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🪡背廣を仕立てる主な材料

背廣をお仕立てする上での材料について一つずつご紹介したいと思います。


台芯
洋服の前身頃用の芯を作る上での
土台として使われる物なので
台芯と呼ばれます。


バス芯
こちらはとても強力な張りのある芯になりまして膨らみの付けたい胸周りなどに主に使われます。
手前に見えます黒い繊維は、馬の尻尾の毛やたてがみの毛が使われておりますのでとても強い張りを作る事ができます。
他にも多種類のバス芯があり、分かりやすく硬さなど違ったり硬さは同じでも重さや風合いが大きく異なっております。
(前肩と呼ばれる肩は前方向に骨がでておりますのでそういった肩ぐせの形を
固定するためにも使われます)


襟芯
背廣の上襟という首周りの襟の部分の芯として使われます。
素材は主に朝で出来ており、様々な硬さの種類があります。


スレーキ
主にポケットなど袋用の生地として使われます。
他にもズボンの天狗やシック、裾芯などさまざなところに使います。
素材としては綿100%の物が主ですが、最近ではTCスレーキというポリエステル65%綿35%の物もよく使われます。



カラークロス
主に上襟の裏側に使われるものでカラークロスを使うことにより通常は裏側の生地と地縫いしひっくり返すことにより縫い代が中にあり厚みがでますがカラークロスは地縫いはせず襟芯とハ刺しで一体化し周りをからげる始末なので上襟を薄く仕上げることが出来ます。
素材は、ウール90%ナイロン10%の物が多いです。


フェルト
フェルトは芯に胸に増し芯として使われたり、ラペルの内側に膨らみをつけるときなどにも使うことがある多用する物になります。


肩綿
肩のラインを綺麗に見せる事やお客様の好みに合わせた肩の高さを作ったり肩幅を広く見せるためなどに使います。
種類のたくさんあるもので風合い硬さ大きさ形など様々です。
素材は、外面はフェルトやガーゼ、不織物などで包まれており中にあります。
綿には純綿と化繊綿がありこれを何枚も重ねたり中に毛芯なども入れたりすることもあり硬さをつけます。


裄綿
袖を付ける際に袖山にボリュームを持たせるために用いられる。
素材は、毛芯とフェルトから出来ています。


胴裏
背廣を作る際の裏地になります。
素材は、キュプラ、ポリエステル、シルク、コットン、などの物が多くさらにこれらの混ざった物が多いです。
(現代の裏地はツルツルしている物が多いですが背廣とチョッキ、もしくはシャツとの摩擦を減らし中で擦れたり引っかかることのないように使われておりますが、昔はアルパカと言われる裏地を使っており経糸が綿糸で緯糸がモヘア混ウールから出来ているざらざらとまではいきませんが素材から想像できるような風合いです。
この素材になる以前では本物のアルパカの毛を使用していたのでアルパカと言う名前になっております。


袖裏
袖の裏地ですが上記の胴裏を使うこともありますが専用の物もあり、こちらも脱ぎ着することによる摩擦の傷みを表地を守るために使います。
こちらもキュプラのものが多いですが胴裏より軽い素材となっております。
(袖は縦方向の出し入れが多く経糸を強くしており地の目の間違いをなくすためストライプ柄が多くなっております)


琥珀テープ
平織の綿テープでできており製作している段階で背廣の生地が伸びやすい部分に伸び止めとして貼ります。ですが、このテープも少し伸びますので使う際に少し工夫が必要になります。
職人さんによってはスレーキや袖裏、キャラコという綿の記事なども使います。



最近ではポリエステルの糸が強いと言うことで絹のミシン糸を使わないことがありますが主に、ミシン糸、手縫糸、穴糸と言う太さの違う糸を使い分けて制作します。



様々な釦がありますが主なものですと貝釦、水牛釦、ナット釦、練り釦になります。
素材は、貝釦はそのまま原料は貝になっており水牛も水牛の角からできています。
ナット釦はタグワヤシの実からなっており、練り釦は樹脂を練り水牛に似せて作った物になります。



以上で背廣の材料の説明を終えますが職人により使ったり使わなかったりここにはない素材を使っておられる方もいますので一概にとはいきませんがこう言いたものを使い構築しています。
注文される際こう言った物も含め考慮してみることも楽しいと思います。

今回もご高覧くださり有難うございます。

                   おわり







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