俺の名前は宗像草太、ちょっと変わった家業をしている大学生だ #ネタバレ感想 #すずめの戸締まり

家業で宮崎県までやってきた。目的地を探して歩いていると、俺をやたらガン見してくる女子高生がいる。あんまり見てくるので、何か声をかけないと気まずい気がして、聞いてみた。
「扉を探してるんだ。このあたりで人がいないところはないか?」

いやー見て疲れましたね。疲れる映画でした。良い意味で時間を長く感じるというか。
さてこの作品、僕の心の中に住み着いている、かつての若きエロg……ゲフンゲフン……ビジュアルノベルゲーオタな自分的にはお約束の嵐だったので違和感なく見進められたんですが、これが「一般大衆の皆さん」にどう受け入れられるのかってところはけっこう気になるところです。天気の子なんて目じゃないくらいにめっちゃエロg……ゴホッゴホッ……ビジュアルノベルゲーぽい感じ満載なのでね。
じゃあ具体的にどのあたりがそうなのかって言うと、パっと思い出せる限りでこんな感じ。

ヒロインがヒーローに惚れるたった一つの理由は「イケメン」

これ、まずお約束なんですよね。ヒーローであるところの草太さんは明らかに身なりに気を遣ってない。あのロンゲはおしゃれなロンゲではなく髪型とか基本どうでもいいしっていう性格の隠喩ですし、服もオシャレ感とは程遠い。普通であれば、田舎町にいきなりあんな余所者がいたら、とりあえず軽く警戒されるであろうキャラなわけですよ。ところがどっこい、ヒロインであるところのすずめさんは一目惚れなわけです。何故なら、そういった諸々の意識の低さを補って余りあるレベルのイケメンだから。
「冷静に見れば明らかに怪しい男であるはずのヒーローが何故かモテモテになるのは実はイケメンだからである」
これテストに出るエロg……ゲホゲホ……ビジュアルノベルゲーのお約束ですからね!

「あなたに昔会ったことがあるような……」とか言い出したら本当に昔会ったことがある

変化球的に「似た感じの別人に会ったことがありました」て展開も無きにしも非ずではありますが、エロゲー的(隠すのがめんどくさくなった)に「昔会ったことがあるような……」とか言い出したら本当に会ったことあるんですよ。
んで、基本的にいつ会ったかは作中で明確に示されるのも鉄則です。故に、そのお約束を前提に見ていれば、「あーよっぽど昔で記憶が曖昧なのか、あるいは意識がはっきりしてない状態だったのか」となるのもお約束であり、であれば当然、子供のころにあそこに迷い込んだ時に会ってるとわかるわけですよ。じゃあどうやってそこに草太さんが行くねん、あるいはすずめさんが来るねん、というのがお約束メタ視点だと見所になるわけですね。

いきなりブッ込まれる伝奇要素は「そういうもん」

流行った時代があったんすよね。とりあえずなんか伝奇要素を入れる的なやつが。えっなんでこうなってんの? みたいなことは考えるな感じろ。

役に立つキャラはだいたい序盤で無力化させられる

そうしないと主人公の活躍の場がなくなってしまうのでね、仕方ないですね。お約束!

なんか意地悪っぽいのに直接的に加害してこない奴は実は味方

ダイジンね。もう露骨に悪意が無いんですよね。一難去ったらやたら高速で場所移動してるのも、実は奴なりに急いで次の問題個所に向かってるだけですし、すずめに言われたことはちゃんと守りますし。じゃあなんで要石やーめたなんだよってことになると、そこは長年やって飽きたとかさみしかったんやろとか、あるいは気まぐれでも、まあなんとでも理由付けはできますしね。
一方、序盤~中盤で妙に直接的に親切にしてくる謎キャラはだいたい悪役というのもまた、エロゲーのお約束ではありますがw

妙にハッキリしない使う金の出所

特段すごいバイトとかしてる風でもないのに、何故か尽きない金。作中ですずめさんが使った総額、冷静に計算していくと10万いかねーかな?という感じなので高校生の貯金と言われてもあーそんなもんかなって気もしますが、それはそれとして、じゃあ草太さんは財政的にどうなの? みたいな。何故か尽きない金。まあそんなもんだよ。

異様に面倒見がよくて話の分かる親友の存在

「友情は」「見返りを」「求めない」的なやつ。明らかにイケてて車出してくれたりもして一見チャラそうなくせに実は単に良い奴という、「あーいるよねこういうキャラ。うんうんいるいる」と思わずコメントしたくなる親友。これで実家が金持ち描写入れば完璧だったかもですがw まあとにかく「なんでこいつこんな単に良い奴なの?」と問われれば「親友キャラってそういうもんなんだよ」としか答えようがない。それがお約束ってもんなんだよ。

外見と声がハッキリしない演出は、外見と声をハッキリさせてしまうとネタバレってしまうから

まあそういうことだよな。

見た目の系統が同じなら当然似た系統のキャラである

めっちゃ唐突に出てくるクロネコも、見た瞬間に「あー東の要石の方ですね?」とお察しできないようではエロゲーオタは務まらん。

「大人の階段昇る」関係で保護者とはとりあえずケンカする

若人の成長とは、言い換えれば被保護者としての立場を卒業することでもあります。とりあえず一発、保護者とケンカしたりしてそのあと和解するのはお約束だ! リアルでやったら速攻和解は無理だぜ!

主人公はノリで何とかするがあんま話を聞いてない

普通人のはずなのになんでそんなにノリで何とかできんねん! てのは、まあそういうもんなんだよ。でも根本的に相手の話をあんまちゃんと聞いてないから色んな問題が実は起こってるよね。これぞ「主人公がちゃんと相手の話を聞けたら速攻で話が終わってしまうので盛り上がらない」の法則であります。

結局、何かが良くなったわけではないけど、主人公は達はちょっぴり成長している

世界を激変させちゃうと色々アフターが大変なので。なんやかんや問題はとりあえず解決して、その結果世界が特によくなったわけでも悪くなったわけでもなく、ただ主人公たちは大人の階段ちょっぴり昇ったよね、というのがお約束。ああお約束。

本当に大事なテーマはキャラがちゃんとセリフとして語ってくれる

この作品のテーマは最後にちゃんとすずめさんが語ってくれるわけで、ちゃんと語らせないとわかんねーよというのが、映像・演出的に限界のあるエロゲーのお約束なのです。ここまではっきり言わせなくてもまあわかるやろ、という気もしますが、それがお約束なんだからそういうもんなんだ。

まとめると、なんか「あーこういう感じのアレあったよねー」というのを圧倒的な作画で見せつけてきつつ、東日本大震災ネタをかなり攻めた形で詰めてきたなーという、けっこうな意欲作でした。10年経ったし、そろそろこういう震災の振り返り方もアリなのかなーとも思いながら、でもこれ予備知識なしでいきなり見せられたらけっこう心の傷が蘇ってしまう人もいるのではないだろうか。もちろん救いはあるにせよ。
個人的には、天気の子より面白かったかなーという感じ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?