平成名文学考 第29章 『七十歳死亡法案、可決』

これ笑っちゃいけない。下手するとこれが衰退国日本の唯一の解決策になる。

感想としては『ネオ・人間がいっぱい』ですかね。映画化された時の題名は『ソイレントグリーン』ですが。これに臓器移植強制法もセットにすればソイレントグリーンシステムが完成です。『人間がいっぱい』の頃の1970年代は人類の人口爆発が問題の時期だった。しかし人類の人口は2060年をピークにアフリカ諸国を含めてなんと激減するのだ。しかも人口は100億人に達さない見込みだ。つまり人類の食料問題は解決するという事だ。それで「よかったね」じゃない。超・少子高齢化が全世界で起きるということで今度は『老人がいっぱい』ということになり年金制度と健康保険制度が支えきれなくなって結局70歳で「ソイレントグリーン」になる。しかし平成と言う時代は長らくこのディストピアの問いから逃げて来た。それどころか「1億総活躍社会」と称して70歳を過ぎても下手すると75歳を過ぎても働くという『ソイレントグリーン』以上のディストピアを日本社会は平成末期に完成させた。これに令和の時代は定年45歳制度がセットで45歳からフリーターを強いる低賃金労働社会が完成だ。人生の大半が「マックバイト」と言う非正規奴隷労働で過ごすというとんでもない社会になるわけだよ。そんな社会は嫌だ。逃げたいって奴が先ほど紹介した『池袋ウエストゲートパーク』第5巻の反自殺クラブの話につながっていく。

老人の大量虐殺は確かに悪だ。じゃあ「老人総動員法」は悪じゃないのか?

だからこの2つの悪を解消するのは無人化・ロボット化・AI化しかないわけ。その先頭をなんと共産主義国家である中華人民共和国が先頭に立って解決している。その意味をよく考えてほしい。本当は解決策はあるのだ。なので中国と言う国はああ、やっぱり21世紀の覇権国家なのだなと。衰退国日本では『七十歳死亡法案』という「昭和」の発想しか出来ない。でも平成って2019年まであるわけだよ。何のためにテクノロジーと言うものがあるのか皆さん、よくお考え下さい。そしてそのために文学にはSFと言うジャンルがあるということも。SFというのはいつかは現実に出来る世界を描くジャンルなんだしね。

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