行徳百景(5)市川野鳥の楽園の外側

行徳駅を出て右に真っ直ぐ、ひたすらに歩き続けると、京葉線が見えてくる。

上京したての頃。
関西の友達に「どこらへんに住んでるん?」と聞かれると、「ディズニーの近くかな」と答えていた。少しでも聞こえがいいように見栄を張っていたのだ。

そう言うと必ず「めっちゃええやん!ディズニー帰り泊まらせて!」と言われた。
関西の友達たちはガメついので、口約束ではなく本当に泊まりにきた。
しかも、一緒にディズニーに行こうという意味ではなく、ディズニーに行った帰りの宿にするという遠慮のない友達たち。
疲れ切った友人がすぐに爆睡するのはなんだか可愛かったし、久々に会えるだけで嬉しかった。

前置きが長くなってしまったが、ディズニーの近くと言えど、東西線で向かうと無駄にぐるっと回ることになる。
直線距離で言うと近いのに、一回西船橋まで出て、計30分くらいかかってしまうのだ。
それなら東京駅から向かったのと同じである。

悔しいのでいつも私は市川塩浜駅を利用する。
散歩がてら、30分ほど歩くと市川塩浜駅に着く。その時点で東京駅から向かった方が早いのだが、そこから電車で二駅で着くので、なんだかディズニーの近くに住んでる感を味わえるのだ。

その市川塩浜駅に向かう途中、緑に囲まれた御苑?のような施設がある。
初めて見た時は、もしかして広大な公園?最高!と思ったのだが、どこにも入り口が見つからない。
通る度に魚の匂いがするその場所のことが気になってきて、調べた。

なんと、こんなにも広かったのだ。
「市川野鳥の楽園」というらしく、国が作った鳥の保護施設らしい。
中に入るツアーなどもやってるみたいだが、基本立ち入り禁止。ツアーに参加するほど興味はないので、結局謎に包まれたままだ。

ディズニーに行く度に通る楽園の外側。
中身が見えないように緑に囲まれ、謎に包まれている広大な土地。
私は勝手に、「鳥たちのディズニーランド」と心の中で呼んでいる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?