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認知症介護のストレス~大学院レポートより~

認知症を抱える義母の施設入所が決まりました。
本人は納得していないし、ショートステイの利用などを組み入れれば、まだ出来そうな気もするけれど、デイサービス以外の利用を頑なに拒むため、昼夜逆転の生活で私が心身共に参っていること、現在のデイサービスで利用している施設しか、おそらく受け入れず、たまたま空きが出たので、この機会を逃すと入る機会を失うかもしれないこと、誰かが傍にいないと、怒り出し、息子や介護サービスのスタッフの方にまで、暴言を吐くようになってしまったことなど、いろいろ考慮して決断しました。

認知症は、本人も介護者も多大なストレスが付きまといます。
ちょうど、大学院のストレス学で、いくつかのストレスについて、分析し、対応策を述べよという課題が出たので、これを機に、認知症の当事者と介護者のストレスについて、考えることにしました。

認知症当事者のストレス

時間や場所がわからなくなり、家に帰れなくなったり、自宅にいるのに、それがわからず、他人様の家のようにふるまい、帰り支度を始めたり
冷蔵庫にティッシュ、クローゼットに仕舞ってある靴下の中に眼鏡がはいっていたり・・・・・
脳のある部分の働きが損なわれるだけで、私たちとは違う世界が出来上がってしまう。なんで、こんな変な行動をとるんだろうと思うけれど、認知症のひとたちには、その世界が現実なのですが、周囲の人達は理解できず、
怖い顔をして「さっき説明したばかりでしょ?」「ここは家だろ!何言ってるんだよ」と叱られる

自分では正しいと思っているのに、叱られる。間違ったことをしてしまったと落ち込む・・・・・

これは、かなりのストレスではないでしょうか?

義母の場合は、もともと頭脳明晰で、切れる人でしたから、自分が認知症であるということ自体が、ありえないことであり、「忘れている」ことそのものがストレスであると思われます。

そこで、忘れたことを指摘せず、気持ちをそらすことをこころがけることに。
本人の気持ちを傷つけないことを第一に考えて、対応しています。
怒鳴ったり、泣き叫んでいるときは、背中をさするようにしています。手を払いのけられちゃうときもありますけどね。
以前、愛情ホルモン「オキシトシン」について記事にしましたが、オキシトシンの分泌を高めることで、不安を解消する働きが期待できます。
服薬や食事、デイサービスなどの利用など、いろいろ拒否されてきていますが、そんなとき、背中をさすってあげると落ち着くようで、時間はかかりますが、何かの調子にお薬を飲んだり、食事を摂ったり、デイサービスに行く気になったことがあり、オキシトシンの効果を改めて感じています。

認知症介護者のストレス

認知症の症状は、記憶障害や判断力の低下、場所や時間、物の名前がわからなくなる見当識障害に代表される中核症状と、脳の障害によって生じる精神症状や行動の異常、BPSDに分かれます。介護者のストレスは、このBPSDによる症状によるものが大きいです。
具体的には、徘徊、興奮、被害妄想、暴言暴力、攻撃性などです。その人の性格や環境、人間関係などが絡み合って起きるので、症状は人それぞれ。また接する人や日時によっても変わります。義母の場合は、昼夜逆転での徘徊、被害妄想、暴言、攻撃的な行動などが増えています。

このBPSD、どんなときに、どんな症状が出るのか、分析し、対応を考えることで、改善が期待できます。
数日間、本人を観察した結果

①空腹のとき
②服用しているクエチアピン(幻覚や妄想といった症状は脳のドーパミンが過剰に分泌される事が一因だと考えられており、ドーパミンの分泌を抑えるお薬として処方)の血中濃度が低下しているとき、
③夕方から夜にかけての夕暮れ症候群

このようなときに、症状が出ていると思われたので、以下の対策を立てました。

①空腹に関しては、朝ご飯はこちらで用意し、食べたのを見届けているが、夕食は、生活の時間が合わないので、一緒に食べないため、食べていないのに食べたと思っている可能性も高い。ヘルパーさんが用意したおかずを確認し、冷蔵庫をチェックする。

②クエチアピンに関しては、転倒も増えており、本人も服薬に気が進まないため、効果が確認されている抑肝散への処方変更を提案する。

③夕暮れ症候群に関しては、時間があるときは一緒に夕食を食べるなどの対応が考えられる。

その他、昼夜逆転が家族としては負担になっているので、出来ればショートステイを週2回程度入れるのが望ましい

以上が私が提出した「認知症とストレス」についてのレポートです。
認知症介護でお悩みの方に、少しでも参考になれば嬉しいです。



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