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自分を縛る思い込みから自由になる

幼稚園のとき、お遊戯会で劇をすることになった。
探検隊がゴクラクチョウを探しにジャングルを探検する劇だ。
ゴクラクチョウ役の衣装は薄いピンクの生地でまるでお姫様のような服だった。ファストファッションがない頃、子どもの服はしっかりしていて長く使える丈夫なものばかり。ドレスのようなひらひらした服に憧れはあっても実際に着る機会がない私は、当然のごとくゴクラクチョウ役をやりたいと考えた。

でも先生に「アキコちゃんは声が大きいから探検隊の役ね」と言われ、探検隊の役をすることになった。
劇の細かい内容は全然覚えていない。大きい声だからという理由だったし、セリフはいっぱいあったんだろうけど、どんなセリフがあったか一つも覚えていない。

ただ、自分に求められている役割は「きれいなひらひらの衣装を着て踊る」ことではなく、「男の子みたいな服装をして大きな声でセリフを言う」ことなんだと感じてしまった。

今、きれいな色柄のひらひらした服を着ようとしても「ガラじゃない」と感じて落ち着かない。でもその「どうせ私はこんな服が似合うタイプじゃないし…」みたいな気持ちがこの時の経験から来ているとしたらどうだろう。

先生は全部は説明しないだけでいろいろと考慮しなくちゃいけないことや思うところを考え合わせて配役を決めたんだと思う。
それを5歳児の理解で「私はああいう服を着るガラじゃない」と勝手に決めつけてその後の人生を過ごしていたとしたら、なんてもったいないことをしていたのか。

一本一本、自分を戒めているひものようなものを切って自由に近づく。誰かに縛られたと考えていたけど、そのひもは自分自身が思い込みで作ったものなのだ。


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