どっちに転んでも地獄

持てる知識を総動員して、ベテランが諭すように若手のアイディアをゆっくりと否定するためだけに言葉を紡ぐのを待つ時間、「さっさと切り捨てて次」の建前をゆっくり咀嚼するようなあの時間は、地獄である。やさしさではある。分かるが、同情と失望を煮詰めた汁をぶっかけられたような気分だ。

「咬み殺した嘲笑」は、僕が最も嫌いで、はらわたが煮えくりかえる他者の態度である。

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