福堂 雀

好きなものはコーヒー、フルーツサンド、ステラおばさんのクッキー、鳥獣戯画、手ぬぐい、B…

福堂 雀

好きなものはコーヒー、フルーツサンド、ステラおばさんのクッキー、鳥獣戯画、手ぬぐい、BB-8、グラハムトーマス、図書館、ミケランジェロのピエタ、アテネの学堂

記事一覧

我が町でラーメン屋の天下一品が混む時間帯

9月のとある祝日、混み合う時間帯を避けて、ひとりで天一に入った。 ラーメン屋の天下一品を「てんいち」って呼ぶのは一般的ですかね? 午後2時はすぎてたので、ウェイテ…

福堂 雀
1年前
11

嘘をついてでも、内定は得たいよね

浅倉秋成・著【六人の嘘つきな大学生】読了。 夢中になって読みました。時間を忘れて(実際は時計を気にしながら)一気読み。 これを読むまでは、就活小説の最高傑作は朝井…

福堂 雀
1年前
15

私にもコーダの友人がいた

高校時代、ひいちゃんという同じクラスの女の子と仲良くなりました。ひいちゃんの両親は、ふたりとも耳が聞こえないろう者でした。 そんな両親のもとに産まれた聴者のひい…

福堂 雀
1年前
55

映画【ゲット・アウト】に見る黒人差別

米澤穂信デビュー作の【氷菓】を読んでいたら、こんな一文がありました。 嵐の夜、町外れの館(もちろんゴシック調の洋館)の地下室で俺の開頭手術をする千反田が想像され…

福堂 雀
1年前
17

マーシュランドにもやもやする

めったに観ることのないスペイン映画、【マーシュランド】を観た。 え、これで終わり? 謎解きはどーなった、謎解きは?! よくわかんないんですけど。 美人姉妹はなんで殺…

福堂 雀
1年前
4

セリフのない映画

最近観た映画【草原の実験】の感想を一言で表すと「え、これってこういうことだったの?」 まさかあれをこんな風に扱っていたとは。 全編、セリフがない映画です。 いつ喋…

福堂 雀
1年前
6

同志少女よ、敵を撃て

なんて読み応えのある本。作者の逢坂冬馬氏はこれがデビュー作とかで、こういうのを「彗星の如くあらわれた大型新人」と呼ぶのでしょうか? 476ページの1行目を目にした時…

福堂 雀
2年前
18

「われせん」なのに、割れてない

生協で買ったわれせんを食べながら、息子が言った。 「われせんなのに、割れてないのが入ってるよね。焼き印がズレてるのかな?」 それは私も常々思っておりました。むし…

福堂 雀
2年前
12

「本読み界隈」ってどこ?

最近読んだこの本がとてもおもしろかったので、書店員の友人にLINEで伝えた。 そしたら、「お、本読み界隈で話題になってたやつだ😃」と返ってきた。 え、本読み界隈? …

福堂 雀
2年前
12

ナマ書店員のひとり本屋大賞

街の書店で、知人が働いている。息子の同級生のお母さんだから、ママ友? 子供どうしが仲良しなのは知ってるけど、お互いの家を行き来したことはないし、ランチも一回しか…

福堂 雀
2年前
13

映画評なら沢木耕太郎氏

「それ、noteに書けば?」「最近note書いてる?」と、息子からたびたび言われる。そもそも「お母さん、note書いてみたら?」と勧めてくれたのも、この息子。あんまりうるさ…

福堂 雀
2年前
10

かげどろぼうがくる 前田花・作

学生時代の友人の娘が、絵本作家になった。私が会ったのは、その子が2歳から5歳くらいの幼い時だけだから、いまどんなお嬢さんに成長したのかは知らない。 時々友人から、…

福堂 雀
2年前
4

一度きりの大泉の話

強烈な読書体験でした。 本を読んだだけでこれほど打ちのめされたのは、カズオ・イシグロの【わたしを離さないで】以来。大泉が地名だとも知らずに手に取った。大泉と言え…

福堂 雀
2年前
25

『正欲』と『聖なるズー』

直木賞って同じ作家が2回以上取れるのでしょうか? 朝井リョウの『何者』は、直木賞にふさわしい完成度でかなり楽しめましたが、同じ作家が一度しか受賞できないのであれ…

福堂 雀
2年前
20

星野源『いのちの車窓から』

星野源が書いた文はちらほら目にして読むこともあったが、彼の結婚を機にエッセイ集『いのちの車窓から』を読んでみた。その中の一章「新垣結衣という人」は、とてもステキ…

福堂 雀
2年前
7

三谷幸喜のありふれた生活

朝のコーヒーを吹き出しそうになった。 読まずに溜まった夕刊を今朝パジャマ姿で眺めてたら、6月3日(木)付けに、三谷幸喜がマスクのことをこんなふうに書いていたから。 …

福堂 雀
2年前
4
我が町でラーメン屋の天下一品が混む時間帯

我が町でラーメン屋の天下一品が混む時間帯

9月のとある祝日、混み合う時間帯を避けて、ひとりで天一に入った。
ラーメン屋の天下一品を「てんいち」って呼ぶのは一般的ですかね?

午後2時はすぎてたので、ウェイティングリスト(この呼び方も一般的ですかね?)に名前を記入する必要なく、待ち時間なしですんなり席に通された。
なのにですよ、オーダーしてから、いっこうにラーメンが運ばれてこない。

さすがに遅くないか?と思って、遠慮がちに店員さんに尋ねた

もっとみる
嘘をついてでも、内定は得たいよね

嘘をついてでも、内定は得たいよね

浅倉秋成・著【六人の嘘つきな大学生】読了。
夢中になって読みました。時間を忘れて(実際は時計を気にしながら)一気読み。
これを読むまでは、就活小説の最高傑作は朝井リョウ・著の【何者】が文句なしのNo.1だと思ってた。
今は、これかも。就活小説というジャンルがあるなら、ですが。
就活小説No.1と言っても、私、この本と【何者】の2作しか知らないな。同列一位でもいいか。

ちょっとだけネタバレになるの

もっとみる
私にもコーダの友人がいた

私にもコーダの友人がいた

高校時代、ひいちゃんという同じクラスの女の子と仲良くなりました。ひいちゃんの両親は、ふたりとも耳が聞こえないろう者でした。

そんな両親のもとに産まれた聴者のひいちゃんは、コーダ(CODA, Children of Deaf Adult/s)と呼ばれる立場なのだと知ったのは、高校を卒業して何十年も経ってから、ここ数年のことです。

それを私に教えてくれたのが、以下の4作品。

①【エール!】201

もっとみる
映画【ゲット・アウト】に見る黒人差別

映画【ゲット・アウト】に見る黒人差別

米澤穂信デビュー作の【氷菓】を読んでいたら、こんな一文がありました。

嵐の夜、町外れの館(もちろんゴシック調の洋館)の地下室で俺の開頭手術をする千反田が想像されて、怖かった。

それで、映画【ゲット・アウト】を思い出しました。

怖い映画だった。そしてとてもおもしろかった。

ホラー映画は苦手だけど、ひたすら怖かったけど、観て満足。

ヒロインのローズは裕福な白人家庭の娘で、恋人のクリスは黒人。

もっとみる
マーシュランドにもやもやする

マーシュランドにもやもやする

めったに観ることのないスペイン映画、【マーシュランド】を観た。
え、これで終わり?
謎解きはどーなった、謎解きは?!
よくわかんないんですけど。
美人姉妹はなんで殺されたの?
殺すだけで無く、拷問までされたのはなぜ?
乳首を切り落とすって、そこまでの拷問がなぜ必要だったの?
彼女たち、まだ高校生なのよ?

伏線の回収がなされてませんが、私が気づかなかっただけ?
いや、めっちゃ伏線あったやん!

もっとみる
セリフのない映画

セリフのない映画

最近観た映画【草原の実験】の感想を一言で表すと「え、これってこういうことだったの?」
まさかあれをこんな風に扱っていたとは。

全編、セリフがない映画です。
いつ喋るんだろう? 誰も言葉を発しないけど何で?
登場人物が誰ひとり、待てど暮らせどいっこうに喋らない。
20分ほどして、ようやくニブい私も気がつきました。
この映画は、台詞なしを貫こうとしている。
ああ、そうなのね、だったら表情や目の動きで

もっとみる
同志少女よ、敵を撃て

同志少女よ、敵を撃て

なんて読み応えのある本。作者の逢坂冬馬氏はこれがデビュー作とかで、こういうのを「彗星の如くあらわれた大型新人」と呼ぶのでしょうか?

476ページの1行目を目にした時の驚き。そう来たかーー、ここに繋がるのかーー。

少女狙撃兵セラフィマが主人公の物語。この本を読んでいた3月は、テレビをつけるとロシアによるウクライナ侵攻のニュース。

昔、映画の好きな友人が「泣きたい時は【ひまわり】を観る」と言って

もっとみる
「われせん」なのに、割れてない

「われせん」なのに、割れてない

生協で買ったわれせんを食べながら、息子が言った。

「われせんなのに、割れてないのが入ってるよね。焼き印がズレてるのかな?」

それは私も常々思っておりました。むしろ割れてないほうの割合が多いような?

焼き印のズレまでは見てなかったけど。

「割れてないものが混入しておりますが、品質に問題はありません」と、息子がメーカーの口上を代弁した。

警察小説を読む時は、ペンとメモを用意して、登場人物の名

もっとみる
「本読み界隈」ってどこ?

「本読み界隈」ってどこ?

最近読んだこの本がとてもおもしろかったので、書店員の友人にLINEで伝えた。

そしたら、「お、本読み界隈で話題になってたやつだ😃」と返ってきた。

え、本読み界隈?

そんな界隈があったの?

どこにあるの?

私もそこにお邪魔したいと、最近お気に入りのTWG紅茶を飲みながら思った。この紅茶は年末に頂いたもので、インスタントにこんな香り高い紅茶があるなんて知らなかった。世界はまだまだ、私の知ら

もっとみる
ナマ書店員のひとり本屋大賞

ナマ書店員のひとり本屋大賞

街の書店で、知人が働いている。息子の同級生のお母さんだから、ママ友? 子供どうしが仲良しなのは知ってるけど、お互いの家を行き来したことはないし、ランチも一回しかご一緒したことがないので、ママ友と言っていいのか?

4年前にその書店にふらりと入ったら、彼女が働いていた。「あら〜お久しぶり」「〇〇ちゃんは元気?」と、お互いの子供の近況報告なんぞを、しばし。

せっかくなので、「何かおもしろい本があった

もっとみる
映画評なら沢木耕太郎氏

映画評なら沢木耕太郎氏

「それ、noteに書けば?」「最近note書いてる?」と、息子からたびたび言われる。そもそも「お母さん、note書いてみたら?」と勧めてくれたのも、この息子。あんまりうるさいので(笑)、note始めたようなもんです。

私「そんなに書くことないよ、そもそも文才がないし」

息子「映画の感想を書けば?」

私「映画の感想はね、私が思っていても言葉にできないことを、沢木耕太郎先生が的確に文章にしてくれ

もっとみる
かげどろぼうがくる 前田花・作

かげどろぼうがくる 前田花・作

学生時代の友人の娘が、絵本作家になった。私が会ったのは、その子が2歳から5歳くらいの幼い時だけだから、いまどんなお嬢さんに成長したのかは知らない。

時々友人から、「娘が美大に入った」「就職して家を出た」「会社を辞めて戻ってきた」などのちょっとした近況報告を聞くくらい。

この度の連絡は、「娘の描いた絵本が、タリーズの絵本大賞を受賞した」という誠に喜ばしい吉報。

家から一番近いタリーズに電話して

もっとみる
一度きりの大泉の話

一度きりの大泉の話

強烈な読書体験でした。

本を読んだだけでこれほど打ちのめされたのは、カズオ・イシグロの【わたしを離さないで】以来。大泉が地名だとも知らずに手に取った。大泉と言えば、洋しか知らない。『変なタイトルだなぁ。何かの比喩なのかなぁ?』くらいにのんきだった。

あちこちのレビューを見ても、怖くなる。迂闊なことを書けば炎上必至。私ごときのnoteなんて誰も読んでないから、要らぬ心配と思いつつ、いや、多くの人

もっとみる
『正欲』と『聖なるズー』

『正欲』と『聖なるズー』

直木賞って同じ作家が2回以上取れるのでしょうか?

朝井リョウの『何者』は、直木賞にふさわしい完成度でかなり楽しめましたが、同じ作家が一度しか受賞できないのであれば、『正欲』のほうに。『何者』は、本屋大賞ってことで。

この著者のエッセイ集『風と共にゆとりぬ』『時をかけるゆとり』を読んだ直後だった。朝井リョウのことを「隣のアパートに住むおっちょこちょいの若者、ノリのいい普通の学生、ちょっとヘタレな

もっとみる
星野源『いのちの車窓から』

星野源『いのちの車窓から』

星野源が書いた文はちらほら目にして読むこともあったが、彼の結婚を機にエッセイ集『いのちの車窓から』を読んでみた。その中の一章「新垣結衣という人」は、とてもステキな愛の告白。と、今ならこれを読んだみんながそう思ってそう。

私は芸能人に疎いので、2013年に何気なく観た『箱入り息子の恋』の主役が星野源だとは知らなかった。この日は「映画館に行きたいが、特に観たい映画もない、でも行くぞ」で、消極的に選ん

もっとみる
三谷幸喜のありふれた生活

三谷幸喜のありふれた生活

朝のコーヒーを吹き出しそうになった。

読まずに溜まった夕刊を今朝パジャマ姿で眺めてたら、6月3日(木)付けに、三谷幸喜がマスクのことをこんなふうに書いていたから。

『最近では、つけるのを忘れて外に出てしまうと、下半身を露出して歩いているのと同様の恥ずかしさと罪悪感で、慌ててハンカチで口元を押さえてコンビニへ買いに走る。』

いや三谷さん、そこまで思う?下半身露出とまで??

家族に話したら「誇

もっとみる