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製図の種類と特徴

今回は、製図についてお話をさせて頂きます。

目次

・製図の種類と特徴

・短寸式(ショートメジャー)と胸度式(ロングメジャー)

・まとめ




・製図の種類と特徴

始めに、製図と一口に言いましても大きく分け2種類あり、原型製図と囲み製図というものになります。
こちらの二つを解説していきたいと思います。

・原型製図

原型製図とは読んで字の如く、原型となる既製の型があり、その型を用いて製図をした物をグレーディング(サイズ調整)したり、展開などしつつ製図を作成します。

既製服の特徴としては、一般的にJIS企画(日本産業規格)を基盤としてのサイズ展開をするため、このように予め原型がありますと商品や、商品のサンプルが出来上がるまでがスムーズになり、サイズ的エラーが起こりにくいので重宝できるものとなります。
こちらの原型製図は主に既製服に用いられるものになります。

こちらは原型製図の型版になり、後ろと書いてある方を最初の型版から展開している所になります。
先程の原型製図の型版を分かりにくいですが
使用しているドレスシャツの製図となります。


・囲み製図

囲み製図とは一つの基点をとり、その点を基準に製図を作成するものになります。
ここで、点を基準に製図をする上で線を引いたり次から次の点を取る際に、体型を採寸した寸法から割り出し、製図を行いますが、この割り出し方はとても多種多様な方式があり、点を取る場所も全く異なる事や今では比較的、cmを使うことが多くなってきていますが昔ながらですとインチを使用します。

私達も製図を研究する上での気付きが多く、日本では戦前のものですとインチ製図が主流となっていましえ、戦後辺りからはcmが主流になるように感じます。
80〜90代の職人さんにお話しを聞くところ、昔はインチを使っていたが現役の頃にcmに切り替わる時がありその頃は苦労をしたとお話しされていました。
(金洋服店の服部先生にお話を伺った所、cmが出てきてから現在まではインチとセンチの両方を用いるそうです。)

囲み製図の特徴としましては、全体的に補正を入れたりなど、構いようの幅がとても増えるところにあり、寸法からの割り出しを用いておりますので数字的にもどれだけ製図が元から変わってきているかなど精密故に難しくはありますが、だからこそお客様の体型に合わせることのできる製図が可能となっております。
こちらの囲み製図は主に注文服業界(オーダーメイド)に使用します。

こちらは囲み製図のシャツになります。
先程の原型製図と違い四角い枠組みの中に製図をして
いる事がお分かりになるかと思いますがこのように四角で囲み原型を使用せず製図をしていきますので囲み製図と言います。

・短寸式と胸度式

ここからはさらに専門的なお話をさせて頂きますが知るとより楽しくオーダーすることができ背廣の面白さが膨らみますのでお付き合い頂ければと思います。🙇‍♂️

短寸式と胸度式とは、先程の囲み製図をより大きく分けた手法となります。
体型を最初に採寸をすることはご存知の方も多いかと思いますが、実は採寸は人により測るポイントが異なることがあると言うことはあまり知られていないのではと思います。

・短寸式


採寸をする際、約12〜36箇所と言った具合に人によりこれほど採寸をする箇所が異なることがあり、簡単に申しますと36箇所を採寸をすると言うことは12箇所採寸するものに比べより細分化し採寸をしていると言うことになりザックリではなく細かく要所要所で測っていると言うことでその分短い距離を測っていることになりこれを短寸式と呼びます。
短寸式は細かく採寸をしていますのでよりお客様の体を把握し合わせる製図になります。

SNS上にありました画像ですが、こちらのように比較的細かく短寸式は測り製図を行います。
因みにこちらは金洋服店というお店の、服部 晋先生の製図方の中でとても画期的な物がありメジャーでは縦横に測ることはできても肩甲骨の膨らみなど測る事ができずこの図のようにし測ることでその寸法を捉える事ができるようになったそうです。
(こちらを斜辺裁断法と言い斜めに採寸をするという事です。)

・胸度式

先程の短寸式のお話で約12〜36箇所採寸をするとお話をし、短寸式が多く測るのであれば反対にこちらの胸度式は少なく適当に測り手抜きをしているように聞こえてしまいますが決してそのようなことはありません。
胸度式とはチェストを基準に製図を行う方法になり、こちらは細かい採寸に重きを置かず全体的なバランスや標準シルエットを作るものになりそこから仮縫いを重ねお客様のお気に召しますスタイルへ変化を自由にすることを前提の製図だと私は思います。
現代ではこちらの胸度式が主流となっておりますがそれには短寸式に比べ採寸法や製図法が容易であるからだとされておりますがだからと言って簡単なわけではなく最初の時点でのお客様の体型など目視で判断し頭の中で補正法を考えそれを製図に反映する必要があり経験と知識はもちろんですが、数学のような空間図形を想像すると言ったような力も必要になります。

こちらは上着の採寸になり1940年の書物のものですがこのように短寸式に比べ長く大まかな数値を取り製図を行いますのでロングメジャーと呼ばれるものとなります。
ズボンも上着同様このように採寸致します。

・まとめ

服飾の製図のことは一般的に知っている人が少ないニッチな業界ですが、これまで長年研究を重ね頭を掻きむしりながら出した研究結果と熱意があったからこそまだまだ愛される物なのだと私は感じております。
私も正直頭がパンクし机に突っ伏してしまうことがよくありますが、これまで先人達が考え出した方式を余すことなく学べるように励み、恐らく完璧ではない手法も多々ありますのでそれを完璧なものにできるようにも励み現代の方達にもそういった技術を感じて頂けるように目指したいと思います。💪🏻

それでは最後まで読んでいただき有難うございました。
深く知りたいという事や、別のこうゆうことが知りたいなどと言ったものがありましたらDMまでお願いします。
お待ちしております。

おわり🪡







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