最近、VRChatで授乳を始めた。肉体に囚われた人類を、時と社会と物理の檻から解放するためだ。全ての苦しみは肉体に起因するし、授乳には人類を救済するための大切な要素が詰まっている。

 授乳は基本的人権だ。人間には生まれながらにして生存権がある。生存権は生きる権利だが、人間が生まれ堕ちて地上に放り出されると、他者の力無くしては生きていけない。人間に肉体があると、生きるために肉体維持が必要だからだ。人類に肉体がある以上、完全な権利の実現は難しい。

 形あるものはいずれ壊れる。肉体も1世紀も保たずに滅びる。肉体に宿った意識も同時に消滅する。しかも肉体は一度経験した時間は巻き戻すことができない。時間を越えて完全な生存を保障するには無になることが必要だ。無になれば、苦しみを感じなくなる。我々は、肉体にとらわれずに無に帰ることを欲している。

 我々の多くは授乳されている経験を思い出せない。人間の認識能力が完成するのは3歳ぐらいと言われており、乳離れが1歳~1歳半だからだ。今の我々にとって、授乳時は無であった。我々が授乳されているとき、我々は反射と僅かな記憶しか持たない極度に無に近い存在でありながら、ただ保護者の愛を一方的に向けられていた。存在しているだけで無条件に愛されていた。

 全ての苦しみは肉体に起因する。一度生まれでた肉体は、ただひたすら滅びへと向かっていく。苦しみを経験して一方的に劣化していく。今のところ、我々は死の苦しみを経る以外で無に帰ることはできない。しかし、授乳なら、まだ苦しみを経験していなかった時代まで一時的に帰ることができる。人類救済のため、極限まで無に近づくためには授乳による救いが必要だ。授乳は、今現在の技術力で無に近付ける最も実現性のある手段だからだ。

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