謎解きとはなにか
これはわんど100の1番目の記事です。
どこまでが謎でどこまでがクイズ、パズルか
よく対比される謎解き、パズル、クイズの境界は下図のように定義により明確に区別できるものではなく、
共通領域や曖昧さを含むという話はよくされてます。
ただ、自分にとっては、
共通領域やグラデーションのイメージは下図ではなく、
下図のイメージを持っています
すなわち、
すべての問題が謎解き・パズル・クイズ、もしくはそれらの一部に分類できるのではなく、「頭を使う遊び」というのが無数に存在して
現代においては、
謎解き・パズル・クイズのカテゴリがたまたま主流だけど、
他にもカテゴリはいくらでも存在し得たし、
それぞれは別個に発展した文化でそれぞれが謎らしさ、パズルらしさ、クイズらしさを持っているという考え方で、
すなわち、
独自に発達したものなので、
「Aに入ること」を理由に「Bから除外される」といったことは基本的に起こらないとする立場です。
ただ、ふくらさんや松丸さんのインタビューで、どちらもIQサプリが挙げられているなど、系譜として、同じものから影響を受けて派生している、ということはあります。
広義の話
問題と答えがあれば(広義)クイズだよね
という話があります。
原義から考えてみると、
問題に答える遊びのことをクイズと呼んでいたので、
山上さんのCの集合をクイズと呼ぶことには異論ありません。
同じように原義から考えると、
「謎」というのはよくわからないもののことを指すので、
「一見してわからないもの」のことであればすべて謎と呼んで良いように見える。
(「謎」ではなく「謎解き」というのであれば解くためのものであってほしいと思いますが)
また、「パズル」には「悩ませるもの」という意味があるので、
「問題」に絞って考えると
問題と答えがあるのがクイズ
考えるか変換しないと、答えがわからない問題があるのが謎
考える問題がパズル
と言えるかもしれません。
つまりほとんどの問題はクイズかつ謎解きかつパズル
原義の話が言葉遊びだとしても、
ふくらさんのパズル選手権の参加記動画にも
「思ったよりパズルって広い」とあったり、
零狐春が謎解きと称して様々なジャンルの遊びをWebで出題していたり、
ジャンルの枠を広げようとする試みは様々なところで見られます。
そのため、「広い意味でどこまで」を議論することはジャンルの区分においては、あまり有用さを見いだせなさそうです。
どのように分類するか
この、分類した図の境界がどこにあるかではなく、
円の中心がどこを向いているかについて考えるとすると、
以下のツイートは、この前提の上で、
それぞれの「らしさ」の話を、何の面白さに着目しているかという観点で捉えたものが以下のツイートです。
閃きは謎解きの専売特許か
良い例をすぐ出せるわけではないですが、「伝説の良問」とされる問題について、
パズルについては、ひっかけに限らず、盤面全体をみて気付ける手筋なども含めると、
わかった時に気持ちの良い、ひらめきの入った問題が、評価の高い問題と呼ばれることがあります。
しかし、良問とされている問題がカテゴリを代表する問題かというとそうではなく、
「普段知識を競っているからこそ、」
「普段と違う考え方を要求されるから」
こそ、評価が高くなっている、という見方もできます。
そのため、クイズ、パズルが閃きを主軸としたものではないというのは
大筋としてはズレていないのではないかと思います。
どこまでが謎解き/クイズ/パズルか
脱出ゲームと紙の一枚謎が同じジャンルで括られるのは冷静に考えると違和感がありますし、おそらく日本以外だとそうなってないでしょう。
これはSCRAPが脱出ゲームと紙の謎の親和性の高さに気づき、組み合わせて、新しい遊びを作り出すことに成功した経緯によるもので、
「閃きが求められる」という共通点よりも
「遊んでいる層が同じだから同じカテゴリで括っている」と考えるほうが適切かもしれません。
異なる遊びを「閃き」という枠でまとめたおかげで、
謎解きには他にも近い要素を持つ遊びを取り込める、懐の広いカテゴリとして成長する余地が生まれました。
(例えば atgtなども謎解き文化以前からあったものを謎解きが取り込んだ形になりました)
近い話は他のジャンルにもあります。
クイズフォーマットを使ったゲーム
クイズノックやカプリティオのYoutubeでは
クイズ知識を前提としたメタ的な遊びだったり、そもそも早押しボタンって楽しいよねといったところから生まれる企画があり、
それらもクイズと呼ばれています。
これは、「問題と答えがある広義のクイズ」という枠で括られているからというよりも、
「競技クイズ」の人が楽しめる遊びという枠として「クイズ」として扱われていると見ることもできるのではないでしょうか。
Instructionlessの例
ペンシルパズルにおいても、Instructionlessという、例題とその解答からルールを推測して解くジャンルがあり、
性質上、ひらめきに近かったり、論理的なステップを踏まなかったり、
他のパズルのルールについての知識が求められたりしますが、
これもペンシルパズルを楽しむ人がパズルだと思って楽しむため、パズルの1ジャンルとして扱うのが都合良いでしょう。
けれども、
Instructionlessがパズルだとして、「パズル愛好家が楽しめるコンテンツはすべてパズルか」というと、
例えば「ペンシルパズル知識早押しクイズ」などはペンシルパズルの愛好家が楽しめるコンテンツですが、
パズルだと思って解く人がいない(解き心地が違う)ので、こういったものはパズルに含まないでしょう。
「Aを楽しむ人がAだと思って楽しむものがA」
この積み重ねが文化を形成し、Aの定義となっていくのではないかと考えます。
あるカテゴリを楽しむ人のための遊びを作るのも大事ですが、
遊びをなんとカテゴライズするかも文化形成には同じくらい重要です。
松丸さんが取り組んでいる遊びを「謎解き」と呼んでおり、
彼だけではなく、様々な人が関わって文化として形成しようとしているものである以上、
それがなんと呼ばれるかは大事にした方が良いし、
「謎解き」と呼ばれなかった時に訂正していく態度をとっているところに、文化を残そうという意志を感じます。
プロモの都合
「謎解きを楽しむ人が謎解きだと思って楽しむものが謎解き」
と抽象的な話になってしまったので、
具体的に何が謎解きに含まれるかを述べると、
零狐春がWeb謎解きゲームと銘打って出している
公演の「小謎」として出題される
公演の「大謎」
解神で最も謎が解ける人を決める問題として出題される
など、基本的に出題者が謎として出題しているものは謎として良いと思います。
「謎解きを楽しむ人が謎解きだと思って楽しむものが謎解き」
作り手と謎解きを楽しむ解き手は同じ文化圏にいると考えると、
「作り手が謎解きだと言えば謎解きだよ論」をちょっとだけ拡張した
「作り手が謎解きだと言い張って、解き手もそう思えば謎解きだよ論」といったところに落ち着きました。
流行り始めると往々にして、「どの枠に入れるとビジネス上で得をするか」とかの話になってきますが、
そういった話が加わり始めると若干歪み始めるのでここでは考えないことにしたいです。「これもマダミスと呼ぼう」とか。
売りたい人の都合ではなく、あくまで楽しみたい人の都合で区分けしたいところです。
和同開珎は謎なのか
和同開珎は謎なのかという話が以前何度か話題になりました。
最近、その揺り戻しか、「和同開珎」も謎だよねって主張の方をよく見る気がします。
和同開珎は確かに「言葉のパズル」のカテゴリに入るものだけど、
謎解きに使われる小謎に、同程度もしくはそれ以上に「言葉のパズル」なものも多いよね、
和同開珎は苦手意識を感じやすいという結局好き嫌いの問題なのでは。
といった感じ。
確かに、他の小謎と「どちらがパズル要素が強いか」「知識を試すものか」といった定義で和同開珎を弾くのは難しそうです。
それならば
和同開珎に準ずる言葉のパズルは全部謎じゃないのか
和同開珎も含め謎なのか
といった方向に話が進みそうですが、
「謎解きの場で出されて楽しめるか楽しめないか」を持って謎だと決めることにすると、人によっては、
和同開珎はあまり謎解きに現れてほしくない → 謎解きではない
という主張もありえます。
もちろん一人の意見では決まりませんが、
これが謎解きとして出てきたらイヤだなと思う主観の集まりこそが、謎解きというカテゴリの境界を曖昧に形成していくのではないでしょうか。
まとめ
クイズ、パズル、謎解きは共通の祖先を持つが、現在では別個に発展した文化で、「どちらかに分類できる」という類のものではない。
謎解きを楽しむ人が謎解きだと思って楽しむものが謎解き
大体は「謎解き」と銘打って出題されるものが謎解きと考えていいけど、not for meは主張していこう。
謎解きが好きな人の多くが受け入れなかったら、それは謎解きではないなにかになる。
他カテゴリについてもだいたい同じ。
松丸くんが立場上、クイズと呼ばれた時に訂正するのは役目を果たしているし、謎解きだと思って出しているのなら謎解きと言おう。
後記
このテーマにはまだ触れない予定だったのですが、ナゴマさんから振られたので急遽書きました。
わんど100として想定していたボリュームの数倍あって、
このペースでは続かないなと思うのですが、
予告だけして一つも書かれないという企画倒れは防がれたということで、ネタを振ってもらえたことに感謝です。
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