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和訳: A Conversation with BTS (2018年グラミーミュージアムインタビュー)

2018年9月にBTSが初めてグラミーミュージアムに訪れた際のインタビュー。新規ARMYへおすすめと見かけて見てみたところ、緊張感があって質問もよかったので、全部ではないですが和訳してみました!
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動画はこちら→GRAMMY MUSEUM FB

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インタビュアーはグラミーミュージアムアートディレクターのScott Goldman氏。

Q: あなたたち以前に出てきている韓国のアイドルグループ、K-POPバンドには伝統があります。あなたたちが結成された時、その意図は全く違っていました。グループの結成、その意図、表現方法についてパン氏と交わされた会話を、少し聞かせてください。

SUGA : 目標や意図というよりも、パンプロデューサーが特に音楽制作の際にいつも強調していたことがあります。自分たちが経験してきたこと、考えていること、感じていることを音楽で表現してほしいと言っていました。7、8年前に初めて集まり音楽を作った時、私たちは10代、20代でした。その時に乗り越えた問題が、BTSを作り上げた大きなポイントであると思います。
RM: 私たちは世の中を助ける方法のような存在でありたい。そしてパンプロデューサーは、あなたが言ったように意図を持って、自分の音楽とアーティストをこんな風に作りたかった。私たちも自分の能力やスキル、インスピレーションを通して、世の中を助けたかったんです。パンプロデューサーと私たちはお互いを補完しあい、そうしてBTSになったのだと思います。

Q: あなたたちが関心を持っていると公にしてきたことのひとつに、10代の若者が直面するプレッシャーがあります。とりわけ韓国においてですが、他の国にも置き換えられるかもしれません。韓国の若者が直面している問題について、話したり、歌ったり、書いたりすることが、なぜ重要なのでしょうか。

SUGA:学生時代、私は音楽を通して安らぎと逃避を得ました。時が経ち、振り返ってみると、10代、20代の若者が聴いていて健全であったり、大きな影響を受けたりする価値ある音楽が少ないことに気づき、残念なことだと思いました。韓国だけではありません。若い人たちが直面する痛みや悲しみ、悩みは世界中で感じられるものなので、身近な僕たちの歌詞を通して、癒しを感じてもらえたらいいですね。これを通じて、もっと「健全な」音楽が増えてほしいという大きな願いもありました。

Q: 皆さんのビデオを見ていてすぐに気になったのが、最初に出てくるBig Hit Entertainmentの表示です。そして、そこには「music and artists for healing」と書かれています。ワーナー・ブラザースのビデオやソニーのミュージック・ビデオでは見たことがないのですが、どういう意味を持つのか教えてください。あなたたちにとっての 「癒しのための音楽とアーティスト」とは?

RM: 私たちとパンプロデューサーがデビュー直前、つまり2013年に交わした約束のようなものでした。約束したのは2つのことです。自分たちの内面ついて話したい、話さなければいけないということと、世の中の助けになりたいということ。世界が必要としていることを言い、話し、見せたい。特に僕たちの友人である10代、20代の若者にです。人生はとても皮肉で不安定なものだと思います。10代、20代にはなおさらです。自分自身を疑い、時には生きたいと思い、時には死にたいと思う。毎日、いや、毎時間変化する。だから、「癒しのための音楽とアーティスト」というのは、私たちの数あるスローガンの中の大きな一つです。私たちは内面にあるものについて話したかったし、世界中の多くの友人を助けたかったのです。

Q: あなたたちは曲作りにとても熱心なので、曲作りについてもう少し話しましょう。7人いるので、どうしているんだろうと思うのですが...曲作りをする上で協働するには人数が多いですね。曲作りはどこから始まるのでしょう。歌詞、メロディ、映像のコンセプト?曲はどのように始まるのですか?

SUGA: まず、音楽を製作する時、アルバムだけを見ているわけではありません。スタイリングやダンスなど、いろいろなことが複雑に絡み合っています。まずは、音楽になるでしょう。365日ソングキャンプをしているようなものだと思ってください。皆がメロディーを送って、歌詞を考えたら送って、テーマを考えたら送って。そしてパンプロデューサーがそれを集め整理し、助言をし…そんな風にして音楽が始まるのですが、決まった流れで進むのではなく、すべて一緒に発展させていくところもまた特別です。

Q: いつも曲を作っているのですか?

J-hope: もちろんです。7人とも、歌詞やメロディなど音楽制作の特定の部分に一生懸命取り組んでいると思います。たくさん参加しようとすることで、より真摯に取り組むことになりますし、音楽に対する姿勢も変化します。

Q: あるアイデアを取り上げ、段階を踏む...それを継続しつつ、どのようにしてこのようにコンセプトを打ち出し、一定期間続けることができるのでしょうか。

RM: 先ほども言ったように、私たちはリアルな内面からトピックや物語を見つけたいんです。なので、5年前のデビュー当時は、学校について3枚のアルバムで語りました。そして、若者について3枚のアルバムで語りました。そうすると、みんな大人になるじゃないですか?ある種、成長するんです。学校にも行かなくなったし、人生に対する態度も少し変わってきた。今、自分たちが何を語れるか、世界が最も必要としているものは何か、それは愛だと考えました。でも、愛というのはとても抽象的で、とても幅広いものです。
そこで私たちは、大元がどこからかわかりませんが、誰かが言った「愛は能力である」というフレーズから始めました。多くの人は、恋をしている、恋に落ちているなど、愛について勘違いしています。多くの人、特に若い人たちは、ただ恋に落ちるだけです。ただ恋をしていると思い、掘り下げることはない。ですが、自分自身を愛せなければ、誰のことも愛せないんです。格言にあります。パンプロデューサーが提案したのですが、私たちもすごくいいなと思いました。私たちは若いし、時には失敗もしますから。
このプロジェクトを4部構成にしたかったのは、韓国では4部構成で物語を進めるのが一般的なんです。なので、3枚のアルバムと1本のビデオから成る4部作のシリーズにしました。おっしゃる通り、段階があります。誰かに出会って、恋に落ちたと思う。でも、ある日突然、私たちはお互いが違う人間で、思っていたような人ではないとわかって、別れるんです。でも本音は、自分を愛せなかったから、誰も愛せなかっただけなんです。これを英語で表現するのは本当に難しいのですが、努力しています。
これが私たちが見つけたことです。2年半続けてきました。最近の音楽業界はストリーミングの世界で本当に速く、日々良い音楽やアルバムが出てくるので、長い間これを追求するのは本当にリスクがあります。私たちはリスクを取りましたが、ファンのみなさんが反応してくれたり、感じてくれたり、このアルバムのおかげで自分自身を少し好きになれたと言ってくれたりしたおかげです。私たちにとっては、自分を愛するということの真の意味を考えさせられました。こういったことが、このアルバムにあったアイディアでした。

※愛は能力という考えはエーリッヒ・フロムの『愛するということ』に影響を受けているのではないかな?と思います。

Q: それはCypher 4と共に始まったのでしょうか?Cypher 4が始まりなのですか?ほとんど、あなたたちが聴衆に表現している信念になりました。

SUGA: 私たちの音楽は巨大なストーリーアークを持っていて、1曲だけ聴いてアルバム全体やコンセプトを理解するのは難しいかもしれません。アルバムを聴きながら、そのアルバムを貫くストーリー・アークについて考えてみてください。

Q: ストーリーアークにとって、あなたたちが構想し撮影する映像はどれほど重要ですか?映像は、あなたたちにとって重要な物語を伝える助けになりますか?

Jin: 最初からアルバムのコンセプトが出て、それからタイトル曲の撮影をします。タイトル曲はそのアルバムの色を反映しているので、そのアルバムで僕たちが表現したい色を知りたいなら、タイトル曲のMVを見るのが一番といえます。

Q: K-POPをひとつのジャンルだと思いますか?また、他の音楽とは区別するような良さがあると思いますか?

SUGA: 正直に言うと、ここで話すことを少しためらっています。K-POPをジャンルとして定義するようで。ジャンルとして理解するよりも、もっと「統合されたコンテンツ」のようなものです。K-POPを理解するためには、音楽があって、映像があって、衣装があって、メイクがあります。これらすべてが視覚的、聴覚的なパッケージとして一体となっていることが、これまでの音楽のスタンダードとの違いかもしれません。K-POPをひとつのジャンルとして理解するというよりも、異なる文化的なコンテンツの統合として理解する方が簡単だと思います。

Q: なぜなら様々なソースから取っていますよね。バラード、クラブで聴くような音楽、ラップ、R&Bの要素、EDMもあります。作業の過程で様々なソースから引っ張ってきています。制作チームとの関係について少し教えてください。制作プロセスはどのようなものですか?

SUGA: 会社に行くと、制作チームは異なるフロアにあります。私たちの個人スタジオがあるフロアと、私たちが休めるスペースがあるフロアにです。プロデューサーとは良好な関係を保っていて、同僚だと思っています。常にオープンに意見を出し合い、上下関係もありません。アルバム制作の時は、実質的に一緒に暮らしています。先ほども言いましたが、365日ソングキャンプをしているような感じです。とても心地よくて、僕らとプロデューサーとの間に距離感があったら、いい結果は出ないと思います。その関係性を大事にしているからこそ、短期間でいくつものジャンルに挑戦できるんです。
RM: もっと具体的にいうと、制作チームといい競争をしている感じです。良いものは常に良いし、より良いものはより良いです。もちろん、トラックやメロディ、歌詞においても、競い合うようにしています。誰かがより良いものを思いついたら、それを使います。なので、私たちは良き同僚ですが、同じビジネスチームや教室にいるようです。先生により良いものを見せたいというような。それがとても良いし、健康的なんです。

Q: さて、グループには7人います。曲、歌詞、進め方、どんなものであれ、いつも全員が同意しているとは思えません。まず、意見の相違はありますか?曲作りについて、あるいはある振付の動きについて、どのように解決していますか?

J-hope: 私たちは皆、とても冷静だと思います。何か違うのなら、それは違う。これは良くないと思ったら、絶対に言うんです。製作チームにも同様です。振り付けに関しても、例えば肉体的に難しすぎるものは...指摘して、変更を指示します。
Jimin: レコーディング中も同じだと思います。ある部分について気づいたことがあれば、メンバーが良いメロディや歌詞を作っても、実際にレコーディングしてみると問題が見つかることがあります。そんな時はみんなで集まって、曲を聴きながら変更点を話し合います。そうすればより良い方向へ曲が進んでいくんです。
SUGA: お互いを尊敬しているから、争いはないんだと思います。お互いの意見を聞いて、それを認めて、どう変えていくかを考えるだけです。賛成できない人がいても、それをとがめたりしません。

Q: グラミーミュージアムを見て回ったと思うのですが、どうでしたか?

J-hope: 一つの場所でグラミーの歴史を見ることができて素晴らしかったです。
JK: ハンパなかった!
(ここで場が和んでいたのがマンネらしくて微笑ましい☺️)

Q: おそらくほとんどのアーティストが享受できない方法で、あなた方はファンとの驚くべき関係性を築いています。なぜ、このファンとの関係性が重要なのでしょうか?

V: ファンの皆さんが翼を与えてくれたからこそ、ここまで高く飛べたからです。ファンと密接な関係を持たないという選択肢はありません。
Jin: 正直、僕らが成功を作るというより、ファンの皆さんと一緒だから、いい結果を得られたんだと思います。今ではコンサートも僕らだけで成り立つものではなく、ファンの方々と共に作り上げるものです。

Q: 2ndアルバムが全米ビルボード200で4ヶ月以内に首位を獲得。初めての快挙だと思うのですが、それはあなた方にとって何を意味しますか?

JK: グループとしての責任と背負うものを強調し、僕らの位置づけを示すものだと思います。音楽にしても行動にしても様々な面で、自分たちのいる場所に合ったことするよう考えなければいけないです。


映像も見てみると、何かのテストみたいな雰囲気で...こちらも緊張するような...でも深い話が聞けて良かったインタビューでした。こういう時、RMとSUGAは頼もしい...!

参考にしたスクリプト→KOREABOO

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