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グランシュライデ裏設定・裏話(らけしで編)


6月末、グランシュライデ企画、始動

10月に開催されたグランシュライデの企画は、6月末からスタートしていました。

既にどこかで語られている気がしますが、グランシュライデの始まりは、
「サラトバのような企画をもう一度!」
「ユーニャさんと私で、合作世界を創ろう!」
「中世ファンタジー以外の創作も作りやすいような世界にしよう!」

という思いからでした。

すなわち、中世ファンタジーだけではなく、現代、SF、和風という3つのジャンルを全て含んだ創作世界を作ろうと。

4世界の初期案をまとめたやつ(私がまとめただけで最初期はユーニャさん案)

このざっくりとした初期案から、参加してみたいな、創作してみたいなと思ってもらえるような魅力的な4つの世界を作り上げることが目標です。

2つずつの世界観を私とユーニャさんとで分担しました。
(プラスして、ユーニャさんは4つの世界が転移する先のグランシュライデ世界も創ってました。)

私の担当は、「和風ファンタジー」「近未来」
お互いに作りたいジャンルを選んだら自然とそう分かれた感じでした。

という訳でこの記事では、最終的には「シラクレナ」と「フェンテス」という2つの世界として完成するこの2つの世界の、成り立ち裏設定についてをメインに書き記し、その後世界地図について触れようと思います。

ここで注意事項として、これはあくまで「裏設定」であって、グランシュライデ企画で多くの人が作ってくださった世界と違っていても、それを否定するものではありません。
むしろ、多くの人によって形成された世界観こそが(たとえそれらが矛盾していても)グランシュライデの世界です。


【和風ファンタジー→シラクレナ】

キーワードは、「和・陰陽師・ケモ・武士」。

和風ファンタジーにケモ要素を入れてほしい!!とユーニャさんにお願いされたのと、和風ファンタジーでは一番私が萌える要素であった「陰陽師」要素。さらには、武士要素も捨てがたいなと思って世界を考え始めました。

国の名前は、和のイメージ「白(しら)」「紅(くれない)」から「シラクレナ」と名付けました。単純な発想ですが、ネット検索にも引っかからない、完全なオリジナルです☆

陰陽師と、妖怪(ケモ)、武士、という時代の異なる和のイメージを一つの世界として共存させるためにはどういう設定にすれば良いだろうか。
一つの国に、3つの要素が混在し共存共栄しているような世界は、あまり明確なイメージが湧きませんでした。要素が喧嘩するというか、多すぎて混乱するというか。

色々と考えた結果、全く異なる3つの文化が、お互い干渉を良しとせず衝突し合いながら独自に発展する世界を思いつきました。
「これで全ての要素を包含できる!」

しかしそうすると、なぜ紛いなりにも「シラクレナ」という一つの国になっているか、という疑問が思い浮かびます。
その答えとしてシラクレナという国の成り立ちを考えました。
それがシラクレナの説明に書いてあった「各地をまとめ上げていた明主の死により国が崩壊」という部分に繋がる、以下の裏設定です。

- 元々シラクレナには3つの文化があり、全く他の文化を寄せ付けず排他的であった。 初代君主は、それらの異なる文化を尊重しながらも、人々の暮らしをよくするために食べ物等の交易の開始文化の部分的な統合を目指し、そしてそれを達成した人物であった。
- 彼の活躍によって文化の違いが守られながらも人々の生活は豊かになり、3つの領域は「タケクラ藩」「スワガ藩」「シオン藩」と名付けられ、君主のもとに1つの国としてまとまることを認めるようになった。
- だが文化・精神の溝は埋まることなく、小さな綻びは次第に大きくなり、衝突が頻発。いつ崩壊してもおかしくない綱渡り状態のところを君主がつなぎとめている状態が長く続いていた。
- そしてある時、君主が逝去し、タケクラ藩に有利な政策を行う人物が後継者となる。 スワガ藩・シオン藩はこれに反発し、後継者もろとも中央政府を破壊し、国は崩壊した。
- 新たに主導権を握ろうとする各藩の思惑は衝突し、シラクレナは乱世となる。

シラクレナの歴史

こういう歴史的な流れを考えていました。

あと、そもそも何故3つの文化が存在しているのか。
そこには、神狐信仰が関わってきます。

- 「白紅」という名前の神狐が、古代のシラクレナの土地の守り神であった。
- 神狐信仰はシラクレナ全土に自然発生し、「己を鍛えよ」という教えが言い伝えられていた。だがその教えは、長い年月の果てに、少しずつ歪曲されていった。
- 南のある地域では、己を鍛えるはすなわち、己自身の力と精神を鍛えることであるとし、剣術を極めた。
- 北のある地域では、己を鍛えるはすなわち、異界に存在する強力な力との調和であるとし、陰陽術を極めた。
- 西のある地域では、己を鍛えるはすなわち、それぞれ固有の力をもつ人間/獣/妖怪の融合であるとし、妖術を極めた。

3つの文化の成り立ち

こうして、3つの文化は同じ神狐を信仰しながらも、全く異なる理念で力を追い求めていったという訳です。

ちなみに藩名については、
スワガは陰陽術の呪文の最後に出て来る「ソワカ(薩婆訶)」から。
タケクラは剣豪と言えばの「宮本武蔵」の「武蔵」から。
シオンは超自然的な存在を意味するスペイン語の「aparición」から。

以上が、私が考えていたシラクレナの裏設定でした。

ちなみに、島国であるシラクレナの周囲には様々な国が存在しますが、シラクレナは完全に鎖国していました。
グランシュライデのあと、初めて他国と交流をもつことになったシラクレナの未来を妄想するのも、楽しいところではあります。

最後に、公開されることのなかった、シラクレナ世界観イラストの一枚を。

鬼子ちゃん(スワガ藩の陰陽術による召喚)



【近未来→フェンテス】

キーワードは「超文明・機械との共存・平和ボケ」。

なぜ「平和ボケ」というイメージにしたかというと、私の中で「未来技術って強すぎじゃね?」という思いがあったからです。
普通に超技術があると、4世界を戦わせたときに圧勝するようなイメージが強すぎたんですよね(笑)

といっても創作は自由なので、未来技術に勝つファンタジーがあっても全然良いのですが、そういった圧倒的な戦力差があるイメージを持たれてしまうのは避けたいと思いました。

そこで、基本的な設定を「技術発展しすぎて戦いを忘れてしまった文明」にしようと思ったという訳です。
武器がほとんど無い、軍隊も無い、そういう超文明にすることで、周辺国との物語が創りやすいかなと思いました。

国の名前は、「眠れる」を意味する「Schlafenden(シュラーフェンデン)」と「超大国」を意味する「Superstaates(ズーパーシュターテス)」からとって、「フェンテス」としました。みんな大好きドイツ語です。

フェンテスの裏設定としても、どうやって理想的な発展を遂げたのかの歴史的な流れがあります。

- AI開発競争の末、フェンテスに拠点を置く巨大企業Ninet社がシンギュラリティを達成。だが長らくその事実は秘匿され、世間に公開されることはなかった。そのAIはSuperAIと呼ばれ、人智を超えて加速度的に自己成長を続けた。
- Ninet社は秘密裏にSuperAIを活用することで、目ぼしい事業・研究を全て先行するようになり、莫大な利益を生み出すようになっていた。
- Ninet社は利益をエネルギーの研究につぎ込み、ついに核融合を超える効率でエネルギーを生み出す「ダークマターエンジン」を発明。そして、その発電方法の特許権を放棄した。これにより世界は大きく変わる。
- 先進国から途上国に至るまで、無限にも等しいエネルギー消費が許され、同時並行的に発展したアンドロイド技術により寿命をも克服した人類。いつしか「争い」は消えていた。
- 軍事産業は治安活動レベルの最低限にまで縮小、人類は確かに平和を成し遂げていた。

フェンテスとNine社の歴史

ちなみに、フェンテスは都市の名前です。
国の名前や世界の名前はグランシュライデにあまり関係してこないので設定がありませんが、地球のように他に多くの国が存在します。
フェンテスト類似、あるいはちょっと違う要素をもった国を妄想するのも、楽しいなぁと思ったりします。

また、もしかすると気付いた方がいらっしゃるかもしれませんが、公式で説明文にあった「HAドライヴ」ではなく当初は「ダークマターエンジン」でした。「HAドライヴ」になったのは、4つの世界を合わせたグランシュライデ世界のバランスや地理的事情、世界の行先を考えてユーニャさんとブラッシュアップした結果、変わった所です。単純に言えば、無からエネルギーを生み出すより、水から生み出すとしたほうがセントレイクとの同盟につながるからですね。

ちなみに、Ninetという名前はAIの「A」と「I」がアルファベット順で「1」「9」番目の文字であることから「Nineteen」→「Ninet」から来ています。文字遊びです(笑)

フェンテスは「完成された世界」です。
以下のようなイメージもありました。

- 食糧や木材、金属といった原料は、膨大なエネルギーと引き換えにほぼ全てが工場生産されている
- 脳を含めた生体機械化技術により、人間とロボットの境界はあいまい
- 人として生まれたか、機械として生まれたかが一応の区別にはなっているが、高度な機械にも意志があり、人権の在り方が議論されている。
- 最も重要視される研究テーマは娯楽。人々の欲求のほとんどは仮想現実によって満たされる。
- 犯罪は極めて少ない

フェンテスの背景情報

まあ真の意味で完成された世界なのか、という点では疑問が残ります。上述のような人権問題もありますし、仮想現実では物足りなくなった人間が"本当の刺激"を求めて問題を起こすこともあります。が、ひとまず非常に多くの人々が平和に暮らす世界です。
多分フェンテスに生まれた主人公がいたとして、グランシュライデという世界ごと転移するようなとんでも設定じゃなければ、何も大きなイベントが起こることなく人生を過ごす、全然おもしろくない物語になっていたかもしれません…

最後に、公開されることのなかった、フェンテス世界観イラストの一枚。

警備隊長である強化人間

ユーニャさん制作の2世界(ヒノイ・セントレイク)と融合、そしてグランシュライデのストーリーとの整合。

こうしてできた4つの世界を突き合わせ、それぞれの世界のブラッシュアップし、グランシュライデのストーリーと上手くつなげるために、連日深夜までユーニャさんと語り合いました。

ユーニャさんと私はとにかく戦わせたかったので、それぞれの世界に住む人々が戦うための動機づけの部分を一番考えました。(邪神ジャナイヨ)
「声」の設定が出てきたのも、そのあたりの経緯だった気がします。

他のメンバーにも意見をもらいながら、4カ国の特色をしっかり出し、それぞれをわかりやすく参加者に伝えられるようにし、そして何より、様々な作品を自由に作ってもらうために設定が「枷」にならないよう、色んなことを話し合いました。

4国がサラトバのように四つ巴ではなく、フェンテスとセントレイクの同盟からスタートするという設定も、善悪の2神の存在というグランシュライデのストーリーに合わせた所でもあり、サラトバとは違う新鮮さを考慮した所でもありました。

グランシュライデ世界地図(設定固まってきた頃)

そうやって世界観を確定させて、演出勢(動画:くようさん、音楽:Tatshさん)の制作がスタートしました。
ここまでが、7月中旬ごろまでの話です。

世界地図制作

8月に入り、世界地図の細部を作ったりエンブレムを作ったり、キービジュアルを追加したりして、残りの制作をしていました。
ちなみにエンブレムはnijijourney製のを加筆修正したものです。
そして、世界地図は私の活動でおなじみのInkarnate製です。

完成した世界地図


色々な設定があってこの配置になりましたが、裏設定として以下がありました。

- フェンテスは海に面した沿岸部の都市(水をエネルギーとするので当然)だったが、転移されたのは内陸部のみであった。これによりフェンテスはエネルギー源や装置を喪失
- シラクレナとヒノイには、同じ形をした2つの山が存在している。和のシラクレナと、異なる歴史を歩んだ日本。要するに、瓜二つの富士山が二つの国にあるという設定。
- ヒノイは日本地図の東京〜静岡あたりを上下逆にした形。(現代日本のイメージだったので、遊び心です。転移面積ってそんなにでかいの!?って思ったアナタ。……創作は自由ですよ?)
-ヒノイ→シラクレナ→セントレイクの海・川のラインは高低差はほとんど無い。 (海軍を持つであろうセントレイクとヒノイが戦うルートであり、海戦イラストを期待して作りました)
-中央のクレーターor火山口には特に裏設定が無い。(色々と自由に創作してもらえればと期待して作りました)

世界地図に入れた要素

私の制作物についての裏話と裏設定は以上です。

告知からイベント開催中の話は別途振り返りの中で話しましたので、あとはちょっと演出やシステムについて語ります。


演出とシステムについて感想だったり裏話

音楽

音楽担当であったTatshさんの手で作られた、各国BGM。
初めて聴いたとき、本当に感動しました。
自分が作った世界観に沿って、プロの音楽家にBGMを作ってもらえるなんて、とんでもない経験をさせてもらったなと思ってます。

これは私が感じたイメージですが、
・シラクレナは、和と荒々しさ、そして神秘的
・フェンテスは、順風満帆で平穏・静寂・未来
・ヒノイは、若く怖いもの知らずで、ドラマティック
・セントレイクは、歴史の重み達成感
それぞれイメージにピッタリでした。

音色でこれだけ人に何かを感じさせるものを作ることができるというのは、さすがプロだと心底驚嘆しました。
特にフェンテスとセントレイクがお気に入りで、何度も何度も聴いて、感極まって泣いてました。(元々ゲームBGM大好き人間で、BGMに感情移入してよく泣くんです……主題歌より泣きます。)
主題歌も狛茉璃奈さんの歌唱力と合わさり、素晴らしいものに仕上がっていました…というか主題歌ってなんだ??我々はゲームでも作っていたのでしょうか???
AIイラスト投稿企画とは思えない演出の充実っぷりでしたが、これらがあったからこそグランシュライデの世界の魅力が伝わり、多くの人に参加いただけたのだと思ってます。
多分もうグランシュライデのHPでは聴けなくなってるので、もう一度フルで聴きたい方はぜひTatshさんのbooth↓にてご購入ください(ダイマ)

動画

鬼才くよう氏による演出が光りました。
5月頃にRIZさんの同人誌「NEXT YOU」の紹介PVを作っていたのが初AEだと言っていたはずなのにこの技術力…あの猫はやばいにゃ

本当に素敵なPVを作ってもらいました。何度も。何個も。
当然ながら動画には音楽が必要でしたから、Tatshさんと綿密に調整されながら制作されていました。計5つの曲と歌を、どこで切り取り繋げるか等々。
…ご苦労様でしたにゃ。

どの演出もイラストに動きがあって臨場感が伝わってくる素晴らしいものでしたが、特に好きな演出はシラクレナの半妖が嗤うところ。底知れない力を持つ半妖が容赦なく襲い掛かって来そうな、そんなイメージが伝わってきました。


システム

RIZさん、シトラスさん、あいばのうさぎさん、そして総監督ユーニャさんが中心となり、どのようなシステムを取り入れるべきかを、滅茶苦茶考えてくれていました。

私は世界観制作で精いっぱいで、一段落ついた頃にはだいたいのシステムが完成していたので、どういう議論がされたのかは正直把握できていないです。

なのでイメージで話すと、RIZさんとシトラスさんが本気でドッジボールをしているところを、うさぎさんが「ちょっとこっちの柔らかいボールにしません?」と言って参加し、「たまに硬いボールもいかが?」とユーニャさんがボールを投げ、三者がボコボコになったところでユーニャさんが勝敗を判断する、そんな感じでした。あくまでイメージです。想像を含みます

激論を交わす三人のイメージ

ただ、投稿して企画に参加することが楽しいと思ってもらえるよう、ランキングの公平性、いかに埋もれた作品を露出させるかを重視したり、勢力に人数差がついたときの対策を考えたり、直感的に理解しにくい複雑なイベントを避けたりと、何度も何度もシステムを考えてはデメリットを考慮して作り直していました。

最終的にグランシュライデのシステムとして得点方式だったりTipsだったり各国ページの見せ方が決まるまでは、数多くのボツシステムがありました。
システム検討チームのおかげで、皆が快適に楽しく物語を創ることに集中し、多くの素晴らしい作品が生まれたと思っています。

最後に

多くの方に楽しかったと言ってもらえてとても嬉しかったですし、私も作っていて楽しかったです。頑張った甲斐がありました。
Septem制作メンバーも最高でした!!
やってよかった!!

長々とお付き合いありがとうございました。


ユーニャさんの裏設定・裏話はこちら!!


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