見出し画像

懺悔

自殺企図を繰り返してしまう事を医者に話したら、周囲の人を悲しませるからやめるよう諭された。約束出来ないと溢したら、表情は曇って、もし自分が逆の立場だったらどう思うかと問われた。

逆の立場で考えたら、自分がいかに酷い人間なのかまざまざと思い知らされて息が出来なくなった。
自殺未遂や完遂が周囲にもたらす影響は計り知れない。自殺・自傷・その他精神疾患を抱えるリスクの向上は勿論、数値では到底計り知れぬ苦痛を与えるのだろうと思う。現に私は一番大切にしたい人をすら当惑させ、仄暗い影を落としている。援助希求を題目に掲げた卒業論文のその構成上「援助希求によってポジティブな結果を得られる」という事実を示さねばならないが、到底そうは思えなくて、筆が止まった。嘘は書けない。希死念慮や自殺念慮を打ち明けるたびに他者を動揺させる。自死を人生の選択肢に提示する。取り残される恐怖を想起させる。逆の立場で考えた時浮き彫りになるのは、他者を傷付けているという事実。狂うのは私の人生だけで良いのに、他者に対して無影響であれないのは生命の欠陥だ。

欠落している。与えられる支援や差し伸べられる手に、どう応えれば相手が喜ぶか安堵するか私は知っている。血濡れた傷口を露呈したい、痛いと喚いて抱き締められたい、そんな願望が胸中で張り裂けそうになっている。私を見付けて、助けて、あるいは殺してよと、そんな叫びを噛み殺して、微笑を浮かべている。そうして腐敗した心は手遅れになって、誰かのぬくもりに触れるたび朽ちていく。どうせ朽ちるなら誰も傷付けずに逝きたい。一方で孤独が死よりも怖くて、耐えず誰かに抱き締められていたくて、矛盾している。せめて暖かい日に、と思って、天候を調べる愚かさ。自殺の理由を聞かれたら、自分に耐えられないからだと、他者をこれ以上傷付けないためだと、即答できる。だから誰も自分を責めないで欲しい、誰にも影響したくないよ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?