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まいにちの短歌

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2021年1月の記事一覧

不眠|短歌

おまじなひほどの眠剤放り込み君は今夜もあつさりと寝る 日の出まだ遠い時間にぽつかりと開い…

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剥ぐ|短歌

ひと抱へのラナンキュラスと暮らしをり花瓶をちさくちさく替へつつ 寝室のチョコのかけらと階…

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寒気|短歌

進行形なのか完了形なのか目で確かめる「雪が降つてる」 手をずつと炬燵に入れて昨日との気温…

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警報|短歌

頑なに売らないらしい廃屋の白梅きつと初めにひらく 暴風雪警報、波浪警報が出る冬空はよく晴…

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コロナ禍|短歌

見ず知らずの人たちによるツイートのまとめ信頼性帯びて見ゆ スーパーにミスドが出店するとふ…

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やよひひめ|短歌

蜂蜜のトースト半分づつ食べるくらゐがちやうど良い朝もある いもうとの送りくれたるやよひひ…

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許せり|短歌

クラッスラ・ボルツラケラの白い花ひかり求めて求めて傾ぐ ジーンズの穴をべにしろさみどりの刺繍糸にておよそ繕ふ 発送ののちに国際便と知るすぐに得られるとふ驕心も 個体差と君は許せり温度計に一度と少し誤差のあること * 届けばいっか

好ましさ|短歌

放電をしやすい昨日今日のわれさしづめ布団は充電器となる 茫として爪を磨けば不自然なほど曇…

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雨|短歌

断捨離はしないのがいい気持ちまで弱まつてゐる雨の降る日は コーヒーを飲むでもなしに淹れて…

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布団|短歌

丸まつてゐるのが楽で夫曰く土下座。そのまま布団にもぐる 話しかけくるる言葉にうんとだけ返…

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毒となり得る|短歌

一瞬の沈黙もないテレビから過剰な圧を受けてゐるけふ 依存性のある頓服と寝込むこと秤にかけ…

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本屋|短歌

足取りも軽く歯科医を出てくれば本屋に行かうよと誘はれる 文字数で値段を割つてしまふのでL…

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偏つた繭|短歌

暖地ゆゑ冬の断水これまでになくてそれぞれ清拭をせり 雪遊びのあとの塊ゆつくりと形をなくす…

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傷|短歌

抜歯後のガーゼ噛み締め白ネギでなく指先をざつくりと切る 指先の絆創膏を剥ぎ取つてしきりに臭ひ確かめてゐる 少しづつ治りゆく傷 見える傷ならばたやすく伝はる痛み 絆創膏をちひさなものに貼り替えて左手すこし軽くなりたり * くさいです笑