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シン・仮面ライダー 庵野秀明監督 特別解説付き上映 参加メモ

メモでは伝わらないですが、庵野監督が本当に楽しそうに解説してくれる素晴らしい上映会でした。

登壇者

庵野秀明監督
市川実日子さん
小出大樹プロデューサー(東映)

日時

2023年4月29日(土)12:30-

ラフなメモで読みづらいですがとりあえず出します。不完全で誤りや曖昧な部分があるのでご了承ください。

挨拶

庵野監督:解説の庵野です。
(庵野組の法被を着てライダーベルトをつけた)市川さん:人生初の聞き手役です。(ライダーベルトを光らせて会場拍手)
庵野監督:買ってくれたらバンダイが喜びます。

Q&A

以降、事前に集めた質問を市川さんが読み上げて庵野監督が答える形式

市川さん:「ところがぎっちょん」ってなに?

庵野監督:昭和の時代のギャグ。ルリ子はほとんどお父さんや兄としか会話してないので出てきた言葉。

市川さん:アップのポスターはどのライダー?

庵野監督:ショッカーライダー。石ノ森先生の画のイメージ。CGでつくっている。現場に大量発生型しかマスクがなく、CG会社に写真を送ったらこれが上がってきた。あーと思ったが、データはもう直す時間がなかったし、逆光にすれば黒くてわからないからいいかと思った。池松さんの目のCG素材が別にあってそれを入れている。

市川さん:仮面ライダーをやると決まった時に初代を見た?

庵野監督:前から見ている。本放送は見ていて、再放送のたびに見てる。島根で見られるときに親戚のうちに行った。
市川さん:ビデオはなかった?
庵野監督:なかったその時はハエ男の回だった。
市川さん:大人になってからは?
庵野監督:はじめのVHSの時は高くて買えなかった。LDになった時に買った。8話までしか出してくれなかったのでそれだけ見てた。
市川さん:何歳くらいの時?
庵野監督:王立宇宙軍の時だから二十何歳か。
市川さん:どういう時に見る?
庵野監督:見たい時にみる。しんどいとき、つらいときに見ると元気が出る。アクションシーンだけみる。
市川さん:制作にあたってみたの?
庵野監督:普段見てるから見てない

市川さん:サソリオーグの登場シーンが短いのはなぜ?

庵野監督:長澤まさみさんのスケジュールが1日しかもらえなかった。その日に撮り切るしかなかったから複雑なストーリーは作れなかった。
いろいろ演技してもらって時間が来たら終わりで後で工夫する。

(なんか色々あって市川さんがライダーベルトを光らせて庵野監督に立ち向かう)

市川さん:仮面ライダーになった時に顔や手は変わるが首は変わらないのは何故か

庵野監督:首は変わらない。顔と手だけと思っていた。(そこまでやる余裕がない的な内容?)

市川さん:救われますか?(このあたり流れ追いきれず)
庵野監督:辛い時に見ると、立ち直れる。ウルトラマンとかもあるけど仮面ライダーもそのひとつ。
市川さん:(作品ごとに)元気になる場所は違いますか?
庵野監督:大体一緒です。

市川さん:スマホが出てこなかったり車が古いが舞台は昭和?

庵野監督:スマホは政府の男たちが使っている。スマホを使うとショッカーに傍受されるから主人公たちは使わない。
車が古いのは実相寺監督のものをスタッフが大事に乗っていて車が走れるうちに撮っておこうと思ったから。
昭和じゃない。
現代のだいたい今くらいの時代。

市川さん:シン・ゴジラやシン・ウルトラマンであった様なテロップがでないのはなぜ?

庵野監督:シン・仮面ライダーは内面を描く世界だから出さない。シン・ゴジラとシン・ウルトラマンは心の世界でなくて客観性があっていいものだからテロップをいれた。シン・仮面ライダーはそうじゃなくて合わないからいれていない。

市川さん:ショッカーは云々→質問が難しくて市川さん困って庵野さんが読み上げる(メモ取れず)

庵野さん:後者。もともとのショッカーという組織の構造をもとに山田胡瓜さんが字を当てはめてくれた。目的が先。

小出さん:途中から入ったから云々(メモ取れず)

プロデューサーについての話

庵野監督:はじめに会ったときはだいじょうぶかなーと思った。立派なプロデューサーになった。
小出さん:はじめは名前じゃなく、東映さんと呼ばれてた。
庵野監督:よく育てた。大変な現場だったからね。立派なプロデューサーになった。

市川さんについて

市川さん:はじめはスチールだけのはずだった。
庵野さん:この人が殺されちゃったらイチローもああなるよなという人ということで市川さんを選んだ。素がいいから。
市川さん:役柄のイメージをもらったらこれは私と思った。
庵野さん:市川さんを想定していて書いたから。いい話でしょ?

市川さん:初代やシン仮面ライダーの造形的な魅了とは?

庵野さん:異形なところ。目が異様に大きい。しかしライダーのデザインを頼むとかっこよくしようと大体目が小さくなってしまう。
仮面ライダーFirstはデザインは素晴らしい。デザインとアクションは素晴らしい。
出渕さんのデザインもいいけど、バランスがとれていて異形性は足りない。
今回は目はオリジナルをトレースしている。
出渕さんのデザインはいいので、今回まで取っておいて欲しかった。

市川さん:ライダーたちはなぜトレンチコートを?

庵野さん:防護服を着っぱなしだから。防護服から(普通の服に?)変化する理由があればよいが。コート無しだとアイアンマンのようになってしまう。
ライダーはコートで隠したい。コートの動きはCGでできないし、ライブで撮る時にいい。

未公開シーン集

市川さん:本編で使われなかった映像はどこで見られますか?

(映像が出ないトラブルがあり時間稼ぎ)
市川さん:庵野さんが一番好きな食べ物は?
庵野さん:妻が作ってくれたパスタと餃子

(以降オミットされたシーンを見ながら解説)

クモオーグと1号の先頭シーン

「しまりましたー」以降が庵野監督の声で撮られた3DCGプリヴィズで会場笑

庵野監督:2021年12月までにとられた素材でつくられた映像。4月にCGを足した。仮なので足りないところはオリジナルの1話から取って作った。

庵野監督:試写をしたら関係者の評判が良くなかった。あの音楽(レッツゴーライダー)は何なんだとか、これではニチアサと変わらないという声が多かった。
追撮をそのあとして今のバージョンにした。

市川さん:関係者の人って?

庵野監督:主に東映の人たち
アヴァンとクモオーグのところでレッツゴーライダーキックをかけるのが夢だった。若い人にここまでうけないと言われると、ということでやめた。

小出さん:庵野監督ほど思い入れはないので・・
最後は庵野監督がショッカーの棒が光るところなどを手書きでエフェクトで描いていてすごかった

庵野監督:一応元アニメーターなので。
大量発生型の銃の効果も手書きで描いた。
シンエヴァでも結構原画を描いている。

ハチオーグの1回目のシーン

ルリ子:「とおるは元気?」
ヒロミ:「死んだわ。人間と植物の合成は無理みたいね。〜」

庵野監督:サラセニアンオーグを出したかったんだけど、長いって言われた。
2時間18分XX秒だったのを2hにした。(庵野監督は秒まで覚えていた)
はじめは2h40minあった。
こりゃあかんと切って切って切りまくった。

一文字隼人がバイクで行く本郷を眺めるシーン

一文字隼人:「同胞たるショッカーを倒して(全員倒したらどうなる的な内容)」
「そうなれば人間たちの感謝は恐怖に変わる。」
「プラーナの情報欲しさに解体され、The Endだ」
「ま、俺も同じだけどな。」
「お嬢さんの命の代償か。」

庵野監督:さっきと同じ理由で長いと言われ短く切り刻んだ。説明台詞が多いと流れが止まるので仕方ないか。
つい説明入れちゃうんで。
今のバイクや仮面を見せてでも流れは通っているかなと。
佑くんの最初のシーンだった。ファーストカット。
この時はじめて佑くんの芝居をみたが、うまいと思った。

庵野監督:小出ちゃんはたくさん切った。
小出ちゃん、轟木、尾上准監督が切る役だった。誰が一番切ったかな。
たくさん切られてちょっとだけ戻した。
それぞれが切ってミニマムにしたりした。

ライダーって合議制なんですよ。
NHKのドキュメンタリーとは違う。

市川さんのシーン

庵野監督:きれいだね

ルリ子、イチローが多摩川をにこやかに歩くシーン

庵野監督:ラジオで話題に出たみたい。
小出ちゃんのアイデアで撮ってみた。ここだけ小出ちゃんが監督している。
僕だったら二人とも緊張しちゃうんで小出ちゃんだったら二人がリラックスできると思った。

小出さん:はじめ冗談かなと思った。
そしたら庵野監督が撮影当日に、ここは小出ちゃんが監督だからと二人(浜辺美波さんと森山未來さん)に言った。

小出さん:(試写で見せたら)アバンギャルドで前衛的でここはなんなんだろう?と言われてオミットされた。なぜ仲が良いかわからないと言われた。

市川さん:泥試合の前に流れていて欲しかった。イチローがこういう人だとわかると最後の意味合いも深くなる。

庵野監督:また色々説明しないといけなくなってしまう。脚本にはこのオミットされたシーンの説明のためのセリフも入れていた。
ただ長いということで森山くんが脚本を見る間もなくカットされた。

庵野監督:一番いいシーンにスタッフが映り込んでいる。それもあって切った。
二人もカメラもまわりも動いてCGで消すのが難しかった。

小出さん:庵野監督はいろんなスタッフの意見を聞いていますよね。

雨の中での大量発生型相変異バッタオーグ戦

庵野監督:雨の中で撮りたかった。
尾上さんがすごい雨になるからこれは撮ろうと言われた。撮影は本当に大変だった。
雨の中で待ち構えているのは石ノ森先生の漫画の方にあった。
しかしこの後こんな雨は降らなかった。

庵野監督:サイクロン号が雨の中で10cmも走れない。だから映像でも止まったところから始まってる。
フロントアップで突っ込んでいってマフラーからロケット噴射をしてジャンプをして、大量発生型を倒す演出をしたかった。
VFXからも雨のシーンでそれは無理ですやめてくれと言われた。
一方実写でも雨のサイクロン号は撮れなくて諦めた。

小出さん:安全面でも実写で雨でたくさんのバイクを走らせるのは危なかった。昔のが気にしてないとは言わないけど今のCSR的にも難しかった。

庵野監督:大量発生型は本当は宇部の方で撮る予定だった。
CG班から2ヶ月遅れてると言われた。9月の時点で5月公開だったら間に合うけど3月公開だと間に合わないと言われた。2ヶ月足りなかった。それでその期間でできる表現になった。
ほんとは昼間にダブルライダーをやりたかった。
それはカルビースナックのカードには出てる。
撮れなくて本当にすいませんでした。(お辞儀)

0号、1号2号のバトル

庵野監督:森山さんの動きが素晴らしかったが、いろいろあって削らざるを得なかった。編集の辻田と自分ははいいと思ったけどみんなで決めて削った。
ダブルライダーキックを軽々弾き返すのがないとイチローのラスボス感がでないという理由もあった。

9分割の編集画面

庵野監督:9分割の画面からぱぱぱと選ぶ
市川さん:どうやって選ぶんですか。どこでそんな才能見についたのですか。
庵野監督:感覚的に選んでいる。
アニメでは細かく位置を動かす。アニメでやっていることを実写でやっている。

最後の挨拶

庵野監督:こういうことをするのは式日以来かもしれない。
コアユーザーをとことん大事にしてサービスしようと思った。
すごく好きな人がいる作品になってシン・ゴジラとシン・マンにはない雰囲気。

今日流せなかったものも30分以上ある。5月にまた開催できたら。

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