【読書覚書】仮縫

有吉佐和子さん、昭和60年の作品。
肉乃小路ニクヨさんの動画内で取り上げられていました。

働く女性のお仕事モノですが、描かれている時代や、業界が
自分の今の日常とはかなり違う部分もあるのと、リズムの良い
書きぶりなので、最後まで飽きずに読み進むことができた。

後半、坂を転げるような主人公、隆子さんには
短い時間ながらも栄枯盛衰をみるようで、すでに心情移入してしまって
いたのでちょっとつらかったです。

主体的に仕事に関わっていったのはよかったけど、途中から
いろいろ頭を巡らせ、頑張ったと思うんですけど、
一回りも二回りも大きな敵?がいたわけだし。
それは主人公の最後の反芻部分によーく表れている。
まあ、多分私も隆子さんと似たりよったりな部類かもしれない。

腐ることなく、まだやり直せるわっていうエンディングに希望がある。

映像化にぴったりな話だなあと思って調べてみたら、以前、檀れいさんなどで舞台化されたようです。檀れいさんね、割りと良い配役かもしれません。

こういうふうにがむしゃらに、野心を持って働くって今の時代にはそぐわないのかもしれません。
でも、もし仮に自分の中になんらかのアグレッシブな欲望があれば、
可能な限り穏便に実現できるといいかもしれない。


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