IDOLiSH7 PRISM NIGHTを観て:2018年の私より

『ぱ -Essays on Performing Arts-』2018 Winter (2018年12月)掲載、特集「My Best Performance! 2018」より

  「二次元」にはまらない人生を送ってきた私が突然「アイナナ」に目覚めたのは2017年の暮れ。アイドルオタク歴20年の私は、彼らを現実のアイドルと重ねて考えていたし、早い段階でライブで彼らの存在を体感したいと思った。…と、ここで7月に行われたアイドリッシュセブン1st LIVE「Road To Infinity」の話をしたいところだが、私が真にその夢を叶えたのはそれより数ヶ月前に開催された「IDOLiSH7 PRISM NIGHT」だ。(『CG STAR LIVE』という二次元キャラクターに「会える」ことをコンセプトにバンダイナムコエンターテイメントが提供するVRライブイベントの第一弾。)

 プレイガイドで「ライブ」のチケットを購入し、集合時間に整理番号順に呼ばれて列を作り、我々は開場の時を待った。VR ZONEの入り口にはメンバー宛のファンレターボックスが用意されている。会場内に入ると同時にステージ前の柵を目掛けて先頭の客から小走りに進み、お目当ての場所を陣取る。まさに「いつも」のライブの風景であった(唯一違う点があるとすれば、入場時に係員がキンブレタイプのペンライトとその使い方、色が示す意味を書いたシートを渡してくれることであろう。これについては後述)。

  そして開演時間が近付き、「メンバー」による場内アナウンスが流れる。撮影禁止などの耳慣れた注意事項。そして客電が落ち、IDOLiSH7のメンバーがデビュー曲「MONSTER GENERATiON」と共にステージに姿を現した。泣いた。その場に彼らが「居た」。それは二次元の存在である彼らが、ということではなく、憧れの存在でどこか実在しないように思えていたアイドルが目の前に現れたという感動で初めてSMAPのコンサートに行った日を想起させた。生で見た瞬間、あまりの衝撃に一瞬で恋に落ちた。私は六弥ナギくんのスタイルの良さ、放つオーラ、ダイナミックなダンスに心を奪われたし、彼にウィンクを送られ(断言したい)さらなるレスをいただこうと必死になった。まさしく「アイナナ」がお馴染みの景色の中にあったのである。

  この「ライブ」にはMCもある。メンバーが先ほどのペンライトの色に応じて特定の質問に答えるのである。これには多少のゲーム性もあり、リピーターも楽しめる仕掛けだ。こうした「MC」では不自然な間が空いてしまうこともあるが、ファンの声援がそれを埋めていった。アンコールまで含めて約50分ほどだったろうか。我々は「アイナナ」世界の住人になれたし、彼らは実在するアイドルだった。この多幸感と感動はVRライブが当たり前になった未来でも忘れたくない。

2021年の私からの補遺:VRが当たり前の世の中は来ていないような気がするが、IDOLiSH7が実在する世の中はいい意味で当たり前になりつつある。再演おめでとうございます!3年前はゆとりのあったフロアがいっぱいになって、きっとまた私は別の涙を流すだろう。