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『アルキゴト』歌詞解釈

『アルキゴト』
(りえたく1stミニアルバム「一時間目」収録曲)


『アルキゴト』の歌詞解釈は、2020年7月初旬にTwitterに投稿していたものです。

りえたくの歌詞解釈はこの曲から始まりました。
大好きで、思い入れがとても強い曲なのです!


当初は【古文好きによる古文の翻訳みたいな りえたくの歌詞解釈】シリーズ!という名目で投稿していました。
『アルキゴト』の歌詞には目的語がなかったり、暗喩を用いられていたりする部分が多いので、古文を翻訳する感覚で歌詞解釈しました (^^)


※あくまで私見による解釈であり、作詞した りえいくん本人が意図する解釈とは異なっている点もあるでしょうし、解釈の仕方は人それぞれ自由だと思います。私の歌詞解釈を読んでくださった皆さんが りえたくの音楽をより楽しめたり、皆さんと りえたくの音楽の素晴らしさを共有したりすることができたなら本望です。

※[]は歌詞からの引用を示します。



◆構成

Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ→大サビ→ラスサビ


◆Aメロ
〈夢と現実のギャップに直面し自問自答〉

静けさの中、独りついた失望のため息が表すように、夢を追う僕たちの人生はうまくいかない、現実は理想通りにはいかないのに、なんで夢なんか持ってしまったのだろう?
[いつしか描いた夢]が叶わない日が来ることはわかっているだろう?


◆Bメロ
〈夢を追うことと平凡な幸せの狭間で揺れ動く〉

常識から外れないようにという意識によって、夢を追う心の自由を失った。
リスクを追い苦労して夢を追わなくても、贅沢して楽しく過ごせる生活にすっかり馴染んだ自分もいる。
そんな常識・生活は脆くて不完全なものー[ひび]が表現しているーだから、それがずっと続くとは限らない。
でも夢を失わない保証ー夢が叶うという約束ーだって誰もしてくれない。


◆サビ
〈夢を追い続けるつらさ〉

何度挑戦しても夢はなかなか叶わない。
思うようにいかないつらさ、認めてもらえないもどかしさを何度も味わった。つらさ・もどかしさに慣れ、強くならざるを得なかった。
こんな苦しい気持ちと一緒に夢を消してしまえたら、もっと楽に生きられるのに。でもそれはできない。
そんなことを繰り返しているうちに時間ばかりが過ぎて行き、いつの間にか当初持っていた夢は叶うと信じて疑わない心・自分は夢を叶えられるという自信を失ってしまった。
夢を追う僕たちは、[いつか叶わない日が来ること]ー夢が叶わないという現実ーに直面することを恐れているから、信じて疑わない心・自信を取り戻すことも怖くてできない。


◆Cメロ
〈周囲の他者との相互作用〉

こんな今の自分を嫌いになってしまいそうだ。
不甲斐ない自分を見た人から嫌われ遠ざけられてはその人のことを憎み、こんな自分を愛し支えてくれる人に対しては申し訳ないと心が痛んだ。
愛し支えてくれた人のことを好きになり、こんな自分自身も好きになれたと思ったら、それが気の緩みに繋がり、愛し支えてくれた人との間に隙間が生じた。
もう夢を追うことに、何もかもに疲れてしまって死にそうだ。


◆大サビ
〈初心の大切さを再確認〉

[いつかのあの日]ー夢を思い描いた日、その時の気持ち、初心ーを忘れないようにしなきゃならない。
今こうやって紡いでいる言葉が解けてしまってもーつらさや葛藤を感じながらも夢を追っている今の気持ちが薄れてしまってもーいいように。
そうじゃないと、夢を追う僕たちは[いつしか描いた夢]そのものを忘れてしまうから。


◆ラスサビ
〈でもやっぱり夢を追うことはつらい〉

何度挑戦しても夢はなかなか叶わない。
思うようにいかないつらさ、認めてもらえないもどかしさを何度も味わった。つらさ・もどかしさに慣れ、強くならざるを得なかった。
こんな苦しい気持ちと一緒に夢を消してしまえたら、もっと楽に生きられるのに。でもそれはできない。
夢を追う僕たちは、[いつか叶わない日が来ること]ー夢が叶わないという現実ーに直面することを恐れているから、信じて疑わない心・自信を取り戻すことも怖くてできない。
そんなことを繰り返しているうちに時間ばかりが過ぎて行き、いつの間にか当初持っていた夢は叶うと信じて疑わない心・自分は夢を叶えられるという自信を失ってしまった。
夢を追う僕たちは、[いつか叶わない日が来ること]ー夢が叶わないという現実ーに直面することを恐れているから、信じて疑わない心・自信を取り戻すことも怖くてできない。



◆タイトル『アルキゴト』
[アルキ]ながらの独り[ゴト]

夢を追うつらさを謳っている曲だけれど、[僕たち]はまだ夢に向かって歩いている、夢を追うことを諦めてはいない。



◆歌詞解釈のポイント(後記)

なぜこのように翻訳(解釈)したのか?と思われる部分もあるかもしれないので、いくつかポイントを解説させていただきます (*ᵕᴗᵕ*)

①サビ[試した数だけ 強く慣れた]
りえいくんは「強く成れた」ではなく、[強く慣れた]と書いています。
そこが重要なポイントではないかと考えます。
自分が内面から強く成長したのではなく、つらい状況に何度も晒されて、傷が分厚いかさぶたになるみたいに、そのつらさに慣れるしかなかった、それが結果として強くなったように感じられたのではないかと解釈しました。

②サビ[大人になってしまった]
「大人になる」とはどういう意味なのでしょうか?
私は、夢を描いた当初の自分とは異なる自分になってしまったという風に考えました。
こうなりたい!と夢を持ち始めた時って、子どものような純粋な気持ちで、自分は夢を叶えるんだ、叶えられるんだって信じますよね。
そう信じて疑わない心がなくなってしまった、それが[大人になってしまった]ということなのではないかと解釈しました。

③Cメロ[好きになって 隙になって]
「すき」という1つの音で[好き]と[隙]、いや~、りえいくんの言葉の紡ぎ方、素敵です (≧ω≦)
「隙」という言葉には、「互いの間に生ずるあき、すきま」という意味と、「心身の充実を欠く(かに見える)たるみ、ふと緊張がゆるんだ時などの心の状態、油断」という意味があります。(岩波国語辞典 第7版 新版 より)
私はどちらの意味も採用しました。
無力な自分を愛してくれた人の存在によって自分自身のことを好きになれたのですが、それによって気が緩んでしまい、その人との間にも隙間ができてしまった、という風に解釈しました。

④Cメロ[虚しくなるほどに]
「虚しい」という言葉には、「からっぽ」「むだ」「頼りにならず、はかない」「(虚しくなるという使い方で)死ぬ」という意味があります。(岩波国語辞典 第7版 新版 より)
歌詞中では[疲れてしまった 虚しくなるほどに]というように使われていて、[虚しくなるほどに]は[疲れてしまった]を修飾しています。
そこから、私は「死ぬ」という意味を採用して、死にそうなくらい疲れているという心身の状態を表現しているのではないかと考えました。



◆歌詞解釈の裏側

この曲では、りえいくんが伝えようとしている心情はあまり直接的に表現されていないように感じて、そこを間接的な表現から読み取るのに頭を抱えました (- -;)
でも、古文を翻訳しているみたいで とても楽しくて、解釈しきった後の達成感もあり、すっかり歌詞解釈の面白みを知ってしまった訳です♪

私には夢を追う中で価値観や自信をぶっ壊され打ちひしがれた経験があるので、偏った解釈になっているかもしれませんが、こういう解釈もあるのだなと読んでくだされば嬉しいです。

個人的なお話になってしまいますが、私には夢・目標のために2年間、武者修業(あえて修行ではなく修業です)していた経験があります。
目標は高くて遠くて、本当に全然歯が立たなくて。
今まで積み上げてきたつもりだったものが一気に崩れ去って、自分の未熟さを痛感しました。

『アルキゴト』は、そんな自分と重なり、もう、Aメロの時点で胸が締め付けられて泣きそうだったので、1曲翻訳するのは なかなかのものでした (ToT)

夢を追い、目標に向かって歩むことは幸せだし、周囲から羨まれることもありますが、辛くて、孤独で、逃げ出したくなる時があります。
でもそれもできなくて、歩き続けるしかないのです。

私にとって、この2年間の経験は、今の自分の糧・原動力となっています。
1つの目標は達成しましたが、まだまだ夢の途中で、自分が目指すものは今も高く遠いところにあります。

聴いていると胸が痛くなるけれど、大サビでもう一度前を向けます。

『アルキゴト』は夢を追い、もがいている人にそっと寄り添ってくれる曲だと感じました。



ここまで読んでくださり ありがとうございました (* ᵕᴗᵕ)⁾⁾



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