海を割った少女達

最近いよいよ欅ロスが酷くなってきているのでここで好きなように好きな所を好きな分だけ書かせてもらう。

失った時ほど愛しさが深まるのは残酷な世界の真理である。いやそれほど「ガチ」でもなかった私が、「やんわり」だった私ですらこうなってしまうんだから一体「ガチ」だったらどうなってたか末恐ろしいものだ。

欅坂がいかに魅力と影響力を兼ね備えていたアイドルグループであったか、他でもない自分のために、試しに一つ記事として作成してみようではないか。もちろんほんの一部分だけをつまんで。



「たまたま、何かの偶然でこの21人が集まった状態を"欅坂46"と呼んだだけのことかもしれない」

この秋元康の言葉に深く共感するほどには、私は一期生メインの欅坂が好きである。他でもない一期生21人でいる欅が至高。だと思っている。厄介なオタクであることはとっくの昔に自覚済みであるが、元々固定メンバーのグループを当たり前としてアイドル好きになったので、この考え方を変えようとは思わない。これは例えにもならない全然違う方向の話だが、ももクロやμ'sに今更追加メンバーが入ってきたら絶対嫌じゃないですか。まぁこれは前提条件から何まで全然違う方向の話だけど。

私が欅を本格的に好きになったのは二人セゾン期あたりだけど、セゾンの選抜発表をたまたま見て全員選抜だわフロント固定じゃないわで色々と衝撃が走って、ああこんな大人数のグループでもそういう精神あんだ、と思っちゃって好きになっちゃった。のよ。

結局その最初の一番素直な感情がその先までずっと根底にあり続けるものなのかなと思う。

それがいつしか意識的なこだわりみたいになってっちゃったけど、いや間違いない。間違いなく最終オーディションを通過して、或いは途中加入で少し苦しい時期の最中デビューした21人は紛れもなく他とは違う輝きをまとっていて、楽曲を表現していく度にそれを最高のバランスに整えてきた。

何が好きって、いっぱいいっぱいあるけど、例えば各楽曲の振り付けとかMVの演出とかライブの演出とかで見られる、美しい布陣。チェスとか将棋とかの最初のポジション?あの王を守るために戦いに勝つために配置された布陣みたいな欅のフォーメーションが好きで。戦っていくうちにフォーメーションがその時々の最適な形に崩れて移り変わっていく感じまで含めて。一つでも欠けたら違うなって、全ての駒に意味があるよなっていう感じまで含めて。それぞれの能力を適材適所で配置、利用しようという。

だから重要なのは当然センター平手だけじゃない。

そんなこと戦う全員が分かってるはずだけど戦いに参加せずビール片手に観戦して好き放題野次飛ばす可哀想な奴らは分かってないんだろうなと思う。思うだけで一生関わらずに心の中で軽蔑するだけだけど。

最年少にして最強の力を持っている彼女を、お姉さん達が全力で守り、かつ力を引き立てるその図が好きだ。これはまさに誤解を招く言い方かもしれないけど、でもセンターにいる以上はてちは最強だった。だけど、ここで言いたいのは他のメンバーのスキルも有り得ないくらい高かったってことだ。てちは確かに天才だった。特に表現の面で。でも、てち以外の20人にまるで表現の才能が無かったのか?と聞かれれば、全く違う。むしろ逆で、あんなにも一人一人が上辺だけじゃない表現力を持った集団がいるのだろうかと疑問を持つほどである。あの20人が違う20人だったら、果たしててちをまともに中心に立たせられただろうか?



まぁ、良いんだ。

一期生21人はあの21人以外に有り得なくて、それが欅だったんだから。

好きな振り付けの話でもしようかな。



「サイレントマジョリティー」を知っているだろうか。

そう聞けばきっと多くの人は、特に自分と同世代であれば知っていると答えるだろう。

どの程度知っているかはまた人によりけりだろうが、この曲には象徴的かつ斬新な振り付けがあって、「モーセの十戒」とか「モーセ」と呼ばれている。

いや私も全然詳しくないからちゃんと説明できないけど、とにかく旧約聖書とかに出てくるモーセと呼ばれる人物が「海を割った」というエピソードは有名だろう。海というどうしようもなく抗えない大きな存在、そのはずが、モーセに手によって左右に割れ、力強く歩けるような道が現れる。

これが、「サイレントマジョリティー」のサビ(よく見るテレビサイズやMVでは一番サビ、ライブなどで披露する際のフルバージョンでは2番サビ)で再現されているのである。

サイマジョの歌詞(ここでは一番)の内容と共に見ていくと、「先行く人が振り返り列を乱すなと ルールを説くけどその目は死んでいる」という言葉がサビ前に来ている。この「ルールを説くけど〜」の部分からモーセの準備体制に入るのだが、ここでメンバー達が2列の隊列を作って歩いてくる。

「その目は死んでいる」の「る」のとこで「てってってーん てってってってってーん」って音が入るのね。うん聞いたら分かると思う。「そのーめーはしーんでーいーr((てっ↓てっ↑てーん↓ てっ↓てっ↑てっ↓てっ↓てーん↓」ってなってるから。その「てっ」「てっ」「てーん」の3発で、列を成していたメンバーが左右対称にばん!ばん!ばーん!と広がって2列から4列になるのよ。で次の「てってってってってーん」で4列がビシィッ!と美しく整って収まるのね。いやこんな必死に文字にしなくても動画見たら分かると思う。

で、人が4列になると列と列の間に道が3つ出来るんです。一番最後の「てーん」の部分で、後ろに控えたフロントメンバーがくるっとターンし、センターのてちが右手を大きく振り上げるんだけど、まさしくこれが「モーセ」で、てちの手によって海が割れ、道が出来上がるという振り付けになっている。そしてその道の真ん中を堂々と歩き進んでいく。「君は君らしく生きて行く自由があるんだ 大人たちに支配されるな」と訴えながら。

(たまに「こんな歌詞歌ってるのに本人達は同じ衣装着て大人たちの言う通りに歌って踊ってるやん」みたいなこと言う人いるんだけど、全然違うと思ってる。だって自分でオーディション受けて勝ち抜いて最終的に自分の意思でアイドルになって自分の足でステージに立ってるから。衣装も楽曲も最後には納得して自分で着てるし歌ってると思う。このパフォーマンスをやるまでに自分の意思で通過する過程が多いから、むしろ自分らしさを求めて集まってきたメンバー達にはぴったりの歌詞じゃね?って思ってるよ)

他のメンバー達は代表となり突き進む平手に忠誠を誓うように、私達は一丸となって共に突き進むんだと主張するかのように「欅ポーズ(欅の楽曲に必ず盛り込まれている坂道を表した手の形)」を左胸に構える。そして次の「初めからそう諦めてしまったら〜」で後ろに立っていたフロントメンバーが4名が、センターによって拓かれた道を次に続くように歩いてくる。

まじでこれ動画で見たら一瞬で分かるんだけど、どうしてこれを説明してまで好きな所を書きたかったかというと、これがまさに「布陣」として完璧かつ美しいものである代表的な例だったからだ。

海を割って歩いてくるのは最年少にして最強の才能を持つセンター平手友梨奈。

彼女を脇で支え共に歩むのは、歌姫の今泉佑唯、ダンス職人の鈴本美愉、圧倒的センスの持ち主小林由依、圧倒的ビジュアルの持ち主渡辺梨加、というスキル別のトップを集めた4人のフロントメンバー。

割れた列の最前に立つのは、後のグループのキャプテン菅井友香と副キャプテンの守屋茜。

更に広がる両端の列の先頭には、グループのダンスの柱、かつメンバー達の精神的な拠り所となっていく石森虹花と齋藤冬優花。

まさに「完璧な布陣」。戦いにおける最強の構成となっているのである。(戦わないけど)



欅の振り付けのこういうとこがマジで好きなんだよね〜〜マジで!(マジで)

ワクワクするじゃないですか。

各メンバーを最適な場所に配置するセンスの良さは、大人数のアイドルグループの中でもトップクラスなのでは?と思うほど。

振付師のTAKAHIRO先生には頭が上がらない。フォーメーションも最終的に誰が決めてんのかは知らんけどパフォーマンス見るとちゃんと納得する配置になっている。

というかパフォーマンスにおいてもうフォーメーションとかそこまで重要でもない、っていうのが欅を見ていると分かってくる。

モーセの時の立ち位置なんてフォーメーション崩れてるどころの騒ぎじゃないし、セカアイは2番サビで上から見ると三角形になるように立ってるし、二人セゾンは曲自体の柔らかい雰囲気とか振り付けのバレエダンスを考慮して最高のフロント揃えてきてるし、不協和音は終始動きっぱなしだし、みたいな、みたいなね。フォーメーション?フロント?2列目?3列目?だから何?曲の内容、歌詞の内容に合わせて柔軟に動いていきますけど?みたいなね〜〜!!

そういう所が大好きだったの。とにかく。全員で作り上げる、一人一人がその時々の役割に徹する。誰もが重要な役目を負っている。誰一人不必要なメンバーなんていないんだよって。そんな当たり前を大切にしてくれる欅坂がさ。

グループとしてプロだったんだ。

誰一人、他を出し抜いて「目立とう」とはしない。それが良い悪いじゃなくて、全て欅坂46として楽曲を届けるために全力をかけた結果だった。だからグループとして一つになっていた。そんな欅が私の好みにぴったり合っていた、というだけの。

話。



もしサイマジョを見るとしたら、まずMVから。

そして、私が一番好きなパフォーマンスは、NHK紅白歌合戦に初出場した際のパフォーマンス。

4月にリリース、そして大ヒットして一年弱様々な場所で披露してきた彼女達の、その年の締めくくり、集大成の「サイレントマジョリティー」。

ねるも加わり一期生全員が揃った21人が、美しい特別仕様の制服を着て、見事に揃ったバキバキのダンスと力を込めたそれぞれの表情を見せた強い表現のパフォーマンスは、何度見ても鳥肌モノ。



てかさ話変わるけど櫻坂の「Nobody's fault」ってめっちゃカッコいい曲だよね。なんか12月9日にリリースされるらしいよ。センターに立ってる森田ひかるって子は欅2期生として入ってきたらしいけど、過去とか関係無く自分なりのパフォーマンスでのびのびとやってほしいよね。えわかる。しかも他にもカップリングでは藤吉夏鈴って子と山崎天って子がセンター務めるんだって。どっちも2期生らしいよ。でもすごく楽しみだね。



欅坂は欅坂だし、櫻坂は櫻坂。

だからあんまり「欅坂を超えろ」とか言わないでほしい。比べるもんじゃない。

「全員が輝けるように」って言葉も、欅坂の時だって別に全員輝いてたし、あんまりそこ比較しながら進まなくて良いよ。



私は私でまだ欅の根元に居座っとくし、それは人それぞれで良いじゃない。

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