平成名文学考 第27章 『後宮小説』

酒見賢一のデビュー作である。第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞。この「ファンタジー」とは純文学としてのファンタジーであり読売新聞東京本社と三井不動産販売が後援となる。大賞が該当なしという年が多く大変厳しい賞である。恩田陸や小野不由美が受賞するなどかなりレベルの高い賞となっている。

グインサーガもそうだがどうして日本のファンタジー文学はこの方面に行かずに「なろう系」に退化してしまったのか。悔やんでも悔やみきれない。

架空王朝譚だからファンタジーなんだというけどこれって立派に中国文学を日本人が書いたという事では。

恩田陸は過労で倒れ入信して退院した後に『後宮小説』を読んで作家になりたいと決意したという。ということで『蜜蜂と遠雷』も後に紹介します。『後宮小説』が恩田陸という作家を産んだというだけでも平成文学史に記述する価値がある。

ただ『後宮小説』は「金瓶梅」の影響が大きく、4大奇書の中では一番マイナーだから読む人は選ぶ。

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