見出し画像

②実家に元婚約者を連れて帰った時の話(父語りVer.)

①を先に読んでね☆

数年前、元婚約者と同棲していた。お互いいい年だったし、お付き合いは結婚を見据えてと考えていたので付き合って数か月でお互いの親に顔合わせをすることになった。

彼は豊島区出身の都会っ子。同棲していた私たちの家から私の実家に近づくたびに彼の顔がどんどん不安げになっていた。

「ほら、あそこが私の家だよ。」

私の家は車窓から見えるくらい線路に近かった。彼は眉間にしわを寄せ、あんな犬小屋に住んでるんだと言った。

犬小屋、どうやら私の家の横にある物置小屋を見てそう思ったらしい。どういうことだってばよ。

家までの道中も虫が、蜘蛛の巣がと腕を振り回す彼。連れて帰ったけどすでに心が折れそうだった。

家が見え始め、あれが私んちだよというと彼は犬小屋の何倍もの大きさの家に驚いた。そりゃ田舎の家が小さいわけない。

家に入ってからも応接間の豪華な装飾に目を輝かせていた。ピアノ、シャンデリア、大理石のテーブル、革張りのソファセット、白熊のカーペット、壁にはウミガメのはく製、誰も読まない本が敷き詰められた本棚、誰も使わないレーザーカラオケ。

(ここから)

彼が応接間で待っている間3人分のお茶を用意して応接間に運び、彼と二人で父を待った。しばらくして父がやあやあわざわざ遠いところからどうもと応接間にやってきた。お父さん、こちらが今お付き合いしてる〇〇さん。と彼を紹介するとそうか…と妙な沈黙。すると父がおもむろに口を開いた。

「…40代からはな、性欲が強いねん。」

…え? えええ???

突然の父の言葉に動揺し、正直そのあとのことはまともに覚えていない。確か戦時中の話をしていたような気がする。父にはよくある話なのだけど、さっきまでテレビで見ていた話を見ていなかった人にまるで一緒に見ていたかのように話しかける。父の頭の中ではその人が見ていなかったとかどうでもいいらしい。つまり、父は彼が家に着くまでテレビで韓国慰安婦の話を見ていた、ということなのだろう、たぶん。

その後別ルートでも書いた珍事件があり、翌日の私のお通じはそれはそれはひどいものになった。この日以降ストレスがまともに腸に来る体質になってしまったという要らない情報で締めくくりたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?