからこそ、ドラマ版は原作の良さを損なうことなく完成させられた訳で。

私は、原作をここまで咀嚼再構成したドラマ版を高く評価している。
で、それは、制作に携わったスタッフやキャストを高く評価しているということでもあり、その中には、原作者の夏野先生も勿論含まれている。

原作そのものを特筆すべき作品とは思っていなくても、原作者の夏野先生は、ドラマ版制作にあたって特筆すべき、唯一無二の制作スタッフであり原作者だと思っている。

実は、この先、夏野先生が『25時、赤坂で』の原作漫画執筆にあたって、迷ったり混乱したり困ったりしないか、真面目に心配しているほど。
割り切りや切り替えが上手く出来ればいいけど…と、私のような一視聴者が心配するのは、とてもおこがましいのはよくわかっているけれど、それくらい、ドラマ版の完成度は高くて、視聴者や読者に影響を与える仕上がりになっているのじゃないかと、個人的には思うので。

ドラマ版、続編やseason2を作ってもらえるなら、本当に嬉しいけれど、どうか今後、夏野先生の原作漫画執筆に困った影響を与えませんようにと、今はそれを祈っています。

私自身、昔の知り合いが漫画を描いていて、(○十年前、少年誌ですが一応デビューして連載を持ってました。当時は人気漫画家という程でもなくて、その後疎遠になったので、今はどうしてるか分かりませんが)、漫画を描くのは、自分自身の中にあるものを描きたい衝動?からくるものだと、その人のことを思い出しても、色々な漫画家さんの話を読んでいても、よく分かります。
夏野先生も、漫画家である以上はそうだろうし、
ドラマ版は、いくら素晴らしくても、自分自身の描きたいものを描く作業とは違うはず。

本当に、ドラマ版の『25時、赤坂で』が素晴らしかったからこそ、夏野先生の原作者としての、ドラマ版に携わった唯一無二の制作スタッフとしての意向が妨げられないように、この先の原作やドラマ版の今後が、誰も困った状況にならないよう、進んでいってほしいと思うんです。

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