平成名文学考 第45章 『君の膵臓をたべたい』

たぶんかなりの読者は知ってると思うけど最後のネタバレは絶対に書きませんのでご安心ください。それ書いたら読まなくなるでしょ?

そしてこの作品を選んだ理由は単に世に「ライト文芸」というジャンルを広めただけでなく文学を滅ぼすのもなろう系であれば文学の復活の可能性を示したのもなろう系だったという驚愕の事実だったからだ。

80年代までは

児童文学→大衆文学・純文学

と特に男子は児童文学からいきなり大衆文学に移行するので文学の敷居は高かった。

ただし女性はもうコバルト文庫が普及してたので、

児童文学→ライトノベル→大衆文学・純文学

となっていた。

90年代は男女ともに

児童文学→ライトノベル→大衆文学・純文学

となった。これが2002年頃から「萌え」と称したキモオタシフトで壊れていき大衆文学も純文学も壊れていく。

これを2010年代後半に

児童文学→児童文学(中学生用)ライト文芸→大衆文学・純文学

と言う形で復活出来る兆しが見えたって事だ。じゃあ今のライトノベルはどうするかだって?ゴミ箱行です。ライト・ポルノ・ノベルに落ちたもんはもう無価値です。表紙みりゃ分かるだろ。青少年に見せちゃいけないもんだということに。

この高校生1年~大学4年~新社会人2年(修士2年)くらいまで読める本が『君の膵臓をたべたい』なんだよ。ライト文芸って20代後半までと守備範囲が広いのね。広いけど15~24歳だから開始年齢が遅いことにも注目だ。中学生は新しい児童文学が担って行く。

たしかに『小説家に「なろう」』だな。1000万作のうち1作品はまともなものが含まれており「なろう」は確かに平成文学史を変えた。それは「なろう」でもっとも売れた本じゃない。文芸的に評価される作品が『君の膵臓をたべたい』だったということだ。勘違いするなよ?最も売れた料理が最もいい料理じゃない。ジャンクフードであるハンバーガーは所詮ハンバーガーでしかないんだ。高級料理にはかなわないんだ。『君の膵臓をたべたい』は料理に例えるとけっこうお高い高級料理だ。

なお、従来のラノベはライト・ポルノ・ノベルなのであと20年後には全部ゴミ箱行だろう。

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