【読書覚書】きみはなぜ生きているのか?

青木理さんの新作を手に入れたので、ジブリの映画で似たようなタイトルのものを思い出し、ネットでググったらこの本にたどり着いたというとっても不思議な出会い。
著者は、哲学者の中島義道氏。
存じ上げずにネットで調べ『闘う哲学者』というキャチコピーを目にする。
日本社会の騒音(まちなかにあふれるアナウンスなど)にご意見が有る方の様子。
なんだか手ごわそうだけど、音や光に辟易している私には通じるところもあるから、ぐらいの気持ちで借りてみた。

学校に通うことができず3ヶ月ほど引きこもっている男子学生が、夏休み、ニーマントと名乗る人物からの手紙を定期的に受けとり、いろいろ考える、という話。
新年度と呼ばれる時期にはぴったりではないか。

きみはなぜ生きているのか?中島義道 偕成社 2010年6月

実は私、就業していた派遣先で、びっくりするくらいの言葉を投げかけられ
苦しくなって2月に退職した。実際、体調も悪化し、通院もしばらくしたが
ずーっと一貫して心の底にあったのは『契約期間を全うできなかった』という自分責め。

どうしても自分と、作品の主人公を重ねてしまいながら読み始めたが
すごく興味深い箇所があって過去や現在、未来の時間の流れ
のくだりは何回も頁を前後した。
正直、スッキリと理解したというところには到達はしないが
時間の概念、言葉の概念などを丁寧にほじくる感じがしつこくなく
心地いいというか、心がすーっと落ち着く。
残念ながら図書館への返却日が来てしまったので、手元に置くために
一冊買い求めた。

現時点で私なりの理解は、
『今を大事にしよう・
 なにが大事かを極端に狭い目標に設定しない・
 振り返って考えることは大事』
ってことなんだけれど…

哲学ってコレが正解ですって決めはなくて
導師にある程度の考え方を示してもらいそこから
各自受け取って練りに練って削ぎ落とし、みたいなことをしていくのでは
ないだろうか?
だから『哲学対話・哲学カフェ』も存在するのだろう。
なんだか楽しそうだな。
(もちろんきちんと意見を交換できる定義だったらいいけど)


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