【読書覚書】みらいめがね1 

本はほぼ、図書館から借りている。
このところ、一定のペースで予約の順番がまわってくるので
手持ち無沙汰になることがなくて嬉しい。

荻上チキさんのラジオは平日帰宅して食事を作りながら
radikoで聞いている。
(最近は他のポッドキャストにも配信されていることがわかったので、
再生期限などを気にしなくてもいいのでとても便利)

私は木村草太さんとの国会の解説が気にいっている。
ネットのニュースでは文字を追っていて、具体的に何なんだ?
という自分が理解したかどうかまでの結果はあまり気にしなかったけれど
チキさんの番組を聞き始めてから、わからないなりにもわかる範囲が
広がってくると、疑問も湧いてくる。
単純に知らないことを知るのは楽しいし、
わかりやすく解説できる人はすごい、その人のレベルに近づきたいと
思ってしまう性質です。。

肩書やラジオ放送の雰囲気から、
キリっとしているイメージしかなかったので、
雑誌でのエッセイはどんなもんじゃろと思って読み始めた。

(別に肩書で、なんらかを決めつけているわけではないけど‥
と思ったけど、無意識に決めつけていたのだね、私)

まず、すっごい文章がしっくり馴染む。
本人が話している雰囲気が脳内再生されてしまうのだが、それより
なにより他人に書いている文章って自分の肌感覚に馴染むのに時間が
かかったりすることもしばしばだが、すんなり読み進められる。

しかしながら、個人的には『え?こんなこと書いていいの?』と
思うようなご自身にまつわることも明かしておられる。
そのなかでもいじめに関する記述は、私に経験がないため、ちょっと
恐れが増幅されてしまった。

それ以外の個人の生活史としては重なる部分とそうでない部分
があるので、重なる箇所の共感は強く感じたところもある。

ひとつのエピソードを読み終えると、ちょっと休みがほしいな‥
と感じるものもあるが、添えられているヨシタケシンスケさんの
イラストが、今しがた読み終えたばかりの私の気持ちを和らげたり
さらに世界を押し広げたり、明後日の方向を見せてくれたりとさまざま。
どれも好きだけれど『人生病、リハビリ中』の一連で一番最後のコマが
とても気に入った。

まるでお猿さん同士のグルーミングみたいな雰囲気。
ちょっと今はゆっくりさせて、と黙って髪の毛を梳いてもらえる。
おそらく、隙をみせてもいい安全な場所にいるんだろうな
というイラスト。

後半ではご自身の状況の実況中継的な箇所も感じられ、原稿を
書いているときはさぞかし苦しかったのではなかろうかと思うが
ほんとに最後の方で文章の雰囲気が少し変化したように感じたので
(凍っていた水が流れ出すように)おそらく現実生活でも
ドラスティックな変化があったんだろう。

私自身、去年から今年にかけて、不意にしんどくなったり、漠然とした不安を感じたりすることがある。私も自分自身を手懐けるすべは少しは
知っているけれど、やはり知らずに自分の殻に閉じこもり、外の日差しが
眩しいから‥とサングラス越しに外界を眺めてしまう。事実、過度な日差しは避けたほうが楽なのだが、知らずに気持ちを落としてしまったよう。
伊達メガネでもいい。なるべく薄いグラスで偏見もなく、世の中を見られる
ようになるといい。そういう考え方のロールモデルをこの本は示しているようにも思う。

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