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頑張ってないよ

すごくざっくりいうと
私は、顕微鏡で細胞を見る仕事をしている。

何年か前、ひどい風邪をひいた時のこと。
研修用のサンプルになるかと思い
自分の喀痰を標本にして、顕微鏡で覗いてみた。
たくさんの白血球が細菌と一緒に認められた。
『こんなにたくさん!私の白血球、頑張ってくれてるんだ』
ありがとう。
白血球が、とても愛おしかった。

そして昨年、なぜそういうスイッチが入ったのだろうか。
毎日見ている患者様の標本中の白血球を見て
突然、涙が出てきた。
みんな頑張ったんだね。ありがとうね。
自分の時と同じように、知らない誰かの白血球に感謝していた。


急にそういう気持ちになったの。
そう魂の友に告げた。
白血球、頑張ってて愛おしかったって。
だが、友は言った。
『違うよ。白血球は頑張ってない。それが白血球の役割だから。』

その数日後、別の友人に借りた本を読んでてハッとなった。
手元にないのでタイトルを忘れてしまい、内容もうろ覚えだが簡単に書くとこうだ。

米作りをしているおばあちゃんと、それを手伝わせて欲しいという孫の会話。
冬から春にかけて
『田んぼの中のミミズや微生物が頑張っていい土を作ってくれてるんだね。』
という孫に
『頑張ってないよ。自然のまんま。みんな一緒に、繋がって生きてる。』
とおばあちゃんが言った。

そうなんだ。
白血球も微生物も、頑張ってるわけじゃないんだ。
自分の本来のあるがままの姿でいるだけ。
その結果、誰かが(何かが)誰かの(何かの)役に立っている。

私も、自然にありのままの自分でいれば
役割を果たすことができるのかな。
ありのままの自分とは?役割とは?
うーん。
なんだかぐるぐるしそうだからやめておこう。

頑張ってないよ。
それでいい。
みんな繋がって生きている。

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