ウェイモ
自動運転車両は将来的に、物流分野のラストワンマイルの速度を向上させ、コスト削減の効果をもたらす。現在のように巨大な物流拠点から配送するのではなく、地元の小売店から消費者に直接モノが届けられるようになる。ウェイモの技術は結果的に、アマゾンではなく伝統的な小売店の競争力を高めることになる
ウェイモとFCAは、ウェイモが自動運転技術をFCAにライセンス供与し、FCAが自動運転車を開発して市販する方向でも協議を始めたと明かしている。
乗客にとってみれば、最初は車に乗ること自体が楽しく思えるだろう。しかし、いまでこそ注目されている自律走行車も、いずれありふれたものになるはずだ。後部座席に座る人はドライヴァーのいない運転席に慣れ、高速を走っているときでも携帯電話を操作したり、うたた寝したりするのが当たり前になる、料金を払ってこうしたクルマに乗る日が来るのかもしれない。
ウェイモのライバル
5月31日、自動運転車を開発する有力大手企業2社からそれぞれ重大な発表があった。
1. ウェイモは、クライスラーのミニバン6万2000台を購入する計画を明らかにした。
2. ゼネラルモーターズの自動運転車部門であるクルーズ(Cruise)は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SoftBank Vision Fund)から22億5000万ドルの出資を受けることになった。
ウェイモの発表は、同社が自動運転タクシー部隊を構築するか、自動運転車を一般販売するかのいずれかを計画しており、自動運転技術の商業化への意気込みを示している。
ゼネラルモーターズは、自動運転技術のライバル企業に追いつくために必要な莫大な資金を得られた。同社の株価はこの発表後、急騰している。
中国のインターネット検索大手、百度(バイドゥ)は7月4日、自動運転バス「アポロン(Apolong)」の量産を開始したことを明らかにした。
一方、米半導体大手インテルは同日、傘下のイスラエル企業、モービルアイが開発した最先端の視覚技術とソフトウェアが、バイドゥが進める自動運転車プラットフォーム「アポロ(Apollo)」に採用されたことを明らかにした。
インテルの発表文によれば、バイドゥはモービルアイのソフトウェア「Responsibility Sensitive Safety(RSS)」をアポロに取り入れるほか、「Surround View Camera Kit(サラウンドビューカメラキット)」を中国市場向けに開発中の自動運転車に採用する。
アポロは、オープンソース化させて、100社以上の協力を得ながら、開発を推進させている。
スタートアップのZooxは、まだ1台の車も世に送り出していない。Zooxは、現在はいわゆる「ステルスモード」で事業を進めている。これは、競合他社に動きを知られないためとされる。
テスラの車両は個人所有を前提にしているため、機能やコスト面でハードウェアに制約が生じる。一方、Zooxが目指すのはあくまでオンデマンドのロボットタクシーだ。エンジニアリングの観点では、業務利用を前提としたプロダクトのほうが自由度が高い。
Zooxのビジョンは多くのVCの共感を得て、これまでに3億6000万ドル(約400億円)の資金を調達している。しかし、全く新しい形態のEVをゼロから開発するためには莫大な資金が必要であり、同社は現在シリーズBラウンドでさらに多くの資金を調達することを目指している。
消費者にとって朗報なのは、テスラをはじめ自動運転業界が、安全な自動運転車の開発にはスーパーコンピューティングが不可欠であることに気づいたことだ。
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