「サッカーの煽り合い」は「プロレス」という時に抑えておくべき話

プロレスにおいてレスラー同士が思いっきり口汚く煽り合うことがあるわけなんですけど、あれって何でそんなことをするんでしょうか? 結論を言ってしまえば「興行を盛り上げるため」なんですよね、あれは。

ものっすごい単純化して言えば、プロレスラーは良い試合を観客に提供して興行を盛り上げ、チケット代を払って良かったと思わせ、チケットの売り上げを伸ばすことを目的とした職業です。
そして、「良い試合」といっても色々あるわけですが、良い試合となるかどうかの要素の一つに「因縁」が挙げられるんじゃないでしょうか。
僕たち観客はワガママな存在なんで、試合に意味を持たせたがるというか意味を持つ試合に興味を抱きがちです。例えば、誰しもが認めるビッグマッチならば、ビッグマッチであることそのものに意味があるし、選手もスーパースターどうしだったりするわけで、そんな対戦には心躍りますよね。

一方で、特にビッグマッチでもない、選手もそんなスターというほどでもない、じゃあこの選手と選手との試合にどんな意味があるんだろうか? と考えてしまうような試合だとやっぱりなかなか興味を持てないわけですよ。
そこで、そんな無意味な試合に手っ取り早く意味を持たせるのが「因縁」であり、そして因縁を生むのが「煽り・煽られ」だったりするわけです。
全然上手い例じゃなくて恐縮ですが、例えば
A選手「あいつが、俺がとっておき用に冷蔵庫に隠しておいたプリンを食いやがったんだ。あいつは最低の食い意地のクソ野郎だ。プリンの恨みであいつをぶっ飛ばしてやる」
B選手「ああ、あれはテメーのプリンだったのか。どうりで甘ったるかったわけだぜ。甘ちゃんなテメーにはお似合いだよなwww」
とか選手が言い合ってたら、その試合で選手どうしが殴り合う意味が、観客としてはすごいわかりやすいですよね。

プロレスの煽り・煽られっていうのは、あくまでそのように、「試合を盛り上げるためという共通目的・相互理解の上で為されるもの」です。なので相手を煽って揶揄したり傷つけたりするのが目的じゃないんですよね。それだとプロレスにならない。
※稀に本当のガチ本音な煽り・煽られのシャレにならない事態があったりするわけですが……。

では、それをサッカーに置き換えたらどうでしょうか。

煽り・煽られというと自チームと対戦相手のファン・サポーター間で主に発生するわけですが、それが「プロレス」であるためには、「試合を盛り上げるためという共通目的・相互理解」の上で、「相手を揶揄したり傷つけたりするために言ってるわけじゃない、あくまで試合を盛り上げるための表現」であることが必要条件となります。

なので、言った方が一方的に「これはプロレスだ」って言っても、言われた側がそう認識してなかったらもうダメなんですよね。プロレスは対戦相手との相互理解があってしか成立し得ないので。

簡単ですが、だいたいそんなかんじ。

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