![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/137037516/rectangle_large_type_2_55860e22c7f1dbe51da9e25fae7fb12d.png?width=800)
トーナメントにおけるブラインドヘッズの戦い方【後編】
こんにちは、ラプラスです。
ポーカーを勉強しているとある大学生です。
本記事はGTO wizard の公式YouTubeチャンネルの以下の動画のまとめ記事の後編となります。後編からでも問題なく読めますが、前編を読んでいない方は前編にも目を通してもらえると嬉しいです。
0.この記事でわかること
この記事では大雑把に以下のことがわかります。
3人以上残っている段階でのSB,BBヘッズアップの前提知識(前編)
スタックサイズによるSBのオープン戦略(前編)
スタックサイズによるBBのリンプへの対応(前編)
SBリンプにBBレイズされた時のSBの対応(後編)
SBレイズへのBBの対応(後編)
極端なICMがある時のレンジの変化(後編)
4.SBリンプにBBレイズされた時のSBの対応
概略
SBの対応はスタックサイズによって以下の4つに大別されます。
・80bb以上:リニア+スーコネの3Bet戦略
・40〜80bb:ブロッカーレイズ戦略
・25〜40bb:リンプAll-in戦略
・25bb未満:2段階のAll-in戦略
このようなスタックサイズで分けているのはスタックサイズごとのSBのアクションの割合を表した以下の図を見ればわかりやすいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1712912623894-d6gdxOUG6d.png?width=800)
スタックサイズことのSBのアクションの割合
このシチュエーションで重要なのはオープンする際に取っていた戦略とリンプレイズが返ってきた時の戦略をどちらも考えることです。
前者についてはぜひ記事の【前編】でご確認ください。
80bb以上での戦略
オープンの際は70%以上リンプ戦略を取っていて、リレイズするレンジとしては以下の2点を重要視します。
広いボードをカバーする+大きいスタックを取り切るスーコネをレイズする
ブラフとしてAxoをレイズする
![](https://assets.st-note.com/img/1712914899299-FY7zrokHBJ.png?width=800)
ボードをカバーする目的と強い+コールレンジを守るために9ポケ以下のポケットはコールに留めるのがベターです。
BBのレイズがポラライズされている前提のレンジのため、相手がリニアなレンジでレイズしている場合についてはJ5sやQ9oやその周りのハンドについてオーバーフォールドしてもいいでしょう。
スーテッド系はコールして純粋に強いハンド+AKQハイのオフスートでブロッカーレイズを仕掛けているのでBTN open のBBの対応を1回り堅くしたレンジ、といったイメージが合うかもしれません。
![](https://assets.st-note.com/img/1712915052226-kP9dylkpoK.png?width=800)
40〜80bb以上での戦略
オープンの際はややリンプの頻度が減りレイズの頻度が増えているのでリンプレンジが先ほどよりも弱いです。レンジ構成としては以下の2点を重要視します。
スーテッド系はコールしてフロップを見に行く
コールする下限のK9o〜T8oのブロッカーブラフレイズが増えてくる
![](https://assets.st-note.com/img/1712914952128-qMPKrK4SFY.png?width=800)
先ほどよりもスタックが浅いのでスーテッド系はドローが完成した後でもAll-inまで持っていけます。そのためプリフロではかなり控えめなコールが選択されがちです。
25〜40bb以上での戦略
プリフロで3Bet All-in を考えられるスタックサイズになってきたのでBBレイズに対してAll-in をし始めます。以下の点を意識してレンジを見てみましょう。
弱いポケット+AxoでAll-in をする
ミニレイズするハンドはリンプしないことが多いので実質コール or All-in 戦略に近い
![](https://assets.st-note.com/img/1712914988577-6OhR3sHK3p.png?width=800)
弱いスーテッド系はオープンの際にブラフレイズしていることがあるので見た目ほどレンジが弱くないことに注意しましょう。
このスタックになってくると「All-in を返されるとしんどいからレイズは控えめにするか」といったプレイヤーもいて、BBのレイズレンジが極端に強くなっている可能性もあるので注意しましょう。
25bb未満での戦略
すでに弱いポケットやAxoはAll-in していることが多いのでその次にAll-in に適したハンドでAll-in をしていきましょう。重要なのは以下の2点です。
ミドルポケットとAxsでAll-in をする
JJ+をコールしてコールレンジを守る
![](https://assets.st-note.com/img/1712914967898-xL4XZtEJwp.png?width=800)
ポストフロップを戦えるだけのスタックがなくなってきて、実際のトナメではICMを考慮してこのスタックでのBBのレイズに95sやJ8oは降りることが多いでしょう。
5.SBレイズへのBBの対応
概略
SBレイズに対してのBBの対応はSPRがほぼ同じなため【4.SBリンプにBBレイズされた時のSBの対応】と非常に似たレンジになります。
・80bb以上:リニア+スーコネの3Bet戦略
・40〜80bb:ブロッカーレイズ戦略
・25〜40bb:ミニ3Bet→プリフロAll-inへシフト
・25bb未満:ミニ3Bet の消滅
同様にスタックサイズごとのBBのアクションの割合を表した以下の図を見てみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1713152185889-yLhiaG452n.png?width=800)
40bb付近でコールレンジが広がっているのはSBのオープンサイズが3.5bbから3bbに変わるからです。
逆に常に3bbなら40bb以上持っていても広めにコールしてもいいでしょう。
80bb以上の戦略
注意する点は前章の80bb以上の戦略と似ています。
広いボードをカバーする+大きいスタックを取り切るスーコネをレイズする
ブラフとしてオフスートの弱い部分をレイズする
![](https://assets.st-note.com/img/1713151814788-KuvjXAk1Rk.png?width=800)
40〜80bbでの戦略
先ほどと似たレンジ構成になっていますが、違いとしてはSPRが小さくなったのでスーコネ系をコールに留めるようになったところくらいでしょう。
(正直分ける意味は少ないかと、、、)
ただ、スーコネのレイズを減らした分オフスートのA〜Tハイ系のブラフレイズは気持ち増やしましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1713151820098-7YjqW4laO0.png?width=800)
25〜40bbでの戦略
実践のトナメだとやや早いですが、Chip EV 的には40bbあたりから3 Bet All-in が出てきます。
ただ、SBのリンプレンジは依然として広く、レイズされている分そこまでフォールドエクイティを狙えない+IPでフロップ以降戦えるのでレイズ頻度は全体的に小さめです。
![](https://assets.st-note.com/img/1713151822893-Um4SFcr66q.png?width=800)
25bb未満での戦略
ここまで浅くなるとミニ3Bet はなくなりますが、コールレンジは依然として広いです。
ここで意識しないといけないのはSBがミニレイズするレンジはGTO上ではポラライズされていますが、実践では強いハンドに偏りがちなことが多いです。(感覚ですが、、、)
特にアグレッシブなプレイヤーは中途半端なハンドはAll-in して降ろしにきて、強いハンドでAll-in 待ちのミニレイズが多くなりがちです。
そしてGTO上ではIPで戦えるというメリットを少しでも多く享受するためにコールレンジが広めですが、レンジを狭くしてオーバーフォールドしてもいいでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1713151828395-xmMtcsJh4g.png?width=800)
6.ICMによる影響
元動画ではフロップについての分析を軽く行っていましたが、データの羅列になってしまうので今記事では割愛します。
「SBレイズポットではAハイ,KハイボードよりもQハイボードの方がアグレッションが高くなる」的な直感に反する内容もあったのでぜひ見てみてください。
その代わり本節では元動画に分割して登場していたICMの影響下でのプリフロレンジの変化について極端な例ですがまとめていきます。
ICMってなんぞやという方はぜひ以下の記事を読んでみてください。
以下ではSB,BBが13%程度のリスクプレミアムがある状況をそれぞれ見ていきます。
このリスクプレミアムはトナメの中でもかなり大きい方なのでFTでプライズジャンプがあり、飛びそうな人が他にいる状況などをイメージしてください。
SBに有利な状況
ここではBBに12.9%ものリスクプレミアムがある状況について考えます。
つまりSBがBBにプレッシャーをかけるシチュエーションです。
その際のSBのオープンレンジが以下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1713415860276-GaZKhOyjZ0.png?width=800)
BBは飛ぶリスクを抱えていてなかなか3betできないので、ほとんどすべてのハンドでレイズすることが正当化されています。
それに対してBBのレンジは以下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1713415894892-SyyGZpF6As.png?width=800)
あれ、意外と降りない。と思った人も多いかもしれません。
シチュエーションとしてエフェクティブスタックを42bbにしているのでコールが多いですが、フロップ以降でAll-in に近づけばその分飛ぶリスクと直面することになるのでSBはブラフが通りやすくなります。
実際は相手のICMの見積もりが人によって違ったり、そもそも理解していなかったりするのでプレッシャーのかけすぎでブラフキャッチされ続けることのないようにしましょう。
BBに有利な状況
ここではSBに12.9%ものリスクプレミアムがある状況について考えます。
つまりBBがSBにプレッシャーをかけるシチュエーションです。
その際のSBのオープンレンジが以下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1713416282651-SrlSB7euPo.png?width=800)
見ての通り、レイズレンジが存在しません。
トナメの中では「飛ぶリスクを負って戦ってチップを増やすよりも待機して他の人が飛ぶのを待つ」方が利益的になる場面が多々あります。だから牛歩という作戦が有効なのですが、、、
ここはまさにそのシチュエーションで、わざわざSPRを小さくして戦う意味が薄いです。逆にBBはSPRを小さくしてプレッシャーをかけたいので以下のようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1713416458093-HONSSPPHWa.png?width=800)
オフスート系のブラフを大量に増やしてとにかくプレッシャーをかけにいくプレイが正当化されます。
もちろんそれに対してSBはたくさん降りることになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1713416529620-aTokdyVjNp.png?width=800)
実戦では「こんなに降りるんなら最初からリンプしないでいいじゃん」という人が多いような気がします。
その場合はBBのレイズを少なめにしてバランスをとりましょう。
まとめ
トーナメントにおけるブラインドヘッズの戦い方【後編】ではSBのリンプレイズ戦略とBBのSBレイズへの対応を見ていきました。
アクションが増える分、相手の戦略に影響される内容なのでレンジ構築の考え方を理解して調整できるようにしましょう。例えば以下の内容などです。
SBのリンプリレイズのブラフハンドはどのようなものが適しているか
スタックが小さくなってきたときにAxo,Axs,ポケットはどのタイミングでAll-in をするのが好ましいか
SBレイズに対してBBのIPを活かして戦うようなレンジ構築ができているか
ここまで読んでいただきありがとうございます。
また今後も翻訳記事をはじめとしてポーカー記事をアップしていこうと思うのでnoteやXをフォローしてお待ちください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?