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3年次編入 お茶の水女子大学理学部数学科 合格体験記

はじめに

このたびお茶の水女子大学理学部数学科の3年次編入学試験に合格しましたので合格体験記を残しておこうと思います.編入に関して出回っている情報が少なく大学受験よりも情報収集に苦労したので,少しでも参考になれば幸いです.


自己紹介・所属

香車と申します.(将棋はできません)
現在は地方国立数学科の2年生です.
野球と美味しいものが大好きです.

受験したきっかけ

自己紹介に書いたように現在も数学科に所属しているため編入の必要性はないように見えますが,いろいろなことが重なって受験することになりました.「いろいろなこと」に関してはまた別で書いています.今回は実務上のことだけ書きます.

提出書類

まず出願の際に提出する書類の中で手間がかかるものとして,英語試験のスコア・志望理由書があります.
英語試験についてはTOEIC L&RかTOEFL ibtのスコアを提出する必要があります.私は出願を決めたのが4月だったので,出願に間に合うTOEICの日程が終わっていて仕方なくTOEFLを受けました.出願までに公式スコアの原本が手元にあるようにするには,かなり早いうちに英語試験を終わらせる必要があるので注意してください.
志望理由書は指定の用紙に手書きですが,枠が狭めなので830文字でかなり枠ギリギリでした.
年度によって変更点があるかもしれないので最新の募集要項を参照してください.

試験

筆記試験は大学1年生レベルの線形代数と微分積分が大問1つずつ出題され,試験時間は2時間でした.過去問を見る限り2021年度からこの形式は変わっていないと思います.(2021年度以降の過去問が手に入ったのですが,22年度までと23年度からで難易度がちょっと変わったように感じたのは気のせいかな…)

全く手がつけられない難しい問題・計算量が多すぎる問題はあまり出ない印象です.だからと言って計算だけすれば終わりみたいな問題も少ないです.試験時間にも余裕があるので,丁寧に答案を書くことが求められている気がします.

筆記試験の後に昼休みを挟んで口頭試問もあります.口頭試問に備えて昼休みに解き直しをする人が大半でした.

大問1 微分積分

2025年度は
(1)数列の収束判定
(2)2変数関数の微分法
が出ました.

(1)は関しては易しめで「上に有界な単調増加数列は収束する」ことがわかっていればできると思います.
(2)は与えられた関数が同次関数であることを示すのと,同次関数が2通りで表示されていてそれらが等しいことを示す問題でした.(同次関数の定義は知りませんでしたが問題文に書かれていました)
過去4年間で1度も多変数関数が出題されていなかったので多変数関数は範囲外だと思い一切復習しておらず,問題を開いた瞬間めちゃくちゃ焦りましたが,よく見れば1回微分すれば示せることだったのでよかったです.重積分とか出てたら本当に危なかった…
多変数関数ノータッチはやめておいた方が賢明かもしれません.

大問2 線形代数

2025年度は,$${\mathbb{R}^3}$$において3つのベクトルと$${f \circ f =f}$$をみたす線型写像が与えられ
(1)与えられた3つのベクトルが$${\mathbb{R}^3}$$の基底であることを示す
(2)$${x \in \mathrm{Im} f}$$ならば$${f(x)=x}$$であることを示す
(3)$${f}$$の像と核のそれぞれの基底が与えられたときの$${\mathbb{R}^3}$$の標準基底に関する表現行列を求める
問題が出ました.

(1)(2)は定義に従って示すだけでした.
(3)は最初に与えられた$${\mathbb{R}^3}$$の基底に関する$${f}$$の表現行列を求めて,標準基底へ基底変換すれば求まりました.が,(2)の誘導を忘れて自分でおいた任意定数が最後たくさん残って違和感があり,口頭試問で指摘され思わず「あーーっ!!」と言ってしまいました.
この年度に限らず誘導がしっかりついていることが多いので,うまく解けない時は前の設問とにらめっこすると良いと思います.

口頭試問

まず最初に志望理由を聞かれ,その後に筆記試験の訂正箇所があるか聞かれました.あとは提出した答案の不備に突っ込まれたり,現在の大学での単位修得状況を聞かれたりしました.
志望理由を話す時が1番緊張していたので,ずっと下を向いて話してしまい良くなかったです.その代わり(いいえ),筆記試験の訂正では黒板に文字を大きめに書きました.
23年度に合格された方の体験記では口頭試問は30分程度かかったと書かれていましたが,今年は受験者が多かったせいか(確か8人)1人当たり大体15分で終わっていました.受験者数によって口頭試問の時間は変わってくると思います.


対策

英語試験

出願を決めたのが遅く,TOEFLまで本当に時間なかったのでスコアは燦々たるものでした…TOEFLは会場受験でもパソコンで試験を行うので,スラッシュ等を
入れて英文を読む癖のある私にはきつかったです.あとリスニングのスクリプトがありえないくらい長くて眠くなりました.
(英文をパソコンで読む対策としてハリーポッターの原作をkindleで読みましたが,もともとファンすぎて日本語の原作を覚えていたので意味がなかったです)

説明会

4月下旬に3年次編入の説明会があったので行きました.数学科の部屋だけで10人以上いたので,この人たちが全員出願したら倍率が5倍を超えると思い戦々恐々としていました.実際今年の受験者数は多かったです.
試験についてや入学後の生活,単位の読み替え等について説明がありました.また個別の質問にもかなり答えていただきました.この頃はまだ出願するか迷っていましたが,不安な点について丁寧に答えていただいたことも出願の決め手になりました.(例えば,数学科→数学科の編入は認められるのか等)

あとは英語試験の点数がどのくらい合否に影響するのかについて質問があった際,担当の先生が「確かあまり点数は関係なかったんじゃなかったっけ」とおっしゃっていてびっくりしました.結局真偽は不明のままですが,あのTOEFLの点数で受かっているということであれば,少なくとも英語試験の配点は低いはずです.

実際のお茶大の雰囲気なども味わえたの行ってよかったです.

微分積分

1年生時の大学の授業資料と大学教養の微分積分青チャートを使いました.
大学の授業資料を主に復習しましたが細かい計算過程などが省かれていたので,計算がわからないときなどに青チャートは役に立ちました.
広義積分の収束判定がかなり出ていたので適切に不等式を立てられるように重点的に勉強しましたが,前述したようになんと本番では出題されませんでした…

1年生の微分積分はいろいろな参考書が売られているので,大学で微分積分学の授業がない場合は自分に合うものを使うと良いと思います.ただし,出題傾向から察するに工学系の院試対策用の参考書は適さない気がします.また編入試験過去問題集なるものが売られていますが,高専→国立工学部の試験問題が多く収録されていてお茶大数学科の傾向にはそこまで当てはまっていない気がします.

線形代数

こちらも1年生時の大学の授業資料を主に使いました.
計算問題はあまり出ないとはいえ,誘導に乗っていく形式だと1度のミスが命取りになったりするので,行基本変形や行列式の計算,グラムシュミットの正規直交化法,固有値・固有ベクトルを求める操作などは正確にできるように練習しました.
また1年生の講義扱った重要な定理などは自分でも証明できるように復習しました.

口頭試問

あまり対策はしていなかったのですが思っていたより昼休みが長かったので,提出した志望理由書を読み返しました.緊張でうまく話せませんでしたが…

また前述した23年度に合格された方の体験記では,口頭試問で興味のある数学の分野なども聞かれていたので,1年生の頃に参加した自主ゼミの内容を復習したりしました.実際は口頭試問の時間が15分しかなかったので,興味のある分野については全く聞かれませんでした.受験者数によって口頭試問は少し変わってくると思います.

当日

念のためを思ってスーツを着て行きました.試験会場は数学科以外の学科も含めてスーツの人が大半でした.ジャケットを着ている人は半分くらいだった気がします.試験日は暑かったのでジャケットは持っていきましたが,着ることはなかったです.本当は面接の時着るのがマナーかもしれませんが.

おわりに

最初にも書いたようにお茶大数学科の編入に関して出回っている情報が少なく,1番参考になったのが23年度に合格された方のnoteだったので,その最新版としてお役に立てれば嬉しいです.

お茶大に編入するには62単位取得している必要があるため,やらかして今の所属大学で残りの単位が取れないと合格と取り消しになってしまうので頑張ります.

駄文ですが最後まで読んでくださりありがとうございました.
何か質問等があれば旧ツイッター(@lotus_08_22)までお願いします.



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